女子選手がサヨナラのホームイン‼️

今年も社会人の日曜野球が始まった。我が丸果チームは、下位のイエローリーグに所属し、上に上がれるほどではないがそんなに弱いほうでもない、というポジション。試合を見る分にはそれなりに楽しめる。開幕戦は先週だったが雨で私は応援に行かず、今朝が今季初めての観戦となった。

今年は新入社員2名分、戦力がアップしている。男子社員は少年野球をしっかりやった子でなかなか上手い。そして紅一点、女子社員が選手登録した。高校時代、女子ソフトボールをやってきた子で高卒で入ってきてくれた。社会人野球で女子選手がいるのはレアである。そしていてくれるだけでチームは華やぐ。

その結果、我がチームは下が18歳女子、上が65歳社長(!!)というものすごい布陣となった。今日はレフトのレギュラー選手が仕事で休んだため、彼女が9番レフトで先発した。

試合は自力では圧倒的に対戦相手が上手だったが、なんとかしのいで最終回の7回裏の時点で3-3。トップバッターは9番彼女だ。ここまで2三振だったが最後の打席で見事にセンター前に弾き飛ばした。この後、ピッチャーの制球が乱れ、続く打者に連続死球を浴びせノーアウト満塁。そしてなんと次のバッターへの2球目がパスボールとなり、三塁ランナー彼女(!)がチョークホームイン。サヨナラ勝ちとなった。なにか予感がしたのでスマホの動画録画をオンにしていてよかった。彼女は星を持っている。

そして、動画を後で見直して気が付いた。ホームイン直後に彼女がしたことは、相手捕手のキャッチャーマスクを拾ってあげることだった。ちょっとしたことだが、人柄がわかる良いシーンだ。我が社は今年、とても素晴らしい人材を迎えることができてうれしい。

石川県産青果物は“狭間(はざま)”に活路あり

惣菜の製造販売の一部上場企業である「ロック・フィールド」のバイヤーが我が社を訪問された。石川県産ブランド野菜を使った惣菜メニューの可能性を探りたいとのことだ。ユーザーと生産者をコネクトするのが当社の役目であり、こうした企画はむしろこちらの方から持ちかけるべきものだ。今後、なんとか双方がWIN-WINになるビジネスに発展させたい。

いろいろ意見交換し、石川県産の野菜・果実のキーワードは“狭間”であると改めて思った。石川県は大産地ではない。耕作地は狭く、農業人口の減少は激しい。それでも存在価値が高いと言われるのは、ひとえに大産地と大産地の狭間に位置しているからだ。たけのこの北限、リンゴの南限。その他の品目においても、西南暖地からの出荷が終わり、東北北海道産が出てくるまでの期間をつなぐのが石川県産だ。野球でいえば中継ぎ投手。脇役的存在だが重要だ。大産地ではないが農家の腕は良い。どんなものでも品質良く仕上げる。ある程度のロットを出せる生産者は非常に重宝する存在だ。

ここにしかないものもある。加賀野菜、ルビーロマン、のとてまりといったブランド農産物だ。大産地が育てる定番野菜・果実とはちょっと違うこだわりをもったニッチ品目であり、これもある意味“狭間”である。

この金沢市場自体が“狭間”である。表日本ではない一本裏手の“裏日本”。大都市と大都市をつなぐ大動脈から外れているため規模では比較にならないほど小さいが、どっこいしぶとく生き残ってきた。これは弱者のひねくれではなく、立つ位置を素直に見つめての戦略として意識すべきだ。

若いリーダーが産地を変える

昨日8日に太胡瓜(ふときゅうり)、本日9日に金沢産たけのこの初売りがあった。どちらも加賀野菜の品目である。そして両日ともに山野之義金沢市長と橋田満ブランド協会会長がトップセールスにご来場した。地元の伝統野菜を盛り上げようとするお心は本当にありがたい。

JA金沢市生産部会の部会長さんから面白い話を聞けた。

加賀太胡瓜の部会長は中林圭吾さんだ。
中林部会長は、もっと太胡瓜の食べ方をPRしなければと、なんとカレーライスの具に使うことを考えついた。試してみるととてもカレーに合うという。ただしあまり煮込むと溶けてなくなってしまうので、食べる少し前に入れればいいとのことだ。もともと太胡瓜はあんかけにして食べるのがポピュラーだったから、カレールーのドロドロ感は相性が良くて当然だ。給食のカレーで使って子どもに好評なら、家庭でも作ってくれるようになる、と山野市長が応じた。新しい食べ方として定番化すればありがたい。

たけのこの部会長は松山貴之さんだ。
今年は裏年にあたるので生産量はおそらく少ない。しかし、生産者によって、或いは山によって、昨年比半分のところもあれば、8割ぐらい採れるところもある。この差が生産者の実力だ。手間のかけ方、肥料のやり方、水の管理によって大きな差になるらしい。そして松山部会長は、皆のノウハウを集約し、情報を共有化して、産地全体の生産力向上に努めている。これは素晴らしいことだ。たけのこ生産者は独立独歩、俺のやり方は俺だけのもの、マイペースの集合体という傾向が強い世界だ。しかし、若いリーダーが新しい時代のやり方で産地全体を底上げしようとしている。たけのこの生産量はどんどん落ち込んできたが、これからは期待できそうだ。

PHP:部下の邪魔をするな

本日、金沢PHP経営者友の会の勉強会に参加した。松下幸之助の成功の金言集「運命を生かす」からいくつかテーマを抜粋し、メンバー間で考察を深める内容だった。

テーマの一つに次のような下りがあった。(『運命を生かす』P351より要約)「部下に大いに働いてもらうコツの一つは、部下が働こうとするのを邪魔しないことだ。下手な指示は水をさし、やる気を失わせる。だが何も注意しないわけではなく、責任者として言うべきことは言う。ただその際、働くのを邪魔する言い方をしないよう気をつけなければならない」

簡単な文だが、なかなか難しいことが書いてある。注意はするが邪魔しないとはどういう言い方か。頭ごなしにああしろこうしろそれは違うぞ、ではまずいということはわかる。部下の行動や思惑を否定せず尊重した上で、軌道修正が必要ならばそれを示唆するということか。今風に言えばまさしく“コーチング”だ。

松下幸之助が自発的にコーチング的なものへの重要性に気づき心がけていたのはさすがの一言だ。今日の勉強会のメンバーから「上からがんがん言わず、まず社員の言葉を先に聞いておくんだった」「私ら若い時にはコーチングを習う事はおろか概念すら知らんかったからね」という反省の弁が聞かれた。日本社会の経営陣はおしなべて同じだろう。

コーチングはコミュニケーションの「技術」というイメージが強い。だが技術云々以前に、経営の想いがあるべきだ。それを一言で語ったのが「部下の邪魔をするな」ということではないだろうか。

新入社員農業体験研修

晴れて4月に入社した女子社員2名の農業体験研修を引率した。新人は男子も1名いるが、日曜日の野球で足をねん挫したため休ませた。本人は「平気です、一緒に行きます!」と食い下がってきたが「いやいや、こんなとこで無理しても何も意味ないし」とサラッと却下。4月下旬には南瓜の定植という大仕事で嫌というほど作業できる。覚悟して待て、青年。

かわいらしい女子2名の研修とあってか、河北潟ファーム菜四季の農場長はサービス精神旺盛だった。2名は生まれて初めてトラクターに乗った。私ですら未経験なのに。免許のない身分でトラクターに乗るのは法律違反では?との私の問いに農場長は「公道を走行すると違反だが自社農場内では問題ないのでは?あれ?いや?」とか言っているので、念のためエンジンはかかっていない状態での試乗に留めておくことにした、ということにしておく。2名は農業研修というよりテーマパークに遊びに来た女子学生のノリで、構えたカメラに対してピースポーズであった。

私は一旦ここで会社に戻り、5時間後にまた迎えに行った。今度、2名はぐったりしていた。それなりにハードな作業をやらされたらしい。人生初の農作業は甘くなかった。

こういう経験は決して無駄にはならない。本来ならば、新人・ベテランに関わらず年に何回かは研修機会を設けて、生産現場との距離感を縮めるのが望ましい。だが卸売業の世界にどっぷり入ってしまうと極端に機会がなくなってしまうのが現状だ。余裕がないと言えばそれまで。仕組みとしてセッティングするのが私の役目かもしれない。

新人事のスタート

4月は新年度の始まりであり、会社の新人事のスタートでもある。会社の経営において人事は1、2位を争う大きな案件だ。誰をどのポジションに据えるかは会社の将来を左右する。
よって経営陣の間でも人事案の考え・意見が分れることはよくあり、時に激しい議論となる。当然だ。

異動の場合は、人一人を動かせば元の部署は貴重な戦力を失うわけで、代わりの人材が必要となるのか、残った者でカバーし合うのかが大きな問題となる。
昇格の場合は、本人のモチベーションアップは当然だが、対象から外れた者はメンタルはマイナス方向に振れる恐れがある。人の心は怖い。そのフォローも考えた上での決定でなければならない。

人事は万人が納得する決着にはなかなかならない。また、語弊がある言い方だが、人事案が吉と出るか凶と出るかはやってみなければわからない。多分にばくちに通じるところがある。だが、会社の将来を深く考えた場合、決断するのが経営陣の責務である。そして、たとえ自分の思いと違う結果に決着した場合でも、取締役会で正式に決定がなされればいわゆる「挙国一致体制」だ。会社発展を目指し、全員が一丸となって邁進しなければならない。

今期は例年以上に若手の昇格者が多くなった。若い力に対する期待の表れでもあるし、(現代はどこの企業も同じ悩みを抱えていると思うが)慢性的な人材不足の裏返しでもある。近年は年功序列の人事が少なくなった。実力ある者が先輩を飛び越えて上の立場になる。かつての先輩、上司が部下になる。今回の人事でも新たにその実例が出た。

抜かれた者の辛さは当然あるだろう。抜擢された者にもやりにくさは残ろう。だがそうした諸々の思いを併せ飲んで、会社の継続と発展のため、踏ん張って乗り越えていくのがまっとうな会社のあるべき姿だ。ともに頑張ろう!

青果物の週間情報 【2021-W15】

■週の概況 第15週 4/5(月)~ 4/10(土)

【全体】

 新年度となった。昨年はこの時期からコロナ禍のいわゆる“巣ごもり需要”が顕著になり、一般の小売店での青果販売はむしろ好調、逆に業務筋の需要は激減となった。よって今季は、昨年対比でみると販売実績で厳しいと感じる青果店・量販店が多いようだ。しかし野菜は全般に出荷量が潤沢で安価であり、果菜類を中心に動き自体は悪くない状況である。産地としては地元石川県産が目立ってくる。週末に小松のタケノコが初せりを迎え、この週は金沢の胡瓜、太胡瓜が始まる。

 桜は観測史上最も早い開花・満開となった。この傾向は果樹にも当てはまるようで、今後登場する果実は、例年より早い出始め・早い切り上がりになると思われる。販売計画も例年より前倒しのサイクルを組む必要があるだろう。

【野菜】

 菜類は動きが出てきたものの、価格は横ばいの見込みだ。タケノコシーズンでフキの引き合いは強めである。安値だったブロッコリーは需要が高まりやや浮上すると予想する。ネギは生育期の気候変動の影響が今も残り、ひと月後の関東産が出るまでは高値傾向が続きそうだ。レタス・キャベツは潤沢な出回りで安値安定が続く。

 果菜類は順調な生育を見せ、入荷数量は伸びて価格も一層値ごろ感が出てくる模様だ。特に胡瓜は群馬県産が増え、石川県産も始まり、価格はこなれそう。ピーマンも増量する。豆類は主力のスナップえんどうが産地切り替わりでやや品薄になりそうだが、代わってインゲンやそら豆の量が増える予定である。

 根菜類の目玉はなんといってもタケノコだ。裏年の産地が多いながらも他県産はこの週にピークで価格も下げる。地物も小松市産が少量ながら火曜から連日販売となる。大根は春物が潤沢で価格は弱含みだろう。蓮根・甘藷は残量勝負になり、徐々に数量が減っていく。里芋はひねものが早期に終了でやや品薄感が出るかもしれない。馬鈴薯は鹿児島本土産の作況が悪く、長期的な高値傾向が危惧される。愛知の新玉葱、高知の新生姜が季節ものとしておすすめだ。

【果実】

 国内果実は、中晩柑橘全体が終盤戦で、樹熟デコポンを軸にサンフルーツ、愛媛のカラマンダリンなどを入荷する。メロンはまだシーズン序盤ながら熊本県産のアンデス系・赤肉系が増えてきて、例年より前倒しで大玉傾向が予想される。スイカは熊本、高知、群馬(小玉)よりの入荷だ。桜桃・マンゴーの施設栽培物も徐々に増量となる。イチゴとりんごは依然として潤沢順調である。ビワが増量し、価格も少しずつ下がっていくだろう。

 輸入果実では、NZ産のキウイがスタートし、しばらくはゴールドのみで大玉傾向の販売となる。アボカドは冷害の影響で5月GWまでは品薄高値傾向が続く模様だ。バナナは需要期に入って強含みとなっている。シトラス系は変化なし。台湾産パインは引き合い強く、量も前週より増える見込みである。

女性の登用、極端ちゃう?

金沢市議会で次期議長に久保洋子氏(自民)、副議長に山本由起子氏(みらい)が選ばれ、正副議長とも女性が務めることになった。
五輪に目を向ければ、大会組織委員会会長が橋本聖子、オリパラ担当大臣が丸川珠代、開催地東京の首長が小池百合子だ。
女性進出の風潮は随分前からあるが、最近は森喜朗の例の女性蔑視(?)発言の反動か、むしろ極端に女性登用に振れている。

優秀な人材なら性別に関わらず任命するのは当然だ。
ポストが二つ、三つの少数なら女性がたまたま独占することもあるだろう。
だが五輪は特に“女性でなければならん!”というムードがあった。
これはこれでねじ曲がった感がある。

翻って卸売市場業界はどうか。
卸売会社はものすごい男社会である。
女性はたくさん働いているが、事務職員がほとんどだ。
わが社54年の歴史で女性の役員は皆無だし、管理職も一人しかいない。

農協も同じだ。
大きな農協になると年に一度、全国の卸売会社を招いて大会を開くが、100人以上集まる会場がすべて男という異様な光景もざらである。

卸売会社が男社会である現実は、個人的には本意でない。
私は女性役員を排出するような会社にしたい。
だから女性の営業志望を進んで採用してきたつもりだ。
だがこれまではある意味“失敗”してきた。
とても優秀な女性社員がたくさん入ってきたが、皆やめてしまうか、残ってくれても現場でなく管理部門に配置替えとなったのである。

退社の一番の理由は、若手女性にとって現場の労務環境がかなり厳しいことがある。
朝5時出社。
もし結婚して、子どもができて、産休育休を取った後に復帰しようと思っても、朝5時出社では子どもを預けることもできない。
ああ、これは長期的には続けられない職場だな、と本人はやがて感じるようになる。
それこそ性別の差別なく、女性も男と同じ労務環境で頑張ってもらったが、これは考えなしだったと反省する。
性差別はあってならないが、性差の特性は十分に吟味し、様々な仕事配分ができる仕組みにしなければならない。

また、卸売会社は男社会でも、仲卸業者には女性のベテラン営業がたくさんいる。
なぜ卸にはできなくて仲卸には可能なのか。
ここも考えなくてはならない。

地物のタケノコ初入荷

石川県内のたけのこ産地のトップを切って、本日、JA小松市の初せりが行われた。
今年、石川県は裏年であり、小松市産は昨年の33トンより少ない25トンの出荷を目標にしている。

小松市農協の共選出荷者は21名。
この地のタケノコの特徴は色の白さと甘みだ。
こちらでは色の真っ白な上物のタケノコを「白子(しらこ)」と呼ぶ。
鮮度が高くえぐみが少ない証拠で、茶色いものよりも高値が付く。

今季は程よい雪が降り、その雪がゆっくりと溶け出す水でタケノコが育ったので、裏年で量は少ないが上質のものができるだそうだ。

初せりに先立ち、生産者代表の橋本さん、JA小松市の森常務よりご挨拶をいただいた。
裏年で橋本さんの山は昨年の10分の1程度しか採れないかもしれないとのことだ。
また、猪の被害は小松でも出ており、普通より早めに収穫しないと先にやられてしまう。
よって、例年より若い段階、小さい段階で収穫することが多くなっているそうだ。

注目の地物初登場とあって、せりは久々に盛り上がり、最高値は1箱9000円の高値がついた。
5月上旬まで出荷が続く。

地物のタケノコは格別だ。
本来の旨味からいうと、大産地徳島県産の方が上かもしれない。
だが、タケノコほど鮮度が命の野菜はない。
掘ったらすぐにさっと湯がいて薄くスライスすればお刺身のように食べられる。
地物のタケノコならではの食べ方だ。

石川県はタケノコの生産量から言えば弱小産地と言えるだろう。
後継者不足、耕作放棄地もますます深刻化している。
だが、金沢市産のたけのこは「加賀野菜」の認定品目になっており、古くから春の食卓には欠かせないものだった。
あと半月ほどで金沢市産も始まる。

桜のライトアップと未来のニッポン

今年金沢は、観測史上最早の桜開花となった(3月23日)。
これに合わせて、3月27日から4月2日まで兼六園の無料開放と兼六園・金沢城公園・玉泉院丸庭園の夜間ライトアップが開催された。

最終日となる本日、妻と長男を連れてこのライトアップに行ってきた。
コロナ禍でありながら、大変な人出だった。
やはり人間はじっとしていられない。
イベントが開催されればぞろぞろと出向いてしまうのが現代人のサガである。

妻はライトアップされた桜やお城がきれいだきれいだと喜んでいた。
長男は花見が大好きらしく昼間も一人であちこち見回っていたらしい。
あるポイントで、「これ今日の昼のこの場所」とスマホの写真を見せてくれた。
昼と夜とで桜の見え方も全然違うだろう、と指南してくれているようだった。

わたしもそれなりに桜を愛でて歩いていたが、実はまったく別のことに心を動かされていた。
なんとこの街には若者の多いことか。
春休みで何割かは観光客かもしれないが、地元の人間がはるかに多いように見えた。
特に10代、20代の男女が本当にたくさんいる。
カップルはもちろん、男友達でつるんで歩くグループ、女の子たちでキャーキャー賑やかな集団、そして子ども連れの若い家族…。
熟年層ももちろん数多くいたが、圧倒的に若者が目だった。

金沢は、日本は、捨てたもんじゃない。