青森県知事直伝!親子で学ぶアップルスクールin金沢

青森県の三村申吾知事が来沢され、小学生を相手に青森特産のりんごについてトッププロモーションをされた。
題して「青森県知事直伝!親子で学ぶアップルスクールin金沢」。

現物とスライドを使いながら、クイズ形式で産地・青森県の特徴やリンゴの品種をおもしろ楽しくレクチャーしていく。
こちらもお手伝いとして子ども達に模擬せりを体験してもらい、卸売市場を通じてりんごが売り買いされる流れを理解してもらう。

知事は自らを伝道師として、この普及活動を毎年全国展開している。
金沢では4年ぶりだ。
4年前は我が母校・小立野小学校であり、今回は杜の里小学校の6年生約80名を対象とした。

青森県の三村申吾知事

写真はこのイベントにおける知事のユニフォームである。
イベント中のものではなく、小学校へ行く前の、ちょっとうちの会社に寄っていただいた際の一コマだ。
うちの会社の受付に来られるやいなや、従業員に向かってアピールをしだしたのだ。
従業員たちは何が始まったのかわからず、ポカンとしていた。
この、時間と場所と相手を選ばないサービス精神が物凄い。

冬でも半袖のハデハデりんごシャツだ。
「よく見るとニンニクの絵も入ってます」とおっしゃった。
ニンニクも青森県の特産である。

三村知事のパフォーマンスはすごい。
芸人でもタレントでもない。
元は青森県の建設会社の方であり、政治を志し衆議院議員となる。
その後、知事選に出て当選し現在に至る。
トップセールスとはかくあるべき。
感動すら覚える。

しかしここではたと気づく。
考えてみれば当然か。
リンゴは青森県の重要な産業だ。
栄えていくことが県の発展である。
大げさに言えば「我々はこれで生きている」。
ならば首長だろうがなんだろうがなりふりかまわずどんどんぶつかっていく。

お偉いさんがふんぞり返っているのこそ、なんの必然性もないのだ。
改めて、人の在り方というものに気づかされるひと時でもあった。

街の名医さん

昨日、仕事中に妻から電話があった。
「38度の熱がある」

この一年、発熱と言えばコロナ?の恐れが巻き起こるほど我々にとって過敏なものとなっている。
すぐに病院か発熱相談センターに電話して、指示を受けるように言った。

妻は近所の内科にすぐ電話をした。
日ごろ私もお世話になっていて、とても信頼できる優秀な開業医の先生だ。
電話口で看護師さんが「では○時に来てください。院には入らず、駐車場で待機してください。先生が車まで行きます」との指示だった。

約束の時間ぴったりに先生が院から出てこられ、外で防護服にさっと身を包み、フェイスシールド、手袋などを付けられ、車までやって来た。
「(車の)ウインドウを開けて下さい」
「鼻の穴に検査棒を入れます」
「10分程度で結果が出るのでこのまま待っててください」

ここまでものの数分。
そして10分後、「コロナ、インフルエンザとも陰性でした。よかったですね。帰って静養し、もし4~5日しても体調が良くならなかったらまた来てください」と言われ診察は終了した。

妻はこの日、まったく別件で大手の病院に行く予約があったが、その病院から「熱があるなら来ないでください」とすげなく断られた。
クラスターを恐れ、外来を拒否する医療機関は今多い。
致し方ないとは思う。
しかし患者からすれば、心身ともに切羽詰まった状況で診療拒否というのは不安極まりない。

その点、この近所の内科先生の対応のなんと見事なことか。
診察方法は極めて合理的だ。
患者本人の車内で検査を完結し、院内感染の危険はなし。
短時間で済み、陽性陰性に関わらず患者はすぐに次の対応に進める。

この方式は一般的なのかそうでないのか。
医者はみな真似すればいい。
大病院でも、外に仮設の検査所を設ければさらに合理的にできるだろう。
今回のことで、くだんの内科先生に対する信頼感が一層増した。
心から感謝である。

青果物の週間情報 【2021-W07】

■週の概況 第7週 2/8(月)~ 2/13(土)

【全体】

 当地はまだ寒さを感じるが、太平洋側は天候に恵まれ気温は平年より高めで推移し、季節感はこの週一気に進みそうだ。季節感の訴求から小売店の青果売場は完全に冬から春へ衣替えとなり、煮炊き商材はやや影をひそめた。替わって山菜、春野菜、サラダ野菜が売場の前面を飾る。

 生産・流通では各産地、概ね順調な生育・出荷であり、特別に問題ある品目は見当たらない。需要との兼ね合いで、果菜類はやや強含みであり、葉茎類は逆にやや軟調、根菜土物類は保合の品目が多い見込みである。季節がら、豆類・春キャベツ・菜の花・新玉ねぎなどの動きが好調だ。

【野菜】

 菜類は地物は少ないも九州産が潤沢で価格はこなれており、ほうれん草は需要期でもあり売りやすい状況である。対して水菜は業務向け不振により大きく低迷している。白菜は気温の上昇とともに需要は減退気味だ。キャベツは春キャベツの動きが良いようだ。レタスは潤沢な出回りで下げるが、動きは悪くない。

 果菜類は総じて出かたが鈍く、相場は堅調だ。長ナス、ピーマンは当初見通しより少なめの量で強含みとなる。トマト、ミニトマトも値を上げる可能性がある。豆類はスナップ、ソラマメ、いんげん等九州方面より種類・量ともに増えてくる。

 根菜類では大根の動きに急ブレーキがかかり、再び低迷の気配だ。人参は太物が薄くなり、長期的には強含みの傾向である。レンコンは下げ止まりとなった一方、さつまいもは需要期で引き合いも強く、1月より値ごろ感もあって動きが好調である。馬鈴薯は九州産が少なく、道産の切り上がりが早そうなため需要>供給で強含み・高値基調が継続している。

【果実】

 国内果実では、いちごが順調な入荷で、今後2月後半に向け2番花のピークを迎え益々の増量を見込む。柑橘類ではみかんで徳島産の貯蔵物が始まる。中晩柑類は前週と同じペースでいよかん・デコポン・八朔など多品目の入荷を予定するが、長崎県産柑橘類はこの週をもって終了に向かう。メロンは寒さで少なく、価格は強含みだろう。りんごは順調な入荷で保合となる。キウイは福岡・愛媛・和歌山より33玉中心で安定した入荷を見込む。

 輸入果実では、バナナは順調安定な入荷で価格は変わらずの予定である。柑橘類ではこの週の後半からミネオラやマーコットの入荷開始を予定する。アボカドは数量がやや減少し強含む展開を予想。ブドウは赤と緑のシードレス系が増量する。レッドグロープも少し始まったが、まだ価格が高く、本格的な拡販体制は2月後半からとなる見通しだ。

大河ドラマ「麒麟がくる 最終回」レビュー

NHKの大河ドラマ「麒麟がくる」の最終回が2月7日に放映された。

まずは関係者の労をねぎらいたい。

制作側にとって、無事最終回を乗り切ったことは、大いなる達成感と矜持を得られたのではなかろうか。

思い返せば、災難続きの番組だった。

一昨年の11月、帰蝶(濃姫)役の沢尻エリカが麻薬取締法違反で逮捕されたことに端を発し、急遽川口春奈が代役に抜擢され1話目から撮り直し。

このため、初回放映が2週間遅れて1月19日からとなる。

放映がようやく軌道に乗ったと思いきや、新型コロナの感染が日本でも拡大し、撮影中断を余儀なくされる。

2ヶ月以上の撮影中断で6月7日をもって一旦放映を休止、再開したのが3ヶ月も先の8月30日であった。

当初から東京オリンピックの開催中(実際には五輪は開催されなかったが)は放映せず、全44回の物語とする予定であった。

が、途中の放送休止で年内の完結は不可能となり、局は年をまたぐという大河史上初の決断を行った。

一年間以上に渡るスッタモンダを乗り切った。

結果論ではあるが、話を縮め、年内に無理やり終わらせる選択をしなくてよかった。

やはり、物語はきちんと仕上げるのが良いのだ。

日本の歴史上、最大のミステリーの一つ、本能寺の変。

明智光秀はなぜ謀反を起こしたのか。

「麒麟がくる」はそれを「世の中を平らかにするため」とした。

私怨ではない。

信長の超人性に魅了され、この人ならば戦がない世を実現できるのではと心酔するが、信長が暴走は遂に帝に取って代わり将軍を殺そうとするまでに及び、この魔王を葬るのは自分の責務であると覚悟し、挙兵する。

なるほど。

あくまでも武士の大義を守り、平穏な世を希求した人物として明智光秀を描いた。

主役の長谷川博己は、この人物像を誠実に演じ切った。

本能寺の変を決意した心理描写は説得力のあるものだったと思う。

ただ、個人的な見解として、脇役陣には不満が残る。

染谷将太はアッと驚くキャスティングで、従来のステロタイプの信長像とかけ離れたタイプの役者だったが、名前の通り、役を自分の色に染めてよく頑張った。

しかし、彼自身のせいか脚本・演出のせいかはわからねど、明智光秀が命を賭してまで心服した信長のカリスマ性にリアリティがなかった。

言ってしまえば、最後まで“変な人”の域を出なかった。

川口春奈も頑張った。

しかし如何せん実力不足、キャリア不足。

歴史を動かすキーウーマンとしての説得力は出せなかった。

(沢尻エリカは本当にバカなことをした。帰蝶はライフワークになる大きな役だった。)

そしてストーリーについて。

最後、山崎の闘いをまったく描写せず。

光秀はもしかして生存したかもと匂わす終わり方は、ドラマとしては一つの手法かもしれないが、私は不満だ。

大河は主人公の死までを描いて幕を引くのが鉄則だ、と私が勝手に引いている線がある。

以上が思いつくままに感じたことだ。

全体の感想として、役者・スタッフの頑張りが伝わってきてとても好感が持てた。

だが、引き込まれ、夢中にさせられ、どっぷり感情移入してしまうドラマではなかった。

2月14日からは渋沢栄一を描く「青天を衝け」が始まる。

主演・吉沢亮は大抜擢だ。

大河と朝ドラは何といっても日本のドラマの中軸。

大いに期待して見続けたい。

VOX OF JOY コンサート「This Way」

金沢を拠点に活動する「VOX OF JOY(ボックスオブジョイ)」のコンサート「This Way」が北國新聞赤羽ホールで開かれた。

VOX OF JOYは中田理恵子さんをトップとする4人のコーラスユニットだ。

中田さんの生徒で組織するコーラス隊「VOX OF JOY Choir(クワイヤー)」に私の妻が加入しており、このステージでも妻はバックコーラスで参加している。

今回は中間30分間にミュージカルを挿入する挑戦があった。

本業の歌とは別枠で30人の志願者を募り、1年間のワークショップ形式で稽古を積んだ。

劇中の音楽は中田さんが作曲したオリジナル曲であり、芝居部分とコーラス部分を融合させて一つの試作品にまとめあげた。

今回のステージを発展させ、再来年にもっと本格的なミュージカルに仕立てたい夢があるそうだ。

コロナ禍で席数を半分に減らし、運営の隅々に到るまで感染対策を徹底させていた。

この苦労は相当なものだったと思う。

コンサートはとても盛況だったし、多くのお客さんは楽しみ、満足して帰途に就いた。

ご盛況おめでとうございます、と申し上げたい。

VOX OF JOYの楽曲のクオリティーは毎度とても高い。

中田理恵子さんは素晴らしい才能と表現力を持ったアーティストだ。

オリジナル曲はどれもいいし、何度聞いても新鮮な感動を得られる。

演奏するバンドもうまい。

とはいっても完全なるプロ集団ではない(と思う)。

キーボードを弾く溝口尚さんは、本業は歯医者さんだ。

ダンスで毎回必ず客演するダンサーのMAIさんとKaNaさんもいい。

中田理恵子さんの音楽に賛同するプロ、セミプロ達が力を貸し、1個のステージが相乗効果的に膨らんでいる。

程よい手作り感があって観客は親近感を覚える。

VOX OF JOYの活動が今後さらに発展し、地元が誇る音楽パフォーマンスユニットになってほしいと心から願う。

そこで最後に一つだけ、勝手ながら苦言を述べる。

私はミュージカルへの傾倒はお勧めしない。

ミュージカルのレベルの低さがステージ全体のグレードを押し下げてしまうように思う。

今は成長期で、将来的に飛躍的にレベルが上がるのか?

否。

ミュージカルは甘くない。

私自身、19歳から27歳までの8年間、今はなき劇団「ネヴァーランド・ミュージカル・コミュニティ」でミュージカルをかじった。

それなりに打ち込んだつもりだが、私など最後まで素人にうぶ毛が生えた程度だった。

(才能がなかっただけと言えばそのとおりではあるが…ほっとけ(笑)。)

VOX OF JOYのステージには歌、演奏、踊り、それぞれ各分野の独立したプロ・セミプロが集ってクオリティの高いものを提供している。

なのにミュージカルという一番複雑な分野にだけ素人をぶっこむ!?

お習い事の発表会ならば無料で披露する限り何をやってもいい。

が、これはまとまった料金を取るコンサートなのだ。

ミュージカルへの進出は中田さんご自身のご意向と聞く。

だが私は、ここに時間と労力を割くくらいなら、もっと歌を聞きたい。

何より中田理恵子さんには新しい曲をたくさん創っていただきたい。

勝手ながら私の希望である。

中田さんが素晴らしいミュージシャンであると敬意を持つが故の。

若手社員を集めての営業会議

本日13時より、若手社員(課長代理以下)を集め、営業会議を開催した。

発案は社長である。

発案は社長である。

管理職を集めての会議は頻繁に開かれるが、若手を集めては珍しい。

今回は社長の意を若手社員にダイレクトに伝えたいという思いが強かったからだ。

冒頭、短い時間で切り上げるつもりだ、との前置きがあったが、実際には話に熱が入って1時間に渡った。

たくさんのメッセージがあった。

支障のない範囲で書くと、次のようなものだ。

・顧客のニーズに応えるだけの品数を持て

・成り行きで出来た数字ではなく、意識的に作り上げた数字とせよ

・顧客に顔を出し、人間関係を構築せよ

・金沢の魅力をアピールし、産地から荷物を引っ張れ

・石川県の農産物の占有率を高めよ

・コロナ禍で昨年と同じではなく新しい取り組みをして活路を見いだせ

・整理整頓、元気な挨拶、報連相を大切に

文字にすると意外に味気ないが、社長の口から出る言葉は熱かった。

最後、私に振られたので、次のように述べた。

「要するに何だ?何をすべきか?と自分に問うてみよう。ちゃんと言葉にし、行動につなげよう。私なりには、要するに『チャレンジせよ』ということだと受け止めた。失敗を恐れず、新しい一歩を踏み出してほしい。」

弱小の地方の卸売会社が生き抜いていくには人間力の向上しかない。

今の若手が10年後にはこの会社を引っ張る存在になる。

今、チャレンジすることは自分のためになる。

そしてそれが必然的に会社への貢献につながると信じる。

映画「鬼滅の刃 無限列車編」レビュー

「千と千尋の神隠し」を抜いて歴代最高の興行収益となった映画を4DXで観た。

ストーリーは原作に極めて忠実である。

違ったのは、お館様・産屋敷耀哉(うぶやしき かがや)が鬼殺隊の墓参りをするシーンを映画の冒頭に挿入したこと、序盤に列車に出るザコ鬼が一匹増えたことぐらいではないか。

いろいろな方の感想に、映画の前半の敵・魘夢(えんむ)の過去のエピソードがないとか、後半に出る敵・猗窩座(あかざ)の登場が唐突すぎるなどの批判があるが、どちらも原作どおりである。

総じて、アニメ製作会社のufotable(ユーフォーテーブル)は非常に良い仕事をした。

①原作のストーリー、メッセージ性を忠実に伝えようとしている。

そこには製作側の原作に対する非常に強いリスペクトを感じる。

たとえ原作の内容を変更したとしても、作り手の作品に対する敬意や愛情は漏れ伝わってくるものだ。

ちなみに4DXもなかなか凝っていた。

単にアクションシーンで座席を動かすだけでなく、水の呼吸で本当に水が顔にかかってきたり、刃を突き刺すシーンで背中に固いものが刺さってくる刺激があったり。

設計者はかなり頭をひねってプログラムしたであろう。

②原作の弱点である画力の乏しさを補って余りあるクオリティを提供している。

例えば、背景に実写映像や3D効果を多く取り入れ、キャラのベタなアニメタッチに意識的にかぶせることで新しいアニメ映画の完成形を見せている。

ただ、この映画を十分に楽しむには予備知識は必須だ。

原作を知らなくても、それなりに楽しむことはできる。

しかし、鬼滅の刃が人々の琴線に触れるのは、主人公竈門炭治郎(かまどたんじろう)の純真な心、不撓不屈の魂、自己犠牲をいとわぬ無限の愛情である。

妹・禰豆子(ねずこ)がなぜ鬼になったか、なぜ自身が鬼狩りをしているかといった背景を知らずして感動は得られない。

わたし的にこの映画で一番グッときたのは、魘夢が見せた悪夢- 鬼に殺された家族たちが炭治郎に恨みをぶつけ、罵る夢- に対し、炭治郎の怒りが沸騰し覚醒するシーンだ。

「言うはずが無いだろうそんなことを!俺の家族が!俺の家族を侮辱するなアア!」

これも原作どおりの展開・セリフなのだが、迫真のアニメーション処理、声優の熱演も加わって、原作以上にこみ上げてくるものがあった。

夢から醒めるため、炭治郎は夢の中で自決する。

このアイディアは素晴らしい。

そして、連続して被弾する夢攻撃のたび、かかった直後に自決を果たし覚醒を繰り返す。

そのアイディアは壮絶だ。

なぜ主人公はそんなことができるのか。

『私をはるかに超え、愛する人のために、大切な仲間のために』に尽きる。

自分のことで感情が荒ぶることはないが、家族や煉獄杏寿郎の死に臨んでは、悲しみや怒りを爆発させる。

アニメ史上最大と言ってよいほどの大粒の涙を流してワンワンと泣いた。

逃げる敵に対し、わめき叫びながら怒りをぶつけた。

これほど真正面から感情をあらわにする映画は意外に少ないのではないか。

特に子供向け映画では。

感情移入が自然に起こるには、観客はその分、残酷な描写、容赦ない登場人物の死とも向き合わなければならない。

それをきちんと見せている点で「鬼滅の刃」はとても良い映画であると感じた。

書評:鬼滅の刃(原作コミックス)

遅まきながら原作コミックスを読んだ。

原作は昨年5月に週刊少年ジャンプ誌上で完結し、コミックス第23巻は昨年12月に発売した。

大ブームで最終巻を買い求める人々は長蛇の列をなし、またたく間に売り切れの事態となった。

面白い。その面白さにケチをつける気はない。

しかし、新型コロナで落ち込む“日本経済の救世主”と呼ばれるほどに物凄い内容かと問われれば“それほどではない”というのが正直な感想だ。

爆発的ヒットの要因は、原作マンガ、アニメ戦略、ネット配信、映画製作など、複合技のたまものだ。

画力の弱い原作を優秀なアニメーターが質の高い完成品に仕上げ、ネットで惜しみなく拡散し、ドンと映画に結び付ける。

作り手と売り手の極めて戦略的な仕掛けが成功している。

しかもクライマックスたる映画は、物語全体の1/3のポジションだ。

まだまだこの先もブームは続く。

私は鬼滅のここがどうだ、あれがどうだと書く気はない。

強調したいことはただ一点。

見事に完結を果たしたことを高く評価する。

コミックス23巻という分量。

名作として後世に残る作品とするには申し分ない量でしっかりけじめをつけた。

しかも、終盤に向けてどんどんテンションを高め、最後は大団円とした。

作者の吾峠呼世晴(ごとうげ こよはる)氏はプロットをしっかり練りこんでの連載だったのだろう。

最終巻のダイナミックな展開、テーマの明確さ、全登場人物への敬意(エキストラ的端役にも作者の愛情が感じられる)、読者へのメッセージ性は素晴らしい。

作品が完結することは非常に重要である。

世に一旦はまばゆい光を放ち読者を虜にする作品はあまたあれど、完結への道のりがまずいために“駄作”と化したものがなんと多いことか。

それは「名作のなりそこね」という名の“駄作”である。

途中まで大いなる期待を読者に抱かせるだけ普通の駄作より罪は深い。

叱られるかもしれないがいくつか実名を挙げる。

マンガでは「はじめの一歩」、「ガラスの仮面」。

「ドラゴンボール」も私からすれば同類だ。

小説で真っ先に思いつくのは「グイン・サーガ」。

当初の計画どおり100巻で終われば名作だったろうに、冗漫に伸びるうちに作者は病気で他界してしまった。

現在も別の書き手が作品を引き継いでいるが、栗本薫でなければそれはもう別の作品だ。

アニメで言えば「新世紀エヴァンゲリオン」。

途中から世界観がよじれによじれ、逆にカルト的人気を得たが、テレビ版にせよ映画シリーズにせよ、世に出す以上あの顛末は創作のプロとして失格である。

明確なプロットがなくだらだらと垂れ流せば、名作の「なりかけ」が「なりそこね」に堕ちる。

その罠を回避し、鬼滅は見事に完結した。

主人公・竈門炭治郎(かまどたんじろう)の優しさとひたむきさは、今の時代、かえって新鮮だ。

妹・禰豆子(ねずこ)のため人生すべてを捧げる愛の深さと心の強さは、作品を読む子どもらに大きな影響を与えるだろう。

物語をしっかり完結させたのも、作者が作品に愛情を注いでいたからこそだ。

世のクリエーターは鬼滅を見習い、自己の手掛ける作品の完結に責任を持ってもらいたい。

だらだら垂れ流すのは、つきあってくれた読者を裏切るものだ。

膨大な時間を返せと言われたあげく、本屋からやがて消えゆく運命を辿っていいのか。

それは本当にもったいないことだ。

きらめく才能があるのだから、ちゃんと物語を完結させよう。

鬼滅の刃は、その当たり前の重要性を改めて教えてくれる良書である。

全中青協 経営研修会 はうーむ…だ

一般社団法人 全国中央市場青果卸売協会(略して全中青協)の「経営研修会」が昨日と本日の二日に渡りZOOMでオンライン開催された。

全中青協とは、全国の中央卸売市場の卸売会社で組織する協会である。

本部は東京。

各社の社長が集う会議、営業トップが集う会議、管理部門トップが集う会議、コンピュータシステム担当が集う会議が別々に開催され、時事の諸問題の情報を共有したり、対応策を図ったりする。

その全中青協が年に一度、定期的に開催しているのが「経営研修会」で、平たく言えばお勉強会である。

本来は東京の会場に集まって講義&議論し、夜は懇親会を開いて意見交換するのが常だ。

しかし今年ははコロナ禍でオンライン研修会となった。

ある意味それは好都合である。

時間とお金が節約できる。

研修会は、コロナが去ってもこの形が主流になるかもしれない。

今回のテーマは一日目が「卸売市場の現状と青果物の輸出について」、二日目が「卸売市場のハサップ対応について」であった。

それぞれ、霞が関から専門の役人を講師として招き、説明と質疑応答をしてもらう。

情報というものはどうしても中央(東京)に集まるため、うちのような地方の卸売会社にとってはこうした勉強の場はとても重要である。

私は感謝と期待を込めて参加した。

…が。

うーむ、である。

中身がよくわからない。

というか、何を学ぶための講義かがわからない。

言い換えれば、血が通っていない。

役所の方が、現状と制度について通り一遍の説明をしただけだ。

役所は悪くない。

要請された内容に沿って誠実に説明されていた。

添付資料も立派な内容だった。

しかし…だから、何?と言いたくなるのだ。

これは、企画側と受け手側の問題である。

毎年恒例だから、何かやらなきゃ、という感じで適当にテーマと講師を決め、顔つないでおこう程度の参加者が受けているだけだからこんなに薄っ口の研修会になる。

時間が余って、司会は質問を受け付けるも、60人以上の参加者がいながらただのひとつも質問が出なかった。

危機感のない会合で大いに結構…だろうか。

卸売市場はもっと断崖がけっぷちに立っているのではないだろうか。

自己買受の問題、人手不足の問題、物流の問題など、切迫した問題は山積しており、各社はどういう打開策を持っているか、意見交換したくないのだろうか。

全中青協はもっと末端の意見を吸い上げてほしい。

情報提供や企画はいつも決まってからの告知である。

要望したいテーマや内容は東京ではなく地方にこそある。

そして、業界のために一肌脱ぐことを厭わないタイプのリーダーが要る。

冷めてはいけない。

卸売会社はネットワーク作りを進めなければ、下手くそな寡占化につながる。

それは長期的には安定的な食品流通と健全は農業経営を衰退させるものだ。

協会がかつてのような熱い組織に復活することを心から期待している。

青果物の週間情報 【2021-W06】

■週の概況 第6週 2/1(月)~ 2/6(土)

【全体】
 寒さがぶり返している。小売り側は春到来の季節感を訴え、春野菜やサラダ向け野菜を前面に押し出したいところだが、少々ブレーキがかかった格好だ。本来は新●●と名の付く春系野菜、豆類全般、トマトやレタスなどサラダ野菜が動き出す時季だが、動きはやや鈍く、代わって白菜や大根など煮炊き商材への引き合いが戻ってくるかもしれない。野菜の市況は特別高いものはなく、安いものもなし(業務向け野菜は除く)。この週も価格レンジは売りやすい品目が多く、量をさばければ売上アップを期待できる。
 産地動向は品目によりまちまちながら、太平洋側は天気が良く日照時間が豊富であり、この先は順調に生育し、潤沢に出回る展開が予想される。

【野菜】
 白菜はまたも安値に落ち込み、低迷状態だ。この冷え込みで動きが好転することを期待したいところ。キャベツは冬・春両立の入荷だが、春系への注目度が高いようだ。菜類は小松菜堅調、ほうれん草は潤沢値ごろ感、水菜は低迷と品目により温度差がある。特に小松菜は県内産のハウス物が降雪でダメージを受け品薄となっている。
 果菜類ではキュウリが恵方巻需要で値を上げ、週の前半は強保合、節分終わって下げの予想だ。トマトは寒さで消費鈍く、安値基調が続く見通しである。豆類は種類・量ともに増加の時期だが、寒さで出荷量・消費量ともに今一つ勢いがない。
 根菜・土物類では、大根は安値安定でこの週は冷え込みによりむしろ売り時かもしれない。レンコンは雪が収まり増量し、値を下げた状態で落ち着く見込みだ。甘藷は例年より少なく高値が続くが、量が増えて前週より下げる見通しである。たけのこは裏年産地が多く例年より少な目となる。玉葱は物流回復して潤沢さを取り戻し価格は下げ。新玉葱は量が増える。高かった牛蒡も増量となり、高値がやや緩和される予想となる。

【果実】
 国内果実では、イチゴは順調潤沢な入荷が続く。昨年があまりにも少なかったため、昨年より安値感も伴って販売可能だ。柑橘類では最盛期の伊予柑に加え、せとか、デコポン、甘平、八朔、はまさき、ぽんかんなど多種多様だが、寒いため酸味の強いものは敬遠され、今はまだミカンの動きが好調だ。りんごは定番品として順調潤沢。キウイは国内産で福岡を中心に愛媛、和歌山なども始まり、今年は33玉中心の作況である。富山の干柿は前週をもって終了した。
 輸入果実は安定した入荷である。バナナは順調で価格も安定している。オレンジはアメリカ産のネーブルが中心となる。ブドウはチリ産に産地が変わり、2月上旬は赤と緑のシードレス系がメイン、中旬からはレッドグローブ中心の入荷となる。