打木赤皮甘栗南瓜
「うつぎあかかわあまぐりかぼちゃ」と読む。打木は生産地の金沢市打木(うつぎ)から取っており、赤皮はその鮮やかな紅色から、甘栗は栗のような甘さからだろう。加賀野菜15品目の一つだ。本日、6月10日に初荷となった。ハウス栽培から始まり、露地物が7月から。7月中旬がピークで8月中旬まで出回る。
細々ながら継承
昭和初期に加賀野菜の父・松本佐一郎氏が、福島県の「会津赤皮甘栗かぼちゃ」の種を入手し、苦労を重ねて当地に根付かせたものだ。しかし、スイカへの転作などで次第に生産量が減り、一時は担い手が一人だけになった時期もある。現在は4名の部会員がいるが、高齢化と人手不足で昨年から2名減っている。生産状況が厳しいのは今も変わらない。
食べ方と価格が課題
課題は食べ方と価格だ。表皮が紅、果肉もオレンジ色であるため、その色を活かした料理が多い。オレンジ色のスープなどは赤皮南瓜ならではのレシピだ。しかし、一般家庭で気楽に食べるにはハードルが高い。肉質がべチャッとしているので、いわゆるホクホクした食感を味わう粉質系かぼちゃの食べ方ができない。どうしても一部料亭が彩りに使う程度になり、消費が拡大しないのだ。よって生産量もなかなか伸びず、希少性の高い野菜として単価が高くなる。ますます一般家庭は手が出なくなる悪循環に陥る。特に今はコロナ禍で外食需要が減っている。産地は今、天ぷらにして食べることを推奨し、なんとか家庭で食べてもらう機会を増やそうとしている。
粛々とせりを行う
本日は初荷ながら特にセレモニー的なことを行わなかった。ふつう「加賀野菜」や「金沢そだち」といった金沢ブランドの初荷には金沢市長や金沢市農協組合長らが市場にお越しになりトップセールスを行う。が、今、石川県は「まん延防止等重点措置」の発令中だ。石川県の感染状況は減少傾向だが、13日までの措置期間中、セレモニー的なことは慎もうということになった。流通側である我々は、粛々と集荷と販売に努め、適正価格と適正量の提供を続けていこうと思う。