長男のワクチン騒動

ワクチン失敗顛末

 長男は、東京の大学に通っているが、住民票は移動しておらず金沢に置いたままだ。夏休みの帰省中にあたる先日、長男はコロナワクチン1回目を金沢で打った。その後、大学で授業が始まるので一旦東京に帰り、先日、2回目のワクチン接種のため金沢にまた戻ってきた。ワクチンを打つためだけの帰省だ。そして会場に着き、接種券が入っいる(はず)の封筒を開いて初めて気付いた。接種券がない。結局、券がないのでその日は接種できず、再発行の申請だけして家に戻ってきた。紛失か、東京の下宿に置いてきたのかは不明。一体、お前は何しに来たの?と親である我々は呆れ、息子をたしなめた。爺婆は、無事に接種が済むか、副作用はないかと孫の健康を過度に心配していたので、今更〝実は接種券がなくて注射できなかった〟とは言えず〝あ、なんか全然大丈夫みたい〟と適当にごまかして息子は東京に帰った。数日後、再発行の接種券が役所から届いた。接種券があれば東京で接種できるそうなので、妻はすぐに東京に郵送した。ところが切手の料金不足でその郵便が戻ってきた。妻は「封書は今84円」まではわかっていたが、重量で1段階アップし94円になることに思い至らなかった。10円切手を貼り増しし、再度送ろうというタイミングで、妻がなにげなく雑多な書類が山積みされたテーブルを整理した。すると、ないないと言っていた接種券(2回目)が出てきた。新旧の接種券をまとめて送ることとし、もしかしたらさらに郵便料がアップするかも?と、さらに30円分の切手を貼り増し(適当!)して郵送した。未だ長男は2度めの接種は完了していない。

時間とお金の浪費

 この一連のドタバタには家族一同笑うしかない。長男が2回目接種で東京を発つ際、封筒の中を確認すれば問題は起こらなかった。その場で封筒に接種券がないと連絡をくれれば、こちらで探しすぐに発見、チャンチャンとなったはず。無為に費やした時間と往復運賃、郵便費用、しめて2日間と2万円なり。

何の山だ

 ちょっとしたものぐさが馬鹿げた無駄につながる。自分の愚かさが身に沁みたろう、と皮肉を言ったら、息子は全面的に認めつつも、「これだけ山があるとは、ワクチンと縁がないのでは」と言った。…何の山だ。山などない(笑)。整理整頓、日頃のちょっとした確認が大事である。

青果物の週間情報 【2021-W43】

■週の概況 第43週 10/18(月)~ 10/23(土)

【全体】

 急に冷え込み強くなったことは、秋冬野菜にとっては好条件である。煮炊き用の重量野菜は現状より回転が良くなる期待が持てる。ここまで芋玉を除けば野菜の相場は基本的に軟調であり、この週は安値になやむ品目を中心に数量を売り込みたいところだ。大根、人参は飽和状態で、特に人参は太物が過剰傾向で低調だ。レタスは産地切り替えの時期を迎え、高原の長野県産の量はかなり減るだろう。果菜類で低迷が目立った胡瓜がこの週より持ち直しの気配だが、ナスの安値脱出はまだ先になりそう。さつまいもは引き合いが好調な反面、玉ねぎ・じゃがいもは高値疲れが見える。里芋は各産地潤沢で過剰感が強く、低空飛行となっている。
 果実はミカン、リンゴ、柿の三本柱に、その他品目が若干というはっきりした構成だ。ミカンは極早生がほぼ終了となり、早生へ切り替わる。極早生の食味が芳しくなく消費にブレーキがかかっただけに、食味の良い早生でリスタートしたいところ。りんごは長野県産の食味の優れた品種が出回る時期だが、不作傾向で高値感が付いて回るのが痛いところ。青森県産のトキは黄色いために人気はいま一つだが、食味は抜群だ。柿は和歌山の平核無、岐阜の富有柿など主力品種が潤沢に出てくる予定である。

【野菜】

 葉茎洋菜類では、ブロッコリー、レタスは前週に引き続き潤沢な入荷が見込まれる。キャベツは群馬産を主体に順調な数量が期待できる。白菜は長野産がピークを迎え潤沢であり、値ごろ感があって売場の拡大が可能だろう。椎茸は生育状況も改善し数量の増加が見込まれる。松茸は国内、国外からの入荷だが不作傾向で不足感が漂う。
 果菜類では、胡瓜、茄子は夏秋産地が終盤を迎え入荷は減少へと向かう。トマト、ミニトマトも減少傾向だが、高値疲れから価格は下げ基調だ。春菊は各産地から安定した入荷となり価格も下がる見込みである。
 根菜類では、大根は県内産が順調なことから、価格は下がる見込み。かぶは青森産に加えて県内産がスタートする。ごぼうは潤沢な入荷が続き、値ごろ感もあり拡販可能。玉葱は不作による減少傾向から値段は上がる見込みだ。県内産の甘藷は13日のイベントも過ぎ需要は少し落ち着くものの動きは良い。

【果実】

 国内果実では、みかんは福岡産、長崎産メインの入荷となる。出始めで小ロットながら福岡産のブランド「北原早生」も入荷する。和歌山産の柿は品種の切り替わり時期となり減少する。県内産では個人物の件数が徐々に増加する。りんごは青森産、長野産、県内産の入荷。メロン類では、北海道産に加えて、新潟産、島根産が入荷中だ。巨峰は長野産が終盤となり減少する見込みである。
 国外果実では、ブラジル産のマンゴー、メキシコ産のアボガドは入船の遅延が発生している。バナナ、シトラス系、キウイフルーツは順調な入荷。価格は保合での推移が予想される。

あおり運転対策法

免許更新

 先日、運転免許の更新をした。ゴールド免許なら短時間で手続きは完了するが、私は令和元年7月にシートベルト未着用で捕まっているから、青色の普通免許だ。更新のためにはそれなりの講習を受ける必要があった。

教官は人格者

 講習所の安全運転教習は楽しいので苦にならない。そしてなぜか、教習所の試験官には人徳者が多い。上から目線でなく、かといって媚びもせず、凛としている。人生経験豊かでありながら、一般人の心に寄り添う感じが奥ゆかしい。学校の教師とは大違いだ。その教官の話なので、講習は内容も面白い。

あおり運転対策

 今回ためになったのは、近年問題となっている「あおり運転」に対する対策だった。走行中の挑発はもちろん危険だが、前を走る相手の車の急ブレーキにより路上に停止させられ、悪漢が車から降りこちらに詰め寄ってきたときさあどうするか!日頃から意識していないとパニックになるだろう。

異常あおり運転ドライバーへの対処

1・ハザードをつける
2・足ブレーキを踏み、後ろの車への警告灯とする
3・ドアロックをする
4・ウィンドウをきっちり閉める
5・緊急110番をする

相手にしないのが鉄則

 講師は親切にもスマホの緊急110番のやり方まで解説してくれた。これだとスマホを取り出して5秒で通報できる。ドライブレコーダーやカメラも有効に活用すべし。そして相手とはその場では決して折衝しない。つまり相手にはしないということだ。当然のことだが、いざその場になると冷静に判断できなくなるので、心に留めておきたい。

なげかわしい世相

 それにしても、これは完全に精神異常の無差別襲撃犯を想定した対処だ。そんなのがこの世にたくさんいる。その対策法を頭に刷り込むのが現代の常識だとしたら、なんと嘆かわしい世の中だろう。そうした沈鬱な思いも抱いた講習会だった。ともかく、無事に運転免許は更新された。

書評:澁谷弘利著「心に青春を」

澁谷弘利氏の自叙伝

 先日他界された澁谷工業代表取締役 澁谷弘利氏の著書「心に青春を~夢は大きく足元は盤石に~」を再読した。2014年(平成26年)6月に北國新聞社から発刊された書だ。氏の生い立ちから経営者として達成した数々の偉業、人生哲学まで著されている。

サインから感じる〝心〟

 発刊されてまもなく本書にサインしていただく機会を得た。本当に丁寧に、ゆっくりと書いてくださった。ああ、上下の差別なく、人に心を込めて接するとはこういうことなのだと教えられた気がした。

言葉に偽りなし

 本書は、タイトルが「心に青春を」、副題が「夢は大きく 足元は盤石に」、帯には「常に明るく前向きで」とある。私は氏をほんの少ししか知らないが、本当にその通りの方だったと思う。

本書の中でハッとさせられた言葉

・軍隊的規律と創造的自立の共存
・トップは財務のプロであれ
・少し突っ込んで勉強すればそこそこのエキスパートになれる
・いつも明るくニコニコしていよう
下にいくほど表現がやわらかいが、いずれの言葉も、借り物ではなく、自身の人生経験から導き出した確信に基づいている。澁谷氏こそ100%実践に裏付けされた理念で生きてこられた方だ。

備忘録

本書は冒頭に以下のことばが披露されている。
記録しておく。

青春とは心の若さである 信念と希望に溢れ 勇気に満ちて 日に新たな活動を続けるかぎり 青春は永遠に その人のものにある
(サミュエル・ウルマンの詩を松下幸之助がアレンジしたもの)

東京商工リサーチから身元調査された

某JAさんから身元照会

 東京商工リサーチの方が私のもとに来た。「JA○○(取引先の出荷団体)から身元調査を依頼されました。先日取り交わされた契約書で保証人に署名されましたね。その件でいろいろ確認させていただきたくお邪魔しました」。

保証人調査

 保証人は会社が買掛債権を支払い不履行になったとき、替わって弁済義務を負う。売る側からすれば保証人の身元が確かかどうかは重要である。だからそれを東京商工リサーチのようなプロの調査機関に依頼する。

けっこう突っ込んで聞くのね

 来られた人は、それが仕事なので、割り切ってズバズバと聞いてきた。私の経歴、年収、財産、債務、家族構成、趣味にいたるまで。礼儀正しく感じの良い人だったので、つい調子に乗って聞かれないことまで話してしまった。(口の軽いやつだと思われたろう。)

真っ当な身の振りを心がける

 保証人のハンコを押したことは過去にもあるが、このように裏取りのヒアリングを受けたのは初めてだ。ああ、会社の保証人になるとはこういうことか、と妙に実感が湧いた。一言で言えば社会的責任。幸い今の自分に、社会に向かって隠蔽している事項はない、と思う、多分(w)。そして、この先もそうであれるよう、人の道をあまり踏み外さない人生を心がけようと思う。(あまりw。)

巨星墜つ

澁谷弘利氏が12日に他界

 澁谷工業社長の澁谷弘利(しぶや・ひろとし)氏が12日に他界された。90歳だった。新聞によると氏は12日朝に自宅で体調不良を訴え、救急搬送され、その日のうちに息を引き取られたそうだ。

まっすぐで激熱の人生

 岡田直樹参院議員の連合後援会長を務められたので、いろいろな席でご一緒させていただいた。本当に、まっすぐに前を見てモノをおっしゃる方だと印象が強い。世にはまっすぐにモノを見てまっすぐに話す人と、曲げてモノを見てくねらせながら話す人の二通りがある。渋谷氏は間違いなく前者であった。人間、真っ当に生きれば最高の成果を出し、人格にも磨きがかかるのだ。そう素直に思わせるお人柄であった。

イチゴとレーザービーム

 私の会社の会長を気に入ってくださり、「いちごに滅菌レーザービームを照射したら、鮮度保持がよくなるんじゃないか?協同して補助事業に応募し、実証事業を行おう!」と3年ほど澁谷工業とタイアップさせていただいた。残念ながらこの事業は日の目を見ることはなかったが、私としてはいい経験をさせてもらった。実験確認のために、たった一人で台湾旅行をする羽目にもなった。今となっては良い思い出だ。

趣味が高じて…?

 澁谷氏は、趣味のゴルフではエージシュートを350回以上記録したそうだ。怪物である。破綻仕かけたゴルフクラブ「リンクス」を引き受けた。女子プロの大会「シブヤカップ」も手掛けた。これは道楽ではなく、ゴルフ界と地域に対する奉仕の念がなさしめたものだろう。

相続税の配慮から覗き見える優しさ

 食事の席で、今の日本の相続制度に異議を唱え、持論を展開されたことを覚えている。「もし私が何も整理せずに突然死んでしまったら、残された遺族は、私の相続税を払うのに大変な目に合わなければならない。私はそれが心配だから、すでにきちんと財産分与の処理をきっちり整理した。相続税にあたる分はしっかり現金でよけてある」とおっしゃった。わかる人にはわかる。これはすごいことだ。身内に対する素晴らしい配慮であり、優しさの現れだ。

潔い旅立ち

 見事な一生だ。生涯現役。東証1部上場企業の代表取締役では日本で最高齢だった。頭脳明晰で長期に渡り企業を牽引し、この世を去る時はあっという間に。こう言うと無礼かもしれないが、男として憧れる死に方だ。私も90歳まで進化する人生を送りたい。ご冥福をお祈りします。

ナヤミの時こそ

野菜の高値市況は一変

 野菜が高いぞ、少ないぞと、ワーワー騒いでいたのはつい先ごろのことだ。しかし季節外れの高温と好天により、野菜はおおむね潤沢に出回り、むしろ今は売れなやむ品目の方が多くなった。この状態を青果業界では〝ナヤミ〟という。ナヤミでは青果物の相場は安くなっていく。反対に引き合いが強く、品薄傾向となり、相場が上がっていく状況を〝モガキ〟という。

ナヤミの時こそ連絡を密にする

 ナヤミの時、卸売会社の担当社員は、えてして産地との交信を渋る傾向がある。値段が安いので、産地から叱られ、咎められるのだ。気持ちはわかる。しかし、ナヤミの時こそ産地とのコミュニケーションを密にするのが優秀な営業マンだ。もちろん怒られたり嫌味を言われたりする。しかしそれに耐え、壁を乗り越えてこそ産地との信頼関係が強化される。

モガキに荷物をもらうには

 ナヤミはいつかモガキに変わる。ナヤミの際に連絡を怠っており、いざ、モガキに転じてから産地に電話をして「荷物を下さい」と頼んだところで後の祭りだ。苦しい時に逃げて連絡をしてこなくなった市場に、産地が荷物を出してくれるはずがない。ナヤミとの時は市場も苦しいが産地も苦しい。モガキの時は、苦しい時に頑張ってくれた人に優先的に出してやろうとなるのが自然な人情というものだ。

人の世の常

 これは別に青果物の市場流通に限った話ではない。本当のパートナーシップは売り手・買い手の垣根を超えて、苦しい時にともに歩んだと感じられる相手との間に芽生えるのだ。人間関係とはそういうものだ。そういう意味でも、この業界でものをいうのは何よりも〝人〟なのである。

大谷翔平の今シーズンが終了

二刀流が大リーグで大活躍

 エンゼルス大谷翔平のシーズンが終わった。打者としては46本塁打、100打点、26盗塁。投手としては9勝2敗。ホームラン王には2本届かず。二ケタ勝利も逃したとあって、二刀流全開にあと一歩という印象はあるものの、話題独占の物凄い活躍であった。エンゼルスは今一つ弱小のチームで投手大谷は打線の援護が少なく、打者大谷は敬遠されることが多かった。よって、〝れば・たら〟にはなるが、もし強豪チームにいたならば、軽く二ケタ勝利、本塁打王に届いていたように思う。

MVP有力候補

 11月に決まるMVPの有力候補にもなっている。彼は優勝争いとは無縁の存在ながら、これだけのパフォーマンスのできる選手が他にいるわけもない。別格、唯一無二の存在であり、平らかに選手を並べて比べれば、MVPは大谷以外にあり得ないと思う。

二刀流はこれから増える!?

 さて、ここで考える。大谷翔平はベーブルース以来の存在で現代では唯一無二の二刀流の選手である。投走打どれをとっても超一流。だが、もうこんな選手は二度と現れない。不世出のプレイヤーである!!…とは限らない。むしろこれから二刀流は増えるだろう、と予測する人がいた。メンタルトレーナーの飯山晄郎氏だ。以下は飯山さんのメールマガジンから無断転載(w)。

飯山晄郎氏のメールマガジンより

 「元々みんな子どものころからバッターもピッチャーもやっていて、野球はそういうものではないかな。子どものころも、今も、これからもそうやっていきたいです」
これが大谷選手のスタンダードなんですね。
 盗塁に関しても、投手なんだから無理しなくてもと思いますが、走れるときに走るということ。これが普通なんですね。
こうやって「これが常識なんだ」と思っていたことが覆されて、また一つ常識の枠が外れました。
これから二刀流を志す選手が増えてくると思います。
 常識の枠は「思い込みの枠」なんですね。

常識の壁

 なるほどこれはあり得る話である。突出した活躍を見せる存在が現れると、人々は〝この人は特別〟と切り離そうとするが、実は先駆者に過ぎず、その後のニュースタンダードの走りになる。できないと思われていたのは前時代の常識であって、常識は人が勝手に築いた思い込みに過ぎない。壁が崩れれば常識は過去の遺物になる。陸上100m走で日本人が一人が10秒を切れば、バタバタと続く者が現れたのも同じ。不世出の大棋士・羽生善治の記録は今、藤井聡太に次々と破られている。

未来の大谷、そして続く存在

 大谷には来年以降、ますまずの大活躍を期待し、本塁打王、サイヤング賞の両方を取ってもらいたい。そして、日本プロ野球人に、第二第三の二刀流選手が誕生してもらいたい。

青果物の週間情報 【2021-W42】

■週の概況 第42週 10/11(月)~ 10/16(土)

【全体】

 この時季にしては天気が良すぎて夏のような暑い日が続く。これが如実に生産と消費の両面に影響を与えるだろう。すでに収穫済みの野菜(芋玉など)を除き、生産面では各品目順調な生育をみせ、出荷はおしなべて前進化傾向だ。よって野菜は中長期的に潤沢な出回りとなり、価格は弱含み傾向が続く。ただし、掘り込み時期を迎える地物の甘藷や、夏秋産地から秋冬産地への切り替わる胡瓜・ナスなどは、この週、一時的ながら減りこんで、強相場となる場合がある。
 消費面では高温によりサラダ商材の引き合いが根強く、果菜類の回転は比較的良し。逆に大根・人参などの煮炊き商材は動きが鈍いようだ。
 果実も前進出荷が顕著である。りんごは長野県産が不作傾向で高値だが、青森県産は早生ふじとトキが潤沢だ。地物の秋星は金沢市と珠洲市から出てくる。極早生みかんは重たい動きながら終盤戦に移り、10月後半からの早生にバトンタッチする。柿も前進出荷であり、この週は次の品種との谷間ができるかもしれない。前年より数量が回復した石川県産の栗は、前進出荷で切り上がりも早く、この週をもって終了する見通しだ。

【野菜】

 葉茎洋菜類では、レタス、ブロッコリーは主要産地からの潤沢な入荷が見込まれる。白菜は数量の安定と価格の下落により、売場の拡大が期待できるだろう。菌茸類では、中国産の松茸は作型の切り替わりに遅れが見られ、国産は虫の被害により不作傾向となり数量の確保が難しそうだ。椎茸は出荷量が伸びず不足感が漂うだろう。他の菌茸類は安定した入荷が見込まれる。
 果菜類では、前年より数量の多い胡瓜は、ピークを過ぎ徐々に少なくなる。トマトは高値の反動から下げに向かう見込み。ピーマンは高知産に加えて、鹿児島産の入荷がスタートし、販路の拡大が期待できる。
 根菜類では、県内産の「金沢そだち」の大根がピークを迎え、その他の産地についても安定した入荷となる見込みだ。人参は前進出荷の影響から、道内で例年より早く切り上がる産地が見られる。馬鈴薯、玉葱は不作の為、平年より高値推移が続く。季節商材では、百合根が業務需要の回復から引き合いが出ている模様だ。

【果実】

 国内果実では、みかんが福岡産主体に、佐賀産に加えて愛媛産の極早生品種を入荷する。各産地大玉傾向、前年を上回る数量が期待できる。りんごは、青森産、長野産に加え、県内産より秋星を入荷。13~16玉中心に、数量は前年より多い見込みだ。柿は和歌山産がメインとなり、10月下旬には、県内産(能登地区)が始まる見込みである。メロン類では、静岡産のアールスメロンは品質が回復し、正品率の増加が期待できる。北海道産は端境期も抜け安定した入荷となるだろう。他に、栗、洋梨、ぶどう類の入荷となる。
 国外果実では、ぶどう類はアメリカ産が入荷中で、食味、品質共に良好だ。アボガドは入船のトラブルにより中旬から下旬にかけて数量の減少が心配される。マンゴーはタイ産、ブラジル産の入荷。タイ産のナンドクマイ種は生育が順調で、食味も上々の仕上がりだ。

黒蜜姫のお出ましよ!

石川県産のブランドいちじく「黒蜜姫」

 「黒蜜姫」が人気だ。「くろみつひめ」と読む。石川県宝達志水町の特産いちじくである。能登の宝達志水町は昔から県内最大のいちじく産地である。主に「ドーフィン」という品種を作ってきたが、競争力の強い高級ブランド品を作り上げようと、黒イチジクの品種「ビオレソリエス」を導入した。そして昨年、愛称を公募し、751件もの応募の中から「黒蜜姫」と決めた。今年からは出荷の箱も専用のデザインとなった。

ビオレソリエスについて

 黒蜜姫ことビオレソリエスは、皮が薄く、ドーフィンよりも色が黒く、果肉は紅色、ねっとりとした食感が特徴だ。フランスが原産で、別名〝パリジェンヌ〟と呼ばれることもあるらしい。18度以上ある高い糖度が武器で、甘いものになると20度以上になる。適度に酸味もある非常においしい品種だ。出荷者は「JAはくい押水いちじく部会」。同部会は約40軒のいちじく農家が共撰体制を敷くが、そのうち黒蜜姫を手掛けているのは11軒だ(令和3年時点)。人気が高く、値段もドーフィンの2倍高く売れるので、生産農家は今後増えることだろう。9月下旬から11月中旬まで出荷が続く。

栽培に難しい品種

 しかしいいことばかりではない。収穫時期の見極めが非常に難しい。皮が薄く、糖度が高いので、品傷みや腐りが出やすいデリケートさを持つ。熟度によっては果肉が割れ、蜜があふれ出てきてしまう。まさに一番の食べ頃のタイミングなのだが、流通段階ではNGとなるので、収穫と流通に繊細な注意が要求される。

食べるタイミングを絶対にはずすなかれ!

 消費者にぜひ知っておいてほしいことがある。買ってすぐに食べればいいとは限らないことだ。いちじくは追熟する。手に取って押してみて、柔らかく、お尻から蜜があふれるほどになるまで待って食べること。完熟の印だ。その前に食してしまうと、よくある「ドーフィン」とあまり変わらずがっかりすることになる。逆に、最高のタイミングになれば、この上なく豊潤で濃厚な甘さを味わえ、柔らかい果肉、ねっとりとした舌触りも楽しめる。

今後の増産に期待

 県外からの引き合いも強いので、文字通り今は「幻のいちじく」となってしまったいる。ぜひ産地での増産を期待したい。とにかく、またまた新しい石川ブランドの誕生だ。