スマホを替えた

2年間のアップグレードキャンペーン

 携帯会社の言うがままに、スマホを替えてしまった。突然電話がかかってきて〝今お使いの機種を使用して2年間が経過しました。今、新しい機種に替えると月割りで払っていた機種代金が下取りで免除となります〟と言う。この機種に替えた時、2年間のアップグレードキャンペーンができるような契約にしていたらしい。まっっったく覚えていないが。

デメリットがないのが交換理由

 特に前機種に不満や不備があるわけではなかった。だが新しくすると料金的には少し安くなり、これといってデメリットがない。ほんの少しのメリットだがデメリットがない、という微妙~なラインだったが、替えることにした。

年取って自力意欲減退

 携帯会社での手続き変更には2時間ばかし時間を要した。病気で医者にかかるよりも時間を食う。後で妻が教えてくれたが、今時の若い人は多くがネットで機種変更を済ませてしまうらしい。それならもっと短時間で安く上がる。だが、そろそろ私には、スマホの設定やら、料金プランの変更やらを独力でこなすのは限界なのだ。理解力がなくなったというより意欲がわかない。少し高くついてもいいから業者さんに〝やって!〟と投げてしまうお年頃になったということだ。

そして機種変更地獄

 だが、苦労はここからだった。前機種からのアプリ引継ぎ。特におサイフケータイ系。私は、ショップの人が呆れるくらいに電子マネーをたくさん入れていた。ナナコ、ワオン、ペイペイ、ラインペイ、マジカ、スイカ、エディ、Tマネー…。中には前機種でまず「預け処理」なるものをして、しかる後に新機種で「受け取り処理」をする必要がある。そうでないものも、必ずIDとパスワード入力は必須だ。これ、世の中の人はみんなちゃんとこなせているのだろうか!?プリペイドタイプの電子マネーは、何もかも忘れるとお金を紛失したのと等しいことになる。(最悪は、その存在すら忘れてしまうこと。しゃれにならない…。)パスワードを忘れても、変更手続きをすれば前に進めるが、時間と手間を食う。本当にストレスだ。スマホでキャッシュレス決済は確かに楽だが、こうした登録・更新を考えると本当に便利になったのかどうなのか、はなはだ疑問だ。一つ確実なのは、私が突然死したら、何万円かはクラウドという意味不明な世界の中に埋もれたまま、二度と出てこれなくなる。それだけならまだしも、毎月定額で支払う契約をしているサービスは、延々と家族も知らないまま払われ続けることになる。もう一度言うが、本当にみな、ちゃんとやっているんだろうか。他人ごとで全くないが、1年か2年に一度は、見直さなくては危ない仕組みの中に我々はいる。

ストレス増加スマホ時代

 まあ、なんとか、丸一日かかって機種変更及び更新手続きを終えた。くれぐれも2年間はこの機械を紛失しないように気をつけねばならない。落とした際のサービス停止等の手続きの煩雑さは、想像するだに恐ろしい。なんでもお金で払えば良かった時代がシンプルで効率的だった。便利なようでストレスが増えたスマホ社会である。

イオンモール白山を歩く

開業して1ヶ月

 石川県白山市横江町にオープンした「イオンモール白山」が開業1か月を迎えた。本日、妻と長男を伴い、初めてゆっくり見て回った。7月19日の開業日に行ったものの、あまりの人出に〝危機感〟を感じ(半笑)、青果物が販売されるスーパーマーケット部分だけちょこっと覗いて帰ったのだ。本日は平日で市場は休市、まん延防止措置中とあって、人出は少ないと判断した次第。読みは当たって、かなりゆったりと歩き回れた印象だ。

モール概要

 この商業施設は3階層で、敷地面積5万3千坪、延床面積3万3000坪、総賃貸面積2万2000坪。その中に北陸最大級の203のテナントが入る。駐車場は約3800台収容可能で広大だ。イオンはかほく市と小松市にもショッピングモールがあるため、すみ分けが心配されるものの、近くにあったイオン御経塚店を今年3月に閉店し、3モールが共存できるように配慮している。

グランシェフズキッチンに注目

 私的には、注目は「Grand
Chef’sKitchen(グランシェフズキッチン)」である。世界に名立たる(とはちょっと大袈裟な表現だが…)超有名シェフ(これもちょい大袈裟)5名が1階のエリア内に店舗を構え、ランチメニューでは2000円と3500円の2種類ずつ用意し、来訪者をもてなす。料理の鉄人・坂井宏行氏が「イル・ド・レ」(フレンチ)を、奥田政行氏が「イル・ケェッチャーノ」(イタリアン)を、笠原将弘氏が「らはさか」(和食)を、魏賢耀氏が「菜香樓」(中華)を、辻口博啓氏が「カフェ
ドゥ アッシュ」(スイーツ)をプロデュースする。これら料理店を核として立ち上がった「78美食倶楽部」は、白山と金沢をサン・セバスチャンのような食文化香る街にする壮大なプロジェクトだ。当社はそれのメンバー企業に名を連ねさせていただいている。

グルメゾーン多し!

 レストラン街はここだけではない。2階にも3階にもある。全部でいったい何十店あるのだろうか。廉価な大衆向け飲食店から一流高級店まで網羅されている印象だ。同じ1階に地元金沢の人気レストラン6店が集まってのFOOD
HALL LOKU(フードホール・ロク)」、2階にはバラエティ豊かな14店舗が揃う「FOOD
STREET」、3階には客席約1000席を備えるフードコート「FOOD FOREST」がある。

遊び場ももりだくさん

 1階には書店とカフェがミックスした業態「TSUTAYA
BOOKSTORE」があり、スターバックスコーヒーの飲料を飲みながら本を読める。3階にはカプコンが運営する体験型アミューズメント施設「MIRAINO」があり、子どもから大人まで楽しめるようになっている。同じく3階には10のスクリーンを備えた「イオンシネマ」もある。

衣食住用品が充実

 1階は、9月にオープンだが、ユニクロとジーユーが大きな面積を占有する。ハミルトンエッセンス、GARN、イェッカヴェッカトミーヒルフィガーやチャオパニックティピー、ベイフロー、フライングタイガーコペンハーゲンといった店は当地域では初出店だそうだ。また、近年、イオンモールによく出店のあるYogiboがここにも店を構え、実際に手に取りながら商品を見られるので人気が出るだろう。

セルフレジシステム

 従来のスーパーマーケット部門でも斬新な取り組みが。「どこでもレジゴー」という、スマホをカートに付けて、食品売場で自分でバーコードをスキャンするセルフレジシステムを県内初導入した。“レジ待ちしない”お手軽感が売りだ。また、店内のカメラ映像をAIが分析し、迷っている客を感知して従業員に通知してれるのだそうだ。

ブランド品あり、廉価品ありで誰にでも面白いパーク

 広大な中にも買い物・遊び場・食べるところが網羅されており、老若男女だれでも楽しめる内容になっている。高級ブランド品はむしろ少な目で、廉価ながらも珍しいものを売る店が目について楽しかった。

一斉PCR検査結果

陽性率0.82%

 8月12日から14日まで、金沢市中央卸売市場の水産物の卸・仲卸・市場に出入りする小売業者の授業員を対象に行ったPCR検査の結果が大枠においてわかった。3日間で732人のが検査を受け、6人の陽性が確認されたとのこと。陽性率は0.82%となる。

ここで歯止めを

 新たに6人の感染が判明したのは重く受け止めなければならないものの、思いのほか少なくて済んだという印象だ。以前、片町の繁華街で集団検査をしたときは、約3.7%が陽性となった。その率で行けば今回は20~30人も出て、業者によっては営業が立いかなくなるのではと心配していた。これで感染者の一応の隔離が図られ、感染の芽を摘むことができるのならば有り難い。

より一層の心の引き締めが必要

 陰性だった人はほっとしたことだろう。が、PCR検査とはあくまでも検査時点で感染の有無を高確率で示すものに過ぎない。100%の正確性を与えるものではないし、将来を保障するものでもない。感染対策を徹底しなければ、また新たなクラスターが発生する場合もある。そして、青果は幸いにして感染拡大は出ていないが、いつなんどき襲われるかわからない。

自身の活動自粛

 私は、仕事と離れた趣味の世界において、近々の寄り合いに参加するのをご遠慮することにした。中央卸売市場で感染がまん延していることは皆が知っている。私のところは違いますよと言って我を通すことはもちろんできるし真っ当だ。だが、お仲間の中で内心それは気持ち悪いと感じ、言葉には出せないけれども不快な思いをする方はいるだろう。不要不急ならばこちらからご遠慮するのが無難かな、と思った次第。世の同調圧力に自分もまさに染まっているようになるが、暫くは仕方がないと判断した。

仮面ライダー プレミアムアート展

仮面ライダー生誕50周年企画

 金沢21世紀美術館で8/5~9/5に開催されている「仮面ライダー プレミアムアート展」に行ってきた。仮面ライダー生誕50周年記念の企画である。

石ノ森章太郎の原画展示

 展示会では1971年の1号ライダーから現在放映中の仮面ライダーセイバーまでのパネル、スチール写真、等身大フィギュアなどが陳列され、特に1号ライダーにおいては原作者石ノ森章太郎が「ぼくらマガジン」に掲載した原作原画が多数展示されていた。

仮面ライダーにはまった時代

 私は仮面ライダーど真ん中世代である。ライダーでも特に1号、2号、V3の三代は特別な存在だ。当時、番組のヒットによって「カルビー仮面ライダースナック」の仮面ライダーカードが爆発的に人気を得た。私もせっせと1個20円の商品を買ってカードを集めた口だ。この世代は、幼稚園時代にウルトラマンが始まり、小学低学年時に仮面ライダー、その後にマジンガーZなどが続いた時代だ。ゴレンジャーの開始になると自身も中学生になり、そろそろ特撮ヒーローモノは卒業の頃合いになる。

3年、30年、3年、、、

 この展示会を見て改めて驚いた。私がはまりにはまった1号、2号、V3の放映時期が、なんと3年足らず(1971年4月~1974年2月)だったのだ。現在まで50年続くライダーの歴史だが、私にとってはこの初期3人が80%の感慨を占める。その後は長らく無関心時代が続き、なんと30年後、結婚して息子が生まれ、息子が3歳くらいになって親子で見始めるようになったのが仮面ライダー555(ファイズ)だった。いわゆる平成仮面ライダーシリーズである。平成シリーズは、人気男優の登竜門的存在になり、子供よりも若い女性が注目する番組になっていた。脂ぎった藤岡弘ではなく、水嶋ヒロ、佐藤健、菅田将暉らがスマートにアクションをこなす世界になったのだ。息子とともに3年ほど観て、息子のライダー卒業とともにまた10年以上観なくなった。そして、今や令和ライダー時代。はでなピンク色に塗り固め、全身におもちゃをぶら下げているようなライダーが今も毎年登場している。

永遠の仮面ライダー

 仮面ライダーはどこに行くのか。毎週日曜朝のシリーズは、将来、孫が生まれて同居するような事態におならない限り、見ることはもうないだろう。楽しみなのは、庵野秀明が監督し、来年封切りとなる「シン・仮面ライダー」だ。不思議なもので、小学3年生から3年間見続けたライダーの世界ならば、還暦が間近の今となっても強く惹かれる。一生の最後を飾る、鬼カッコいいスーパーヒーローをぜひ観せてもらいたい。

青果物の週間情報 【2021-W34】

■週の概況 第34週 8/16(月)~ 8/21(金)

【全体】

 金沢市中央卸売市場では7月末からクラスターが発生し、人々の不安感が拡大する極めて残念な状況である。感染は水産物業者に集中しており、12日から水産関係者を対象に一斉のPCR検査(500人規模)が実施された。青果部においてクラスターは出ていないが、感染対策を一層徹底し、市場業務を継続しなければならない。また、風評被害が懸念されるところだが、食品を介して新型コロナが感染する事例はなく、通常と変わらぬ運営を今後も継続していく。

 全体的な市況動向として、これまで潤沢安値だった野菜の流れを引きずり、コロナ禍で人の移動が少ないことと相まって、旧盆商戦は低調なムードだ。例年、品薄で大騒ぎする品目が少なからず出るが、今年はひっ迫するものはほとんどなく、悪天候もあって消費の鈍いお盆となりそう。しかし、盆が明けると、局所的に大雨となる影響で野菜の生育が不安定となり、状況が一変する可能性がある。8月31日の野菜の日をめがけ、相場が上昇する流れになりそうだ。

【野菜】

 葉茎洋菜類では、レタスは干ばつで数量の落ち込みを見せていたもののひっ迫感は解消に向かう。ブロッコリーは北海道の暑さは落ち着いてきたが、入荷は少なく回復はまだ先になりそうだ。中国産の松茸は盆需要もひと段落し、入荷は減少傾向となる見込みだ。
 果菜類では、胡瓜は台風の影響から福島産、県内産の入荷は減少となり価格も上げ基調に転じる。茄子についても群馬産は強風の為、正品率の割合少なく堅調な価格推移となるだろう。ミニトマトは県内産が端境期で減少するが、翌週以降には回復する見込みだ。
 根菜類では、ばれいしょ、玉ねぎ、大根、人参の主要産地である東北以北では、降雨により干ばつは解消されつつあるものの、数量増には時間がかかる。また、盆休みの絡みで産地の出荷休みもあり、日々の入荷に注意が必要だ。青森産のかぶらは、台風の被害で入荷は減少する。県内商材では、レンコン、甘藷が安定した入荷が見込まれる。

【果実】

 国内果実では、西瓜は能登地区の入荷が終了する。梨は県内各JAより幸水が安定した入荷となる。ルビーロマンはピークも落ち着き入荷はひと段落する模様だ。他にも県内商材では、ぶどう類やいちじくの入荷が本格化する。先般の台風や連日の降雨により、裂果等の品質の低下が懸念されるところ。シャインマスカットは山梨産が露地作に切り替わり、連日の出荷となる。桃は盆需要も落ち着き価格は下げに転じるが、前進出荷と不作から前年より少ない入荷状況が続く。愛知産のグリーンハウスみかんが週後半よりスタートする。
 国外果実では、バナナの船舶の遅延が発生している。その他の品目については安定した入荷が見込まれ、価格は保合が予想される。

盆休みと休日対応

市場と連休

 本日14日から16日までは中央卸売市場の休市日である。いわゆるお盆休みにあたる。卸売市場の休市は祝日の関係でまれに連休があるものの、基本的には土曜日は営業で連休はなし、特に年間で3連休以上になるのは年末年始とこのお盆休みだけである。ゴールデンウイークといえども3連休は回避する。これは生鮮食料品ならではの配慮だ。青果物、水産物など、生鮮食料品は品質の劣下が早いため、人々に安全な品物を提供するためにも連休は極力回避するのが基本姿勢である。

休日対応

 そういうわけで年に2度しかない貴重な3連休であるが、社員の多くは数時間ながらも現場に出てきたりする。市場全体は休市だが、鮮度の高いものがどうしても必要という顧客の声に応えるため、産地に特別に要請して荷物を出してもらうことがあるからだ。これを〝休市対応〟という。たとえ早朝数時間だけの出社とはいえ、休日が仕事でえぐられてしまうのは忍びないので、私としては、チーム内で当番制にしたり、在宅でのリモート業務に切り替えたりしてなんとか社員の休暇時間を確保してもらいたいと思う。だが、一足飛びには改善できてないのが現状だ。

真面目な社員に報いたい

 私自身は正直仕事はなかったが、社員が何人も出てきているだろうと思い、朝方4時30分に現場を回ってみた。仲卸業者の方が人数は多いが、わが社の社員も少なからず現場で動いていた。皆、勤勉である。この業界は、人間の真面目さに支えられていると痛感する。けなげで真面目な人たちばかりだからこそ、もっと収益性を高めて、働く皆に報酬面で還元できるような体制にしなければ申し訳ないと思う。

水産部の一斉PCR検査

水産部で500人規模が実施

 金沢市中央卸売市場の感染が止まらない。7月30日のクラスター認定から本日までに感染が出たのは水産部である。そこで金沢市は、水産部の卸・仲卸・関係業者を対照に一斉にPCR検査を実施した。昨日12日から明日14日までの3日間、希望者に無料で検査する。希望者に、とは言っても、中央市場内の感染拡大を一日も早く止め、卸売市場への市民の不安を取り除くのが主目的だから、ほとんどの水産関係者(500人規模)が受けると思われる。これで数十人が新たに発覚し、一部業者の営業が困難に陥るのも困りものだが、感染状況を正面から受け止めるのは重要なことだ。結果は心配だが、豊洲市場も経験してきた道である。当市場もこの危機を乗り越えなければならない。

唾液を出すのにレモンのイラスト!

 さて、重い話ばかりでなく、笑える話も一つ。今回のPCR検査を受けた人から聞いたことだ。検査会場では、一定量の唾液を出さねばならない。試験管に〝2〟と書かれた線まで出すらしいから、2ccだろうか。若い人はすぐ出せるが、年配になるほど出にくく苦労する。なので検査場のテーブルには梅干しの写真が置いてあるそうだ。そして、別のテーブルにはレモン。それも写真でなくイラスト(!)とのことである。うむむ、レモンの絵を見て唾液を出すというのもなかなかハードルが高い。ふと、産婦人科の精子検査室にエロ本が置いてある話を思い出した。レモンの絵を見て唾液を採るのは、さしずめロリータマンガを見て精子を出せというようなものか。とくだらない連想をした次第。

金沢農業大学卒業生園地研修

農業大学支援チームの園地訪問

 金沢市で新たに就農しようとする人たちを教育し、支援するのが金沢農業大学である。その支援チームに僭越ながら私が入っており、この日、卒業生3名の就農実態を確認・指導する研修会が開かれた。私は栽培技術の面では素人である。何を作ればよいか、どの時期にどう出せばいい値がつくか、といった流通面・販売面でのアドバイザー役である。金沢市の農業はマスで見れば零細である。こういう就農支援が充実し、卒業生がその後も農業でしっかり生計を立てられるようになることは非常に重要だ。

規模の拡大には卸売市場がパートナー

 本日は3名の卒業生の園地に伺った。彼らはそれぞれ、栽培品目の一部は共撰(農協の部会に所属しグループの一員として出荷する形態)だが、それ以外は個人出荷(単一農家として出荷する形態)で市場ではなく直売所に出している。私としては市場に出す量を増やしてもらいたい。だがなかなかそうはならない。市場のほうが直売所に出すよりも高値で売れることが少ないからだ。では市場は農家の産物を不当に安く叩き売る搾取機関か?そうではない。信頼を得て、それなりのロットを安定的に出す出荷者にとっては、直売所よりも市場のほうが強力なパートナーとなる。農家として規模を拡大したいのならば断然市場出荷だ。販路は無限と言って良い。だが、そこまでのラインに到達しないでやめてしまう生産者がほとんどだ。市場への出荷当初は、少量単発的な出荷になりがちで、それだといい値がつかない。多くの個人出荷者は、その入口の安値世界しか味わわずに市場出荷を敬遠してしまう傾向にある。私はこれは、生産者にとっても、市場にとっても不幸なことだと思う。

金沢春菊の可能性

 本日の卒業生はエリア的には金沢中央農協の管轄下だ。金沢中央農協が力を入れたい品目に加賀野菜の「金沢春菊」がある。丸い葉が特徴で香りの良い品種だ。地域の独自性もある。需要もある。卒業生たちも作ってみたいという意欲は旺盛だった。しかし、ためらいもあった。理由は簡単。自分が作り、お隣も作り、あの人も作り、かの人も作り…となると、とたんに供給過剰になって値崩れを起こすのではないかと思うのだ。これが個人出荷だけの世界の悲しさだ。個人=点 の集合体だと、明日はどれだけ出るか、来週はどれだけ出るかが全くわからない。いつも未知な世界で、出してみないと量も価格もわからない。だから組織かし、計画し、前もって交渉をするのだ。そこに農協と市場流通の出番がある。

市場として支援したい

 私にとって今回が金沢農業大学のデビュー戦だった。前任者からおぼろげながら聞いていたが、ようやく実感することがあった。新しい担い手こを点を線に、線を面にして、組織化しなければならない。それが産地化だ。これからの卸売会社の役割は、共撰共販化を販売面から支援することだ。

私的ワクチンと一斉PCR検査

ワクチン(1回目)を打った

 かかりつけの内科さんで、コロナウイルスの1回目のワクチンを打った。ファイザー製である。先生と世間話をしているうちにいつの間にか接種は終わっていた。その後15分だけ待機し、帰ってよいと言われた。他の人は30分も対機させられていたが。私は優良患者なのだろうか(不明)?

水産側で一斉PCR検査

 金沢市中央卸売市場では本日も5人の陽性者が出たとの発表がなされた。7月末のクラスター発表から数えて36人となる。感染者は水産物部に集中しており、水産物を扱う卸、仲卸業者や、市場に出入りする小売業者の従業員ら500人に明日からPCR検査をすることになった。保健所が市場内に特設会場を設け、水産関係者の希望者が検査を無料で受ける。クラスターが発生した際のルールに則り、この検査は無料で受けられるそうだ。

共通認識で皆が我慢の時

 PCR検査の処置は、食品流通の安全を確保する上で必要な対応策である。が、これはこれで〝なぜ水産だけ検査し、青果はしないのか〟という批判が沸き起こりそうだ。今までは青果と水産は区別せず「金沢市中央卸売市場でクラスター発生」と発表され、青果側も少なからず風評被害を受けてきた。だが、ここは市場全体として、感染対策と食の安全保障を確保し、市民が持つ不安感を払しょくすることこそが重要である。関係者全員が認識の共有と辛抱を持ちあうことが求められる。ある程度の温度差は乗り越えなければならない。明日は青果側で感染がまん延し、水産は終息するかもしれないのだ。

青果物流通あるある

1.品薄の時に自然災害

 台風9号10号は、青果物の生産・流通にそれほど大きな影響を与えないと思われるが、輸送面で若干の混乱が出る。北海道や淡路島のフェリーが停まった。よって本日売りや明日売り分の大根・玉ねぎ・人参などが未着となっている。特に人参は高温干ばつで数量が少なかったことから、ひっ迫感が強い。欲しい時にわざわざその不足感を助長するような自然災害が起こる。これは青果物においてはよくあることだ。他にも思いつく〝青果物あるある〟は以下のとおり。

2.〝あるある詐欺〟と〝ないない詐欺〟

 卸売会社は先々の需要と供給のバランスを見極めることが極めて重要なので、毎日のように生産者(個人農家、農協職員、全農担当者など)とコミュニケーションを図る。そこで「まだまだ潤沢に出ますよ」と言われながら急にパタッとなくなったり、「今年は不作で量がないですよ」と言われながらガンガン長期で入ってきたりという、〝あるある詐欺〟と〝ないない詐欺〟がよく起こる。〝詐欺〟とは無礼な表現で、もちろん業界内のスラングだ。急激な天候変化などで本当に出荷量が大幅に狂うケースがほとんどだろう。だが人によっては、価格を持たせるために故意に反対の情報を言ったのでは?と訝しんでしまうケースもあるとか。そんな悪意のケースはほとんどないとは思うが。

3.出荷の終わりがけにTV特集

 青果物、特にくだものにはシーズンがある。豊作で出始めにテレビの特集で「○○は健康に超グッド!」「××はダイエットに最適!!」といった特集が組まれると、大いに販促になって販売が好調になる。しかし多くの場合はその逆だ。つまり、シーズンの終わりがけに特集が組まれ、モノはどんどん少なくなるのに、引き合いだけが強まって〝ないない状態〟になるのだ。値段は不当につり上がり、小売商・消費者からは欠品に対するクレームの嵐となり、いいことが一つもない。マスコミ・メディアによるパブリシティは大いに期待するところだが、放映時季についてはちゃんと卸売市場に相談を持ち掛けてほしいと強く願う。

4.生産量と相場の隔年の乱高下

 野菜というのは、何をどれだけ作付けするか、毎年農家さんが自由に決められるから、年による変動が激しい。前年に少量高値だった野菜は、全国の農家が作付けを増やすので、一挙にオーバーフローとなって翌年はバカ安値となる。逆にバカ安値だった野菜は、多くの人が作付けを取りやめるので、翌年は需要>供給で価格が高騰する。多くの生産者がこのパターンにはまって「農業なんてやってられっか」ということになる。大勢の逆をつけば儲けられるはずだが、どうも辛抱が効かない人が多い気がする。