POPからシールへ

POPからシールへ

スーパーのバイヤーさんに聞いた話だ。
最近のお客さんはPOPを見ない。
リーフレットも持っていかない。
どうなってんだこりゃ?という話である。

POP(ポップ)とは、「Point of Purchase(購買時点)」の略で、店頭で商品の横に掲示し、お客の興味をそそる販促物を指す。本来は「POP広告」という言葉だが、さらに略してポップ、ポップと呼ばれている。

リーフレットとは、1枚の紙に印刷された広告物、印刷物で、やはり商品の販促物として、多くはお客に無料で自由に持って行ってもらうためのものだ。

どちらもお店で使う広告物としては定番中の定番である。
それがあまり効果を発揮していないというわけだ。

POPについては、立ち止まって考えながら買い物する客が少なくなったということらしい。
「これは何?どれどれ…」
と説明書きを読む手間と時間すら惜しいのだ。

リーフレットは、わざわざ持っていくのも面倒くさく、どうせ家に帰ってもほとんど読まずゴミになるだけということを消費者が学習してしまったようだ。

このままではちょっと珍しい野菜、馴染みのない野菜はますます売れなくなる。
“買われない理由”の上位は「どう料理していいかわからない」であり、今まではそれを補完するのがPOPやリーフレットだったからだ。

そこで売る側が新たにやり始めた工夫が「食べ方シール」である。
POPでもリーフレットでもなく、シールだ。
野菜はむき出しのバラ売りもあるが、多くはポリ袋やパックに入れて売られる。
その包装資材に、食べ方・料理の仕方を簡潔に書いたシールを貼る。
商品を買う=情報も自動的に付加される、ということだ。

こういう販促資材もスーパーから我々納入業者へ作成依頼がくるので、POPに替わってシールの注文が増えているようだ。
スペースはより小さくなりながらも、最低限のちゃんと美味しく食べてもらう情報を載っけなければならない。
卸売会社はいよいよ情報産業に転身する必要に迫られている。

職場をプチ緑化

オフィスに花や観葉植物など緑を取り込むことで、業務効率が上がるという研究結果が出ている。
大学機関の研究によると、心理的な安心感が30%増加し、創造性と集中力が向上し、精神的疲労が回復する。
生産性は20%上昇するといったデータもある。

我が社の事務所は殺風景だ。
もし本当なら、業績改善の突破口になるかもしれない。
そういう下心満々で、実験的に自分のデスク周りに小さな観葉植物を置いてみた。

おおっ!
気持ちがなごむ、ような気がする。
ストレスが消えていく、ような気がする。
モチベーションが高まってきた、ような気がする。
いや、モチベーションは自分の感覚そのものだから、確実に高まっているのだ(少なくとも今は)。

観葉植物については知識ゼロ。
買う際は、お店の人に素直に聞いた。
オフィスに置いて、寒さに強く、ある程度放っておいても枯れないのは何か。

で、これなどどうかと勧められたのがシダ(上)とアイビー(下)だ。
シダが300円でアイビーが500円。
なんと安上がりで、かわいい奴らだろう。

もしこれから続けるなら、私は八百屋なのだから、野菜の苗なんぞを観葉植物として飾るのもいいのではないか。
これは意外にはまるかもしれない。

鈴木大拙館に行く

金沢が生んだ偉大な哲学者・鈴木大拙の考えや足跡に触れられる記念館「鈴木大拙館」に行ってきた。
生誕の地・金沢市本多町にある。

大拙は明治から昭和にかけての仏教学者であり、禅思想を広く世界に紹介した。
活動は極めてグローバルで、奥さんは米国人だ。

私は今日まで大拙の功績についても禅についてもまったく無知であった。
ようやく最近になって禅や瞑想について興味が沸き、遅まきながら勉強してみたくなった次第だ。
我が家から歩いて10分もかからないところに記念館があるというのに、ちゃんと訪れたことはなかった。
なんとも情けない。

館は玄関棟、展示棟、思索空間棟が回廊で結ばれ、玄関の庭、露地の庭、水鏡の庭が配置されている。
3つの棟と3つの庭を回遊することで鈴木大拙を知り、学び、考えるよう意図されている。

記念館としては展示物は非常に少ない。
見るものがあまりないともいえるし、見ようによってはあまたあるともいえる。
禅の教えだ。
この場所で自分を見つめることにその真髄があるということか。

訪問したこの日、平日で天気は雨、コロナによる緊急事態宣言発令中で観光客は皆無であり、来館者は私一人だった。
静寂の中、ひたひたと観覧する。
何か意味を解したわけではないが、また来てみたいと思った。

鈴木大拙館の先代の館長は松田章一氏だ。
元金沢大附属高校の教員であり、私は高校時代、松田先生に古文を習った。
松田先生は国語教育の傍ら、舞台戯曲を手がけられており、鈴木大拙と西田幾多郎が登場するオペラの台本を書かれた。
歌劇≪禅≫である。

その初演が昨年11月にあるはずであったが、コロナにより延期となり今日に至っている。
ぜひぜひ完全な形での上演を期待する。

年度計画の作り方(基礎編)

我が社では3月になると新年度に向けて「年度計画」を立てる。
営業部門がやることはシンプルだ。
「自分の担当の野菜・果実を月毎に何トン(何キロ)売って、いくらの売り上げにし、(粗)利益をいくら稼ぐか」だ。

営業マン一人一人が目標数値を出し、それを集積したものが会社全体の営業計画となる・・・はずである。
しかし、すんなりそうなったためしがない。
へんてこりんな数字を出す輩がい〜っぱいいるからだ。

・今年これだけ売れたのに、来年はどうしてこれっぽっちなの?
・こんな高い平均単価、過去20年間で一回もないぜ?
・おめえ、毎年4%しか利益率回せねぇくせに、なんで計画になると7%なんだ?

多分、前年のデータしか参照しないからこんなことになるのだ。
あるいは、上から「お前は○トン、●円やれよ」と言われ、それだけ考えて適当に数字をはめるからこんなことになるのだ。

この年度計画がおかしなものになってしまうと、それ以降続く月次計画、週間計画が全てデタラメになってしまう。
週に一度行われる営業部門に全体の販売会議は週間計画をベースに議論するから、それがデタラメだと会議そのものが全く意味のないものになる。

もういい!各品目の販売計画、俺が作っちゃる!!
と言いたいのをグッとこらえて、もう一回、理屈が通るように組み上げおいで、とやり直しをさせる。
毎年この時期はかなりストレスが溜まる。

ごくごく基礎的に組み立てるだけなら、機械的にやればいいのだ。
その手順は以下の通りである。

ある野菜「A」の販売年度計画の出し方
①ある野菜「A」の過去10年間の月ごとの販売実績(数量、金額、単価、粗利益額)をコンピューターから打ち出す。
②異常な年、異常な値動き、異常な供給過剰、数量不足などは省いた上で、大体の「平年値」というものを考える。
それがいわゆる「平年の実績」である。まずそれを出す。
③それは言わば今まで通りの集荷・販売をした場合の成り行き上の数値に過ぎない。
年度計画ではそこに「背伸び」の値を加える。
10%アップ!と行きたいところだが、どうもそれは全体に課すのは無理なようだ。
5%アップを基本とする。
意欲ある社員、新しい販売プランがある者はそれ以上でも構わない。

これだけだ。
多分、一品目ならば30分あれば出来上がる。
できた計画はそれほど変なものにはならないはずだ。

本当はもっと難しいのだ。
青果物には流行り廃りがある。
たとえば、大根や里芋、白菜などは斜陽品目だ。
長期的に見れば落ち込む運命にある。
10年のデータを取っても、その平均値を取ればいいほど単純ではない。
逆にブドウのシャインマスカットなどはまだまだ伸びる食材だ。
これこそ10年平均をベースにしたらアホかと言われる。

そういう専門的な機微はあるのだが、大筋では上記のやり方でチョチョイとやればそれでいい。
実際の販売でもっと工夫すればいいのであって、スタート前の計画作りはある程度手抜きでやってもいいのだ。
ただし、成長姿勢は崩してはならん!

今まで、この程度も教わらず何年も経った営業マンがいるということだ。
嘆かわしい・・・ことはない。
むしろノビシロがあると解釈し、これを機会にいつもより精度の高い計画に仕上げさせたい。

青果物の週間情報 【2021-W11】

■週の概況 第11週 3/8(月)~ 3/13(土)

【全体】
 前週は西南暖地でかなり強い雨が続いたが、この週は概ね好天の予報であり、青果物は順調な生育・出荷となる見通しだ。消費面ではサラダ向け、炒めもの向けへの需要が高まる。不作傾向のものは高含みが続く一方、低迷から脱出できないもの多々あり、品目により高値安値が分かれるところだ。
 コロナ感染は減少傾向にあり、首都圏を除き緊急事態宣言が解除され、当地でも片町の時短営業が7日をもって終了する。徐々に人が動き出し、業務筋に光が戻ってくることが期待される。まだ本格化とは言えないまでも、青果物の動きは全体に良くなってくるだろう。

【野菜】
 白菜は徐々に数量減少へ向かうがキャベツは入荷・販売ともに動きが良くなってくる。ネギは生産量が上がらず平年より高値基調が続きそう。菜類はまだしばらく低迷が続き、ほうれん草、小松菜は安値、水菜はさらに低調だが再来週には好転か。青梗菜も激増暴落したが、炒め物需要で引き合いが出てきた。
 果菜類では安かったトマトとキュウリが底上げの気配。トマトは端境期にもあたり数量は伸びない。ナヤミだったミニトマトは量販店で企画が多く入る時節となり価格上昇の見込みだが、業務筋が回復していないので勢いはまだ弱い。
 土物類では馬鈴薯がこの週で出荷終了する北海道の産地が多く、数量不足からまだまだ強くなる見通しだ。玉葱も北海道産の先がやや見えてきたのと、新ものが平年より少ないことからゆるやかな上げを見込む。牛蒡はやや高値疲れが見える。生姜は高知県産の新ものが出てきた。筍は裏年で少量、やや高値傾向の中、この週月曜日から和歌山県産が登場する。

【果実】
 国内果実では、中晩柑類がデコポンは順調ながら、八朔、せとか、はまさきなどは終盤へさしかかる。いよかんも後期であり、弥生紅とM玉の販売となる。今季の中晩柑はハウス物は順調だったが、雪と干害で露地物は8割作でやや高値の年となった。メロンは雑メロンが少しずつ増えてはいるが作付け面積の減少により例年より少なめ。キウイも生育期の花落ちの影響で前年より3割ほど少ない入荷となっている。りんごは潤沢であり、この週から値も下がってくる見通しだ。いちごは順調だろう。
 輸入果実ではアボカドが日本仕向けの量が減り、数量減で単価上昇の予定だが、今までが安値で来ており、値上げでもまだ平年並み以下のレベルだ。シトラスでは高糖度オレンジが充実してきて差別化が図れるのと、ミニオンマンダリンがスタンドバックなど販促資材も充実させて拡販を狙う。新しいところでは豪州産ブドウの入荷が始まる。

父母の好き嫌い

親と同居し12年になる。
1階は父母、2階は私と妻と子ども2人が居住し、同居とはいえ別々に食事を作っていた。
4年前に母が体が不自由になってからは妻が2階の台所で6人分の食事を作るようになり今日に到る。

そしてほんの1年ほど前から私も暇を見つけて台所に立つようになった。
青果卸売業なのに野菜を料理できないようではまずいと遅まきながら思い立ったのが理由その一。
妻も毎日の料理は大変だし、夜いないときもあるので、少しでも手伝えればというのが理由その二だ。

料理を少しやるようになって初めてわかったことがある。
父母はどちらも好き嫌いが多い。
父の偏食はけっこう知っていたが、母もかなりのものだ。

父の好きな物
・さしみ(さわら、赤身、甘エビ)
・たまねぎ
・うどん
・越山の豌豆もち

父が嫌いな物
・鶏肉
・サバ
・サーモン
・しいたけ
・ピーマン
・そば
・一風変わったもの、見たことがないもの全般
・ケーキはシュークリームしか食べない

母が好きな物
・貝のさしみ
・グラタン

母が嫌いな物
・かぼちゃ
・たまねぎ
・うどん

妻がよく「あー今晩何を作るか全然思いつかない、困ったなぁ…」と愚痴っていたのがよくわかる。
特に父にこれだけ嫌いなものが多いと、献立がかなり限定されるのだ。
母はまだマシだが、父の好物であるタマネギとうどんが嫌い!というのが問題だ。
昼飯は父向けにうどん、母向けにそばかラーメンと別のものを作るはめになることも珍しくない。
にっくき父の好物だから嫌いになったのでは?と勘ぐりたくなる(笑)。

母は何にでもチャレンジするが、父は新しいものに見ると箸をつけようともしない。
食への探求心ゼロ。
おそらく昼飯は365日毎日うどんでも、毎度うまいうまいと喜んで食べるに違いない。
それはそれで幸せかもしれない。

わがまま言わずに出されたものを食え!
とやってしまえばそんなものだが、高齢の父母に対し嫌いとわかっているものを無理に食べさせるのも忍びない。

この親の子にして、私はなぜか好き嫌いがほとんどない。
昔は納豆、グリーンピース、酒粕など苦手なものがあったが、意識的に、或はいつの間にか克服した。
好き嫌いが多いというのは食を楽しむ上ではとても損なことである。

父91歳、母83歳。
健康かどうかは怪しいが、長寿である。
特に父を見ていると、食生活は栄養のバランスが重要、という常識を疑いたくなる。
一つはっきり言えるのは、偏食は寿命を縮めることはないということだ。
だから、人生、せいぜい好きなものだけを食べて過ごせばいい。

金沢市場で感染者が出た件

金沢市中央卸売市場でもコロナ感染者が出た。

新聞では「金沢市中央卸売市場は2日、市場に店舗を構える事業者の50代男性従業員1人が感染したと発表した。男性は仕入れ業務に従事している。同市場事務局によると、出入り業者で感染が確認されるのは初めて。市保健所の調査で市場関係者に濃厚接触者はおらず、市場業務は通常通り行う。」と報道された。

業者名、感染者実名を公表しないのは金沢市の姿勢であるし、全国的な傾向でもある。
妥当な対応だ。
もはやいつ誰が感染・発症してもおかしくないことは国民全員がわかっている。
が、いざ身近に感染者が出ると、どうしてもその人物を忌避したり偏見の目で見たりする。
要らぬ差別から守るために、個人情報をさらさないのは当然だ。

当該の業者は、オフィス内をビニールシートで仕切るなど感染対策はしっかりしている優良企業である。
この業者が風評被害によって不利益を被ることがあってはならない。

この業者は誠意をもって、会社発の「お詫びとお知らせ」なる文書を取引先に提出した。
上記の報道内容に加え、次のような説明がある。
・発熱があったので27日にPCR検査を受け、3月1日に陽性と判明した。
・感染経路は不明。
・本人とご家族の人権尊重の観点から個人情報は開示しない。
・会社事務所は消毒した。保健所からは濃厚接触者がいないことが確認された。
・会社で自主的に社員全員のPCR検査を実施し、全員の陰性を確認した。
・最後に「関係者の皆さまに多大なご心配をおかけし、心よりお詫び申し上げますとともに、…云々」と締めくくっている。

大変責任感ある対応であり、誠実な発表と思う。
繰り返すが、もはやいつ誰が感染・発症してもおかしくない。
だから、お詫びなど本当は不要と思う。
が、ここは業者の誠意と表れとして謝罪の表現が使われている。

市場内で仕事する人間のコロナ感染。
ついに来たかと感じる反面、むしろ遅すぎたくらいだとの思いが強い。
大騒ぎせずすんなりやり過ごし、しかしてやるべき対応はしっかりこなす。
それを業界全体で試みるいい機会である。
ここは石川の食の台所なのだ。
コロナ感染ごときでグラグラしてはいけないのである。

葬儀のあり方

我が社の社長のお母さまが他界され、お通夜と葬儀が開かれた。

社長は親戚が多く、野球方面での交流も広く、立場が立場なので仕事関係者(市場、産地、お客様等)も含め大変数多くの方にご参列いただいた。

式は通常通りの形式で、定刻よりのお経、喪主からの挨拶、葬儀では出棺まで執り行われたが、このご時世である。ご遺族の親戚と社員を除いては最後まで参列された方はほとんどおらず、大多数はお焼香をされたのちに遺族に挨拶をされそのまま帰られた。

新型コロナウイルスの影響で、葬儀の在り方が大きく変わった。

家族葬で済ませる人も多く、済ませた後の事後報告でようやく世間に知らせる人も少なくない。

式は開くがイスを全く置かない、いわゆる「回り焼香」の形式も今では定番だ。

これら簡易的なスタイルは恐らくコロナが終息しても元に戻るまい。

また、それでよいと思う。

仕事上の付き合いの場合、最初に挨拶してお香典を置いていく。

それで十分である。

長居は無用だ。

一方で、通夜葬式は遺族や友人知人らが集まって故人を偲ぶ大切な儀式であり、その機会が失われるのは良くない。

家族葬を選ぶ人が増えているのは個人的には寂しいと思う。

家族葬にするのは、案内するのもためらわれる、という心理が働くからだ。

中には、こじんまりと済んでやれありがたやと思っている人もいるだろう。

家族が逝去したら必ず式を開か“ねばならない”日本のしきたりを嫌っていた人もいるはずだから。

しかし本来、葬儀はその人の“死”を人々に知らせる社会的な役割を担っている。

参列者は、式に出ることで故人の“死”を実感し、気持ちに区切りをつける。

故人を直接知らない人は長居は無用。

逆に、故人を大切に思う人々が、それこそ長居をしてゆっくりお別れする時間を設けることは人間としてとても大事なことである。

葬儀そのものは存在意義があるのだ。

要は、意味あるものは守り、形骸化したものは切り捨てること。

コロナによる社会変革で、守るべき部分と不要な部分を切り分けが加速すればよい。

今までが中途半端にぐだぐだ、なあなあになっていた風習、しきたりが多すぎたのだ。

ひな祭り野菜セット撃沈⁉︎

商品開発(というほど大袈裟ではないかもしれないが)は難しいなぁという話。

撮影は企画に携わった我が社の石野君

行催事に野菜や果実を売り込むのは大事なプロモーションである。
3月3日のひな祭りに向けて、我が社は子会社、スーパーと共同で企画商品を販売した。
題して「ちらし寿司野菜セット」だ。

ひな祭りに定番のちらし寿司を家庭で手軽に作ってもらうために、
・ちらし寿司に入れるのに適した野菜をセットにする。具体的には、我が社が集荷した野菜を子会社が小分けにして袋詰めし、スーパーに納品する。
(菜の花、スナップエンドウ、そら豆、グリンピース、ラディッシュ、レンコン)
・料理研究家の金野先生にその具材を使ったちらし寿司レシピを作ってもらい、商品に添付する。
・実際に金野先生に作ってもらったちらし寿司(本物)をサンプルとして売り場に掲示する。
・チラシ、ポスターも子会社のデザイン担当の子が作ってくれ、スーパーには数日間は目立つ場所に置いてもらうよう協力要請する。

この少子化の時代、ひな祭り自体が少なくなれば、ちらし寿司を食べる家庭も少なく、ましてやそれを自宅で作るなどは皆無に近い。
しかし、作り方がわからないから手を出せない、という若いパパママの潜在ニーズも少なからずあるはずで、そこをかゆいところに手が届くようにお膳立てした商品開発・・・のつもりであった。

しかし、この商品の売れ行きは苦戦だったようだ。
企画の担当者は「うーん、かなり手間暇かけて作り込んだ企画だっただけに、結果が出なかったのはなんとも無念」と残念がっていた。
敗因分析はこれからしなければならない。

しかし、これこそトライ&エラーであり、こういう企画を数多く売っていくことが明日のヒット商品につながり、我が社のお客様への提案力アップにつながるのだと思う。
ちなみにこの企画には我が社の会長が率先して動かれた。
その姿勢は必ずや中堅・若手社員の模範になると思う。

結果は大事だが、今はプロセスがもっと大事だ。
めげずにやろうよ、やれば実るさ。

ペップトーク「言葉がけ術」セミナー

金沢商工会議所が主催する経営セミナーに参画した。
こちらは講習会場(金沢商工会議所会議室)に出向くが、講師の方はリモートで講演をする形式である。

ペップトークという言葉がけ術のノウハウを学ぶ講習だ。
会社で社員にもっと頻繁に、あまねく、親密に、かつ仕事の中身にも踏み込んでコミュニケーションを取りたいと思っている。
その助けになればと思って受講したものだ。
以下、講義内容のメモ書き記録である。

講師:丸山寛之氏(コア・エリート株式会社代表取締役社長)

コミュニケーション基本は自己開示である。
即ち、あまり傾聴に気に取られず自分のことを話し、あなたはどう?と話を向ければ良い。
コミュニケーションでは人のいいところを探すことを習慣にせよ。

「ペップトーク」とは短い激励の言葉がけである。
必要なのは自責の心である。
人のせいにしないこと。
自分あるいは自分たちは何ができるのかを主体に考える姿勢だ。
なぜなら、他責はコントロールできない。
自責だからこそやれることがある。

部下に対してはとにかく褒める。
具体的に褒めてから具体的な改善点を伝える。
改善点も前向きな言葉がけとなるよう気をつける。
信頼関係と適度な緊張感をベースにポジティブな声がけが有効である

ただし、馴れ合い・同じ目線ではいけない。
上司ポジションは保つべきだ。

西野朗氏(2018年日本代表監督)の言葉
日本代表に選ばれる選手に求められるのは、自分自身がトップパフォーマンスに持っていけるルーチンができて、かつ、チームにいるそれぞれの選手の能力を引き出し、チームをトップパフォーマンスに持っていく能力に長けていることだ。

ペップトークの極意
①事実を受け入れる(相手は強い)
②とらえかた変換(ポジティブ発想転換)
(だが、チームワークはこっちが上だ。お前らならできる)
③してほしい変換(仲間を信じて力を出し尽くそう)
④背中のひと押し(GO!)

「してほしい変換」が一番難しい。
よく「やってほしくない変換」をしがち。
×ミスするな
×絶対に負けるな

言葉がけは、肯定的かつできることを言う。
×ミスするな
×シュートを決めてこい
(結果についてはコントロールできない)
プレッシャーの正体はコントロールできないことに対して起こる。
○シュートコースを決めて思い切り振り抜け

佐々木監督(なでしこ世界一のPK戦)
「楽しんでこい」

タイプ別対処法
①反応が薄い社員に対しては
・まず話を聴き、前向きに、共にトライする言葉をかける
・相手の反応は気にしない
・「必ずできるから」という
②考えるのが苦手そうな社員
・一緒に考えるスタンスをみせる言葉がけ
・大きな目標より目先の目標を考える
・質問で考えるように促す
③得意分野を持っている部下
・得意なことを生かす仕事ができるよう促す
・得意なことがどのくらい得意なのか聴く
・それをどのように生かすか相談する
④意見をなかなか言わない部下
・無理に言わせない
・イエス、ノー形式で聴く
・具体例を出してやると意見を言う。回数が重なれば話せるようになってくる
⑤感情を表に出さない部下
・いいところを見つけて部下の存在を承認
・感情がわかりにくい、など余計なことは言わない
・いつも見ていることを伝える
⑥何を褒めていいかわからない部下
・上から目線でなく、横から目線で褒める
・笑顔がいいね、この企画書いいね、など。
・必ずいいところはあるという発想で。
⑦改善点が多すぎる部下
・ゴールを示し、できているところを褒める
・改善点を「してほしい変換」で話す
⑧褒めると調子に乗りそうで心配な部下
・具体的な事実で褒め、やる気を引き出す
・客観的事実で褒める
⑨できて当たり前の仕事をどうするか
・やはり褒める
・当たり前と思わず、次への成長のステップと捉える
⑩怒鳴りつけたくなった時
・怒鳴ってはだめ。
・なぜそのようなことをしたか理由を聴く
・次に「してほしい変換」で伝える
・できていた部分と改善部分を分けて話す

寄り添いながら声をかけ続けることで必ず人はできるようになる
ポジティブな声がけと適切な質問を入れる

「ベストを尽くせ」はコントロールできる
適度なリラックスと緊張感のある職場を作り、社員間の信頼関係を築こう

上司に必要な5つの力
①ビジョン力
会社の理念、目的を示し、部下の目標を設定する
氷山モデル・・・てっぺんに成果(TO  BE)、次に行動(HOW)、ここまでが水上で見える。見えないところに価値(WHAT)、一番下に目的(WHY)
②傾聴力
言い返すことは必要ない
全身で聴くのみ
沈黙を共有する、歩調を合わせる
③承認力
言わなくてもわかるだろうではなくちゃんと承認する
認めてあげるのが心の報酬となる
6つの承認力
結果承認、プロセス承認、成長承認、行動承認、意識承認(やろうとしただけでもよい)、存在承認(来ただけで認める)
④洞察力
表情や態度や仕草を観察する
人に吹き出しをつけてみる
決めつけずI(アイ)メッセージで声をかける(私にはこう見えるけど大丈夫?)
⑤セッション力(面談力)
自走式にする(計画に基づいたセッション)
できたことは思い切り褒める
面談の最後に次の面談日を部下主体で決める

上司ポジションを崩さない(上司らしい振る舞い)
自己研鑽している人を褒める
努力している人を褒める
チームのために働く人を褒める

言葉がけを習慣化するために
スモールステップ
ものすごく小さな一歩から始める
誰々君に一言何か言おう
アイスブレイクでネタを集める

以上