映画「シャン・チー」:レビュー

凡庸なルックスの主人公

 マーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』を4DXで観た。
 まあ、なんという凡庸なマスクの主人公だろう。主人公の父親が世界的スターのトニー・レオン、母親役が典型的な美人顔ファラ・チャンで、この両親からこんな凡庸なあんちゃんが生まれるのは解せない。が、主演俳優シム・リウは凡庸ゆえにじわじわと味が出てくるヒーロー像を作った。

個人的には大はまりのB級スペクタクル映画

 マーベル映画の集大成「エンドゲーム」の後、何本か映画やネット配信があったものの、完全に〝新しいヒーロー〟の登場はこの「シャン・チー」が初だ。しかも東洋人。個人的には大はまりといってよいほど面白かった。
 面白いと言ってもA級大作映画という感じではない。製作費はすごいだろうが、雰囲気的には「超B級」の匂いがプンプンで、そこがまたオツなのであった。なんせアクションのテーストがクンフーだ。クンフー映画が持つ独特のうさん臭さ、チープさを醸しつつ、マーベル流の大デコレーションが映画を覆う。トニーレオンが1000年も生きた設定などなんのリアリティーも感じられないが、そんな突っ込みどころはどうでもよろしい。個人的にはクライマックスで白竜が登場したのには鳥肌が立ってしまった。「千と千尋の神隠し」の「ハク」のような白竜。東洋的で神秘的。対するラスボス、暗黒のドラゴンは西洋のモンスターで好対照だ。
 白竜とテン・リングスの二つをゲットしたことで、シャン・チーはただのクンフー兄ちゃんからソーやマーベルに比肩するアベンジャーズの一員に昇格した。キャラ的にも十分に三枚目の才を持っている。やはりマーベルヒーローは、ごく一部を除きお笑いができないとダメらしい。

次作は「エターナルズ」

 次作のマーベル映画は11月に公開予定の「エターナルズ」だ。予告編を観るに、コスチュームが極めてB級っぽい。B級っぽいのをうまく仕立てるのがマーベルなので、大いに期待したい。

スタンド式体温計大流行り

事務所に続く階段前の検査機(開設者設置)

市場内のあちこちに設置

 最近、金沢市場内ではあちらこちらに「スタンド式体温計&消毒液噴霧機セット」が立っている。正式名称も通り名も知らないが、何のことかはわかるだろう。売場では休憩室の入り口に1台、階段の上り口に1台、各業者の事務所の入り口に1台といった感じだ。公共の卸売場に設置されているものは開設者たる金沢市が購入したもので、各事務所に置いてあるのはそれぞれの業者が用意したものだ。

我が社の検温機

我が社設置の検査機

 我が社にもある。うちの事務所は2階にあって幅10m×長さ100mくらいの細長いワンフロアーだ。廊下に出られる扉が5ヶ所あり、そのすべてに「スタンド式体温計&…」が置いてある。事務所から少し離れたところには会議室などもあって、その入り口にも「スタンド式…」がある。それぞれを連続して試してみると、微妙に検査結果が違う。まあ非接触型なのである程度は仕方ないが、ひどい時は1度違う。また、顔認証ではなく手をかざして検温する機器では、手洗い場で手を洗った直後は33℃台、平常時は36℃台と3℃も差がある。やはり正確さを追求するものではなく、一つの気休めでしかない。

買いすぎちゃった感

 トータル10台が我が社の保有で、上記開設者保有と各業者保有を合わせれば、今、市場全体ではおそらく100台前後もの「スタ…」があることになる。〝過ぎたるは猶及ばざるが如し〟とは言うまい。だが、こんなにたくさんあって、市場人は日に検温を何回しようというのか。ちょっと買いすぎちゃった感ありだ。メーカーはかなりの特需になったろう。

フラフープの二の舞だが…

 かなり古い話だが、かつてどこの家でも、押入れを整理したら、フラフープが1本か2本必ず出てきた。昭和33年に大ブームとなり、日本中が買い求めたが、ほどなくブームは沈静化し、押入れ行きとなったわけだ。では、今から5年後、「ス…」はなおも現役で使用されているだろうか。できればフラフープのように押入れに鎮座して無用の長物と化していて欲しい。それがすなわちコロナ終息を意味する。ああ、あんときはこんなもん買っちゃって、アホだったねぇ、と笑い話になる世になっていてほしい。

東京パラリンピック総括

9月5日閉幕

 東京パラリンピックが5日に閉幕した。162の国と地域、約4400人の選手が参加した。13日間で22競技、539種目が実施され、日本は金13、銀15、銅23のメダルを獲得した。五輪からパラへ。開催か中止かで日本中が揉めに揉めた。総括して感じるところを述べる。

感動というより〝驚愕〟

 「感動ポルノ」という言葉がある。障害者のがんばる姿が健常者に感動を与えるための消費物となることを批判する言葉だ。パラリンピックがこうした偽善の世界であってはいけなかった。実際、様々な競技を観てどう感じたか。これはもう、ただただ〝驚愕〟の連続であった。例えば車いすバスケットの激しさやテクニック凄さは、漫画「リアル」で学習済みだったはずだが、現実ははるかにイメージを超えていた。 ボッチャでは、正確無比な投球で見せる冷静さと、それが決まった時に思わず発せられる雄叫びのコントラストが面白く、杉村英孝選手の格好良さはまさにアスリートのものだった。 健常者競技よりも記録が良くなる可能性を秘めた技術の進歩にも興奮させられた。走り幅跳びのマルクス・レームの自己ベストは東京五輪の優勝記録よりも良い。今後、義足の技術はますます発達し、反発性能がさらに上がってオリンピックより記録が伸びるだろう。道具の制約など一切取り外し、行くところまで行く競技を作るのも面白い。それも人類の可能性を追求する試みだ。

不平等を受け止めた先の平等

 パラリンピックを通じ、人は不平等であることを改めて思い知らせされる。だが、その不平等を受け止めた上で、平等に競争する場を提供するのもまたパラリンピックである。障害の度合いを数値化して、線引きをしながら種目を設定する。そこには片足のない人、両足のない人、片手がない人、両手がな人が混在する。平等なわけがない。だが選手はみなそんな不平等を受け止めた上で競技に参加している。そこには勝ち負けを超えたスポーツマンシップが芽生えていた。 車いすラグビーでは男女混合にすれば、チームの持ち点で優遇される。これも素晴らしいアイディアだ。差別ではなく、能力差を受け止めたうえでルールに反映させる。これで競技の幅が広がることになる。不平等や差別は、むしろ平等の源となる。ユニバーサルリレーも様々な障害や性差を同じ競技の場に盛り込む。アイディアさえあれば、いくらでも楽しい世界は創出できるということだ。

共生の在り方

 パラリンピックは障害者と健常者が共生する社会の無限の可能性を示唆してくれた。今回、トラック競技やマラソンで活躍したガイドランナーの格好良さにはしびれてしまった。自身も強靭な肉体と身体能力を持たねばならぬと同時に、障碍者をサポートする様々な配慮や技術が必要だ。五輪でも選手を支える〝チーム〟の重要性はよく見て取れたが、パラのサポートは競技者の一部と言ってよい。 NHKの放送では、解説者やゲストにも障害者を起用した。観る側、感じる側にも多様性を持ち込むことで今までにない視点や関心が現れ、非常に新鮮であった。

スリーアギトス

 パラリンピックのシンボルマークは「スリーアギトス」だ。「アギトス」はラテン語で「私は動く」。あきらめずに前進する意思を示す。奇しくも、金沢市中央卸売市場のロゴマークはこのスリーアギトスに似ている。我々市場人も、パラの精神にならってあきらめずに前進を続けなければならない。

是非と意義

 パラリンピックが無事に開催できたことは本当に良かった。大会は成功であったと思う。五輪も素晴らしかったが、東京大会の開催意義はパラにこそあった。やってよかったというレベルではなく、パラは開かねばならないものだった。IPCのパーソンズ会長はパラリンピックを「地球上で最も変革を起こす力のあるスポーツイベントだ」とアピールした。アフガニスタンの選手2名の参加を実現させたことは後世に渡り称賛されるだろう。 一方で、パラリンピックの選手、関係者の約800人にコロナ陽性者が出たという負の一面もあった。これは確かに大きな問題かもしれない。しかし、参加者全員に輝きを与え、それを観る世界中の人々に多様性、調和、共生、平和を考える機会を与えた。そのプラスの方がマイナスよりもはるかに大きいと信じる。 新型コロナウイルスの影響で1年延期された東京大会は、オリンピック(7月23日~8月8日)、パラリンピック(8月24日~9月5日)ともに日程を終えた。

青果物の週間情報 【2021-W37】

■週の概況 第37週 9/6(月)~ 9/11(土)

【全体】

 曇雨天が続き、産地の出荷量はやや減少傾向にある。野菜は全体としては堅調でやや強含み。お盆前の激安状態からジリジリ単価が回復しており、傾向としては昨年と逆だ。気温は秋めいて涼しくなり、サラダ商材から加熱商材へと需要がシフトする。この週は菌茸類、ねぎ、白菜などの動きが良くなるだろう。特に菌茸はしいたけの増量が顕著になる。トマト・ミニトマトのひっ迫感は解消されてきた。反対に雨による出荷減と需要増で春菊の高騰が目立つ。玉ねぎ、馬鈴薯は長期的に品薄高値基調となる。まん延防止が続くので業務需要は相変わらず低調だ。ただ、石川県内の感染者が以前より落ち着いてきており、わずかながらも外食産業に動きが出てくる。 果実も秋の彩りが目立つ。梨は幸水が終わり豊水と南水など後継品種へ。シャインや巨峰など大粒系はピークに入る一方、ルビーロマンは終盤でわずかとなる。いちじくは潤沢。栗は茨城県産と週の後半より地元石川県産。柿もちらほら姿を見せ始める。

【野菜】

 葉茎葉菜類では、レタスは長野産が安定し価格も下がる見込みである。ブロッコリーは朝晩の冷え込みから、減少傾向となる。キャベツは夜温が低く生育が遅れ、入荷は少ないだろう。菜類では、ほうれん草は少なく、価格は前年より高値推移となる。小松菜は若干ながらも県内産地の回復が見込まれる。菌茸では、県内産の椎茸が潤沢で前年を上回る入荷が期待できる。 果菜類では、胡瓜、茄子は低温による生育の遅れから、数量減少が予想される。ピーク期のトマトも低温と曇天の影響から大幅な増量は見込めない。枝豆は岐阜産の終了から間が空いて山形産へ移行。ピーマンは、長野産、北海道産が微減となり、後続産地の高知産は9月下旬からの入荷となる。 根菜類では、北海道産の人参が数量回復し、不足感のあった太物についても増加が見込まれる。大根は引き合いが強まる中、軟腐病が発生し品質が不安定にある恐れがある。ばいれしょは少なく堅調な価格推移。玉葱は小玉傾向で入荷少なく、前年より高値での推移が続く。反対に、ごぼうは青森産が潤沢で、価格も下がる。県内商材では、甘藷と蓮根が安定した入荷だが、需要の高まりから不足感が漂い、蓮根については、高値となる。

【果実】

 国内果実では、ルビーロマンは連日の販売だが、数量は徐々に減少する。県内産の梨は20世紀、豊水の入荷で、南水もスタート。加賀しずくは、安定した入荷が見込まれる。巨峰は、長野産をメインに数量の増加が期待される。シャインマスカットは山梨産が潤沢で、価格も下げ基調となる見込みだ。りんごは青森産に加えて長野産の入荷。長野産は、前年より若干中玉(32・36・40玉)の発生比率が高い。栗は茨城産主体の入荷。前年より豊作だが、天候次第で数量が落ち込む可能性もある。グリーンハウスみかんは愛知産、佐賀産より週2回程度の入荷が見込まれる。 国外果実では、キウイフルーツはゴールド系の入荷があるが、大玉・小玉の両端が減少するだろう。その他の品目については安定した入荷となり、価格も保合で推移する。

菅首相辞意について考える

突然の不出馬表明

 3日、菅総理大臣が自民党総裁選に出馬しないことを表明した。事実上の退陣表明である。理由はコロナ対策と選挙戦を両立することができないからとしているが、もちろんそんなものは上っ面だ。実際は総裁選後に控える衆議院選挙に勝てないと判断したからだろう。横浜市長選で自民が惨敗、ワクチン接種が進もうが五輪パラが盛り上がろうが内閣支持率は低迷の一途。このまま自身が総裁を続け選挙に臨んでも政権与党の座を守れないと悟ったのか、そういう圧力が巨大すぎたのか。この数日間のめまぐるしい動きから一転、ポキッと折れたように辞意を表明した。

菅政権の功罪

 思えば不思議である。菅政権はにこれといった失策はない。むしろ功績はたくさんあると評価できる。
●デジタル庁は自身の公約。ちゃんと創設した。
●携帯電話料金の値下げも公約。それもちゃんと実現した。
●オリンピック・パラリンピックを開催し、どちらも無事にやり遂げた。
他にも、汚水処理、慰安婦表現、皇位継承に向けた養子制度など、積年の問題にしっかり手をつけてきた実績もある。

菅政権のコロナ対策

 菅政権を断罪する意見としては、コロナ対策が後手後手で一向に市民の生活と社会不安が改善しない、緊急事態宣言等における規制ばかりで補償がまったく追いついていない、という声が大きい。しかし、コロナウイルスにどう対処するかなど、誰もわからないのである。日本のコロナ施策に失敗もたくさんあった。しかし、世界レベルから見て日本は感染数は極めて少なく、ワクチン接種率も大幅に改善を果たした。ファイザーに直談判しワクチン提供を約束させたのは総理の功績だ。+と−をガッチャンすれば、多分日本はいい線行ってる方なのではないか。

菅政権の不人気

 それでも菅政権はあまりに不人気である。そう、不人気。人びとの好き嫌い、感覚の問題だ。菅総理の口から出てくるコメントはぶっきらぼう、棒読み、不誠実な印象だった。政治家のくせにフリートークの本当に下手な人だと思う。マスコミはそこを突き、暗いイメージを煽った。政権維持だけを考えれば、菅総理は陰でパフォーマンス能力を磨くべきだったのだ。トークのテクニックを伝授するコンサルなんて世に吐いて捨てるほどいるだろうに。

次代の政権

 退陣が決まった以上は、次のことを考えよう。日本は、世の中は、やはり今、かなり危うい状況だと思う。コロナについてはわからない。ワクチンが効を奏して終息に向かうかもしれないし、ラムダじゃミューじゃが猛威を奮ってまた人類が瀕死の状態になるかもしれない。問題は経済政策と対中国だ。その2点について明確なコンセプトを持つ政治家に次代を担っていただきたい。

産地の〝当たり前〟が変化してきた

委託時代は終焉か

 系統産地(全農を頂点とする農協系統組織が出荷する市場流通)からの青果物は、卸売市場に対して委託で出荷するのが従来の〝当たり前〟だった。また、卸売市場から先の販売先については卸売会社にお任せで、産地は我関知せずがこれまた〝当たり前〟だった。しかし最近はその〝当たり前〟に変化が見られる。

計画的販売シミュレーション

 例えば、ある系統は、主力品目のシーズンスタートからエンドまで、数量・金額・販売先について、計画的な販売シミュレーションを求めてくる。どこ(スーパー)に、何を、どれだけ、いくらで売りますよ、という〝絵〟を見せてくれということだ。その絵が納得できるならば荷物を出すが、卸売会社が旧態依然として「精一杯、頑張ります」と言うだけでは信用できないので荷物は出しません、というわけだ。

買付取引の主流化

 また別の系統では、契約的取引や値決め済みの出荷については、委託ではなく買付で出してはどうかと考えるようになってきた。委託と買付の言葉の意味を考えれば、むしろ健全な変更だ。だが長年にわたって「出荷奨励金」という摩訶不思議な慣例があったもので、委託と買付には大きな壁があった。

双方のリスク

 上記2つの変化に共通するのは取引価格の事前取り決めだ。これはそう簡単な話ではなく、価格の事前決定によって、産地と卸売会社の長年にわたる基本的な関係性(すなわち、委託販売においてこそ、お互いに商品を高く販売したいという利害一致が生まれる)が崩れてくる可能性がある。買付が増加すれば、卸売会社にとっては、従来よりもリスクが増加する一方、引き受ける数量を決める裁量が与えられてしかるべきだ。いくらであれば、これだけやりますと。これは系統産地にとっては損得が微妙だ。相場に関わらず、数量の決まりは守ってもらわなければならない。あ、もうないですわ、では済まされない。この50年間、市場が産地に対して便利に機能してきた最大のポイントは「需給調整」ではなかったかと思う。産地は、ない時(モガキ)は出さないで済み、余りまくっている時(ナヤミ)は押し付けて済んできた。買付が主流になるとこの技が使えなくなる。

時代の趨勢、体質の変化

 だが、これはおそらく時代の趨勢なのだと思う。今後、産地と市場の関係性は買付主体になる。市場は委託手数料で成り立つ時代から、差益で商売する時代に変化しなければならない。仕入・販売担当者の考え方、優秀な営業マンのタイプも変化せざるを得ないだろう。難しい時代へ突入だ。だが、私にとっては多分これからの時代の方が合っている。ワクワクして進みたい。

レアベジスイーツの3品

 昨日行ってきた「加賀野菜レアベジスイーツ」の12店の中で、お話を聞けたものを3品ご紹介する。

1.ホリタ205「赤ずいきとローストココナッツのアイスクリーム」

 「ホリタ205」は青果専門店の(株)堀他が運営するパーラーで、野田山墓地近くというあり得ない立地にありながら、大人気の行列店である。店長の二股さんは、このパーラーを切り盛りするためにヘッドハンティングされた。今回、赤ずいきを食材に選ぶにあたっては、他の店が先行していて、へた紫なすをチョイスする店が多いと聞いたので、人気薄だった赤ずいきをあえて選んだとのこと。スイーツは赤ずいきから抽出したエキスをココナッツアイスに練りこんだもので、赤ずいきの姿は確認できないが、風味にはちゃんと反映されている。それにしても、お皿半分に何か載るのだろうか?と思わせる配置だが、これがおしゃれなんだそうだ。

2.マレ・ドール「びっくりへた紫なす」

 本当にその姿にびっくりだ。え?なす?実は中身はピューレ・コンポート状にしたへた紫なすをレモンとチーズでムースにし、外側をチョコレートでコーティングしたものだ。これは造形の面でも芸術品であり、スイーツとしてもとてもおいしかった。お店では単品として売るとのことだが、1個700円もするこのスイーツを中身もわからず買う人は相当のチャレンジャーだ。むしろ、レストランのコース料理で、最後のデザートとして出てくれば、お客は最後に大きな感動を覚えることだろう。

3.エンゼル「加賀つるまめのマドレーヌ」

 このお店はこの一品に限らず、その足跡がグレートだ。加賀野菜を使ったお菓子はもう随分前から手掛けられている。他の11店は今回の企画が初めてだが、こちらは年期が入っている。とっくの昔に全15品目網羅である。つまり、いつも作られているものをこの日もそのまま持ってこられたのだ。テーマの「加賀つるまめ」の他にもなす、赤ずいきをちゃんと並べられていた。それぞれ1個180円。安い!現店長の裏野剣一さんは、まだお若いのに、地物野菜への見識と愛情が半端なかった。金沢にはすごい人がいるものである。

総評

 他の9作品も素晴らしい意欲作だった。地元農家にとっての野菜作りの励みになってほしいし、また、せっかく開発して下さったのだから、紹介されたスイーツがたくさんの市民に食べられ人気を博することを願う。(それにしても、本日の朝刊の取り上げ方は小さくてだいぶ不満だが…)

加賀野菜レアベジスイーツコレクション

加賀野菜のマイナー品目を振興するフェア

 「加賀野菜レアベジスイーツコレクション」の開催セレモニーに参加した。加賀野菜で生産量が少ない三品目「つる豆」「へた紫ナス」「赤ズイキ」の魅力を高めようと、金沢市内の菓子店12店に協力を仰ぎ、オリジナルスイーツを発表・販売してもらうフェアだ。9月1日から30日までの1ヶ月開催される。

参加12店のラインナップ

 この日は全12店舗が金沢東急ホテルに集まり、創作スイーツをお披露目した。・芝舟小出「加賀つるまめのかりんとう」・ホリタ205「赤ずいきとローストココナッツのアイスクリーム」・ハム&ゴー「へた紫なすのリッチバターパイ」・フィルフィル「へた紫なすとカカオのエンガディナー」・茶菓工房たろう「SIZEN夏菓」(3品を全て使用)・サロン・ド・シュークル「イチゴと赤ずいきのタルト」・ウフフドーナチュ「赤ずいきドーナチュ」・プリン専門店ドール「へた紫なすの前菜のようなプリン」・金沢東急ホテル マレ・ドール「びっくりへた紫なす」・コメール「へた紫なすのエスカリバーダ・デザート」・凛々堂「赤ずいき餡フルーツ大福」・ケーキハウスエンゼル「加賀つるまめのマドレーヌ」

山田元一氏がコーディネート

 この企画は、「金沢倶楽部」の社長だった山田元一氏が金沢市農産物ブランド協会からの依頼を受けてコーディネートしたフェアだ。金沢倶楽部のこと、山田元一氏のことについては、2020年4月22日のブログで書いた。昨年のコロナ禍で広告収入が激減し、金沢倶楽部は自己破産した。山田氏は私が心の中で「知の巨人」と崇拝する方だ。復活される日を心から待っていた。今はコンサルタントとして身一つで活動されているそうだ。金沢の発展に力を貸していただき、将来的には我が社にもその英知を分けていただきたいと思う。

フェアの意義

 加賀野菜は15品目が認定されているが、加賀れんこん、五郎島金時など数品目を除けば生産者が一人~数人、作付け面積もわずかの絶滅危惧種である。作るのが難しい、お金が取れない、現代人の口に合わない…いろいろな理由があるが、絶滅危惧だからこそ、加賀野菜に認定して守っているわけだ。こうしたフェアを使って、少しでも市民にPRすることはとても大切なことだ。本日のイベントはこじんまりして参加者も少なく、PR力という点ではまだまだだ。だが、振興策第一歩として大いに評価したい。

金沢マラソンで取材された

「月刊アクタス」の取材

 地元情報誌「月刊アクタス」(北國新聞社刊)の取材を受けた。金沢マラソンの参加ランナー代表(それも本大会ではなくオンラインで行うウルトラマラソンのほう)として、事務局が私を推薦したのだ。なんでこんなおじさんを選ぶ?と我ながら感じつつも、うちの会社と金沢マラソンの関係をアピールするのもいいかなと思った。そして、他に断る理由もないのでこの取材を受けることにした。

コスパの高い趣味・マラソン

 ウルトラマラソンで100km走ると言っても、オンライン版は全くたいしたことはない。1ヶ月の間(9月10日~10月10日)に累計で100km走ればいいだけだ。それなら毎月こなしている。マラソンは未経験者にはえらく高い壁に思われるが、完走するだけならほぼ誰でもできる。ハードルはとても低いのに周囲から妙に賛美されるという、過剰評価を受ける趣味だ。

コメント内容

 今回、記事を書いてくれる北國新聞社の大田さんとは金沢市民芸術村で待ち合わせ、1時間ほど話をし、写真も撮っていただいた。だいたい以下のような話をした。
・金沢マラソンの創設時、〝バナナの提供で我が社が関係しないなんて、地域の青果卸売業者の沽券にかかわる〟と思った。そこでドールに協力してもらって、ランナーが食べるバナナを無償提供してもらった。
・従って当社は金銭的な負担はほとんどないが、ドールバナナが金沢の人々にたくさん食べてもらえるよう、日々の営業やプロモーションを頑張らなければならない。その点、我が社のバナナ担当者にはとても苦労をかけている。
・金沢マラソンはランナーとして参加するのも面白い。沿道の人々の応援、出し物が素晴らしい。食べ放題、飲み放題。知ってる人とたくさん会える。
・ランニングは自分が近年身につけた趣味・習慣でもっとも有益なものだ。
①健康に良い。体力が付く。体重も適正に絞れる。
②ストレス解消、メンタルケアに良い。
③雑談にことかかない。マラソン未経験者からは妙に尊敬される(笑)。
④飯がうまい。ビールが美味い。人生で一番うまい!
⑤1時間のランニングも時間は無駄にならない。スマホでリスリングすれば勉強もできる。
・今まで開催された大会には全て参加できて、私は運がいい。バナナ提供の関係者だから、不正・裏道で当選しているのではないかと疑惑を持たれるほどだ。完走メダルが宝物である。

われわれはなぜ仕事をするのか

前澤重禮氏のコラム

 食品市場新聞という業界新聞で、岐阜大学の特任教授である前澤重禮氏のコラム「新まわしげり」がとてもよい内容だったので記録する。
 仕事に対する考え方や働くことの価値観について説いている。

オリンピック選手の心境変化

・選手は昔は「頑張りますので応援お願いします」だったが今の選手は「試合を楽しみたい」とコメントする傾向がある。
・前者は他人からの評価を意識しているが、後者は自分自身の成果・成長を実感することを最優先している。

仕事を楽しむ

 仕事を楽しむとな何か。
・休日のようにリラックス、のんびりして仕事するのではない。
・やらされ感ではなく、自分主導で粛々と遂行することに重点。
・組織の発展のためながら、自分が納得し、自分主導で行動する状態を継続すること。

我々は何のために働くのか

・単に金銭的収入を得るために非ず。
・他人から評価されることに仕事のモチベーションを感じるのに非ず。
・自分独自の物差しで納得できる自分なりの達成感を獲得することにある。
・仕事をすることで以前の自分に比べて自分の成長を実感することが大切である。

ではどう働けばよいか

・自分がコントロールできる仕事の比率を高める意識を持つ。
・自分が仕事に追われる感覚から抜け出せれば楽しめる。
・ダメな働き方とは、上司の指示どおり機械的に動く仕事、意味なく旧態依然として続けている仕事、どこかおかしいと思いながら従来通りやらされている仕事。
・上記ダメな仕事を自分主導の仕事に転換する。それには「真の目的」を的確に把握すること。何を実現するための仕事なのか、その目的のために何か別のやり方があるのではないかと考えること。
・人知れず積み重ねてきた厳しい練習成果を、自分自身の人間的成長につなげることによってもたらされる喜び、楽しみのために仕事をする。

なぜ勉強するのかも同じ

 竹田恒泰のも同じ主旨の発言があったことを思い出す。なぜ私たちは勉強するのか?それは勉強が楽しいからである。結果的に勉強をすれば幸せになる。だが、幸せになるために勉強をするのではない。楽しいから勉強をし、結果的には幸せになるのである。そこが根本的なモチベーションである。