お盆

卸売市場は今日から3日間、お盆休みです。
市場は生鮮食品を扱うので、3連休以上取れるのは年末年始とこのお盆休みだけです。

でも、「休日対応」と言って、特別に産地に要請して連休中も出荷してもらうこともあり、その場合、販売担当者は時間は短いながら休日も出勤しています。
また、ファームの人たちは水やりやら定植やら欠かせない仕事が多く、やはり休みを満足てに取れません。
本当にご苦労様です。

さて、金沢では新盆にお墓参りをする家が多いです。
能登は意外と旧盆が多いとも聞きます。
お盆とお墓参りについて、まとめておこうと思います。

お盆とは、亡くなった先祖が家に戻ってくる日です。
お墓参りをするのは、ご先祖様の御霊をお迎えするためようです。 

新盆 7月15日
旧盆 8月15日(実際は旧暦の上で毎年変動します。) 

お盆の正式な呼び名は「盂蘭盆会(うらぼんえ)」といい、サンスクリット語の「ウランバーナ(逆さ吊りにされる苦しみという意味)」に由来します。
子孫から長い間供養をうけていない先祖は逆さ吊りの苦しみを受けているため、そうした先祖の霊を慰めるため飲食を与えたのが発祥とされています。 

7月の8月があるのは、旧暦と新暦の違いに由来します。
明治6年まで日本は旧暦が使われており、旧暦のお盆は7月15日でした。
新暦に替わると、旧暦の7月15日を新暦にそのまま当てはめ「新盆」としました。
しかし、それだと季節感を損なうとの事情から、7月15日からちょうど1月遅らせることで本来のお盆に近い8月15日をお盆にすることも一般的になりました。
旧暦に倣おうということで「旧盆」と呼んでいます。

新盆・旧盆のどちらに墓参りするかについては金沢市内でもわかれているようで、犀川、浅野川、JR北陸本線、中環状道路に囲まれた区域と、犀川以南、浅野川以北の旧市内地あたりでは新盆に墓参りをする家庭が多く、それより外側の新市内地では旧盆にお参りに行く傾向が強いようです。 

アルビス池田社長、泉のごとく

本日、アルビスの池田和男社長が弊社にいらっしゃった。
アルビスは富山県に本社があるが、石川県にも多数出店があり、青果物が当金沢市場からもたくさん納入されている。

池田社長でいつも感心するのは、話をしている間、泉のごとくアイディアが湧き出てくる点である。
きっかけは話の端々のちょっとしたことに過ぎないが、そこから連想が広がり「こんな商品だったら売れるんじゃないか」に繋げる。
自らブレーンストーミングに身を投じ、しっかりアイディアに結実させる。

きっとそういうのが好きな人に違いない。
発想の豊かな人物というのは、例外なく、いろいろ考えを巡らすことを楽しむ人だ。
楽しんでいるから、面白い発想が湧く。
面白いから考えることがますます楽しくなる。
正のスパイラルである。

“○○セットは売価を××円にして中身はこれこれにした方が絶対魅力が増すぞ”
“生じゃなくて、B級品使って▲▲の加工品に仕立てよう”
“売るタイミングはこのポジション。そこがベストタイミングじゃない?”
“今はコロナで料亭が厳しいから、高級食材は売れないが、そこを一ひねりすればスーパーで売れるようになる”

知識も当然豊富でいらっしゃるが、真価はそこではない。
知識は他の知識に繋げて、新しい発想を生み出すことで初めて役立つことを示してくれる。

話し相手に知的興奮を与えてくれる魅力的な人物である。
こういう能力を私も磨きたいものだ。
まずは何事にも好奇心を持ち、うきうき考えることだろう。
まだまだ遅くない。

契約取引に求められること

青果物卸売業界でも近年は契約取引が拡大している。
ある産地(例えば〇〇農協)と、ある品目(例えばキャベツ)について、年間にこれだけの量をこれだけの価格で取引します、と事前に取り決めるやり方だ。

青果物はその時々の気象状況により数量の増減が激しく変動し、取引相場が乱高下する。
低迷し単価安になると生産農家の手取りが確保できなくなるので、あらかじめ単価と数量を契約で縛っておこうとするものだ。
単価が契約で保証されれば、農家は安心して生産に専念できる。
近年の青果物は、高値が続き農家が大儲けすることは稀であり、安値に苦しみ再生産価格を割り込むことが多くなっている。
だから、できるだけ契約を増やして手取りを確保しようと農協側は頑張る。
そして、契約取引に意欲的に取り組む卸売市場を優遇する傾向が強くなる。
契約に後ろ向きな会社には、通常の出荷も縮小しますよ、下手すれば取引全体を切りますよ、ということになる。

大型農協との契約取引は非常にリスクが大きく、卸売市場にとっては厳しい条件となるが、お互いに商活動であるから、致し方ない時代の流れと言える。
しかし、解決すべき問題は多い。

もし、実勢相場が契約価格より下回るとどうなるか。
契約は“絶対”なので、実勢相場がどうあれ、卸売会社は契約価格で対象品目を引き取って販売しなければならない。
実勢はそれより安値でしか販売できないから、その差額は卸売会社が損失として計上することになる。
卸売会社は価格を保証するのである。

逆、すなわち実勢相場が契約価格より高い場合はどうか。
実勢相場が高いのは、ほとんどの場合、想定していた生産量よりも実際の収量が大きく下回ったせいだ。
その下回り方が極端な場合、契約栽培の量も確保できないことが時々ある。
「すいません、ものがありません」ということだ。
出荷団体は数量を保証・・・しないということだ。

これはフェアではない。
だって、ないものはどうしようもないじゃないか、という理屈はそもそも契約した以上は理由にならない。
どこからか買い付けてでも無理やり数量を揃えるか(しかしこのケースは契約対象品目に該当しなくなる恐れ大)、数量を揃えられなかったペナルティを明確に定めるか、当然、出荷する側も相応のリスクを持たねばならない。

とはいえ、変動激しい青果物だ。
この業界にはこの業界の沿った契約のあり方があるはずである。
今までは一般工業製品の世界を模倣しての契約内容で、実情にそぐわない点が多々あった。
契約の推進そのものはいいことだが、一方に逃れられないリスクがあり、一方にごめんなさいで済む逃げ道があるのは健全ではない。
健全化するには単一企業でなく、業界で交渉する作業が必要である。
だから今、卸売市場業界には、リーダーシップを発揮でき、公的使命を持ったリーダーが必要である。

格闘技イベント再興を祝う

格闘技ファンである。

コロナウイルスでイベントが軒並み中止だった中、ようやく日本の格闘技が再開された。
8月9日にRIZIN.22、8月10日いRIZIN.23と二日連続である。

かつて1990年代後半から2000年代前半にかけての日本は総合格闘技が隆盛を極めた。
その筆頭は「PRIDE(プライド)」。
一躍脚光を浴びたのがヒョードル、ノゲイラ、ヴァンダレイシウバ、ミルコクロコップらであり、日本人も桜庭、吉田秀彦らが絡んで名実ともに「世界最高峰の舞台」となった。
しかし2007年、その興行権がUFCに移り、格闘技の火が日本から一時消えてしまう。

そして2015年、PRIDEの後継大会といえる「RIZIN(ライジン)」が立ち上がった。
残念ながら世界トップクラスの格闘家はUFCに集中し、日本に来る選手の層は薄い。
そこでRIZINは日本人対決を前面に押し出し、新しいスターの輩出をめざした。

その際たる存在が那須川天心であり、朝倉未来・海の朝倉兄弟である。
UFCでも活躍した堀口恭司も健在だ。
層の薄さは女子格闘技にも光を当てた。
RENA、浅倉カンナ、浜崎朱加…。

そして迎えた8月9日のRIZIN.22。
メインは矢地祐介 vs. ホベルト・サトシ・ソウザはソウザが圧倒しての勝利。
矢地よ、このままでは川口春奈とは釣り合わないぞ。

8月10日のRIZIN.23。
メインは朝倉海 vs. 扇久保博正で、朝倉海の完勝だった。
朝倉海は人間的には「ふつうのあんちゃん」だが、一流の格闘家に成長した。
YOU TUBE人気も手伝って、完全にスターとなった。

正直、カードの厚みとしては物足らない二日間。
しかし、それなりに喜びの大きい二日間。
再始動できたことが何よりだったのである。

今後は朝倉海対堀口恭司のリベンジマッチ、那須川天心対元K-1・皇治で、次回大会は満員必至である。
朝倉未来にはベラトールの強者をもってくるか。

また日本の格闘技界が盛り上がる時代になってもらいたい。
日本人はお膳立てするのが得意なのだ。
大晦日は格闘技で締めないとその年が終わらない。

青果物の週間情報 【2020-W33】

■週の概況 第33週 8/10(月)~ 8/13(木)

【全体】
 お盆休み前週にあたるポジションですが、コロナ禍で観光客のキャンセルが再び増加しており、業務需要が落ち込む逆戻りの展開です。帰省する人も例年より少なく、旅行に出る人も少ない。すなわち、石川・金沢は来る人も出る人も少ない盆休みになりそうです。市場経済にとってこの傾向は当然マイナスに働き、消費は例年よりも鈍い展開でしょう。
 梅雨が明けて厳しい暑さとなりましたが、青果物は依然として平年より少ない出回りであり、全体に単価高が続いています。特に葉茎菜類は不足気味の品目が多く、果菜類もこの時期にしては堅調です。根菜土物類は産地が北海道産に切り替わったため、これまでのひっ迫感を脱して潤沢感を見せています。

【野菜】
 白菜は雨の影響が残り品薄・上げ相場が続きそう。キャベツも例年より少ない上、傷みも出やすい状態です。ネギは前週増えて下げ、この週は保合予想。菜類はほうれん草・小松菜中心に引き合い強くなり上げ予想です。レタスは依然として生育不安定で高値推移。菌茸類も減産傾向により供給量少なく、強含みです。松茸は中国産がピークに入り、今季は豊作で値ごろな価格です。
 果菜類では胡瓜は増量目立ち、価格は下げの見込み。ナスとピーマンは品薄感が強く高値推移です。ミニトマトも“もがく”週になるとの予想です。
 根菜土物類は北海道産がメインになり、かつてのひっ迫感は収まりました。全体に価格は下げ方向です。ただし7月の高単価と比較して下がるという意味であり、平年比で見ればまだまだ高いレベルです。人参は順調に増え、まだまだ下がりそう。始まったばかりの加賀れんこんは現状は小ぶりなものが多く、キロ単価は例年より高めです。五郎島甘藷は個人物が始まっていますが、共撰のスタートは21日頃からになります。

【果実】
 8日土曜日に金沢の幸水がスタートし、地物の梨が本格化です。受粉時期をうまく調節したためお盆需要にウエートを高めて出荷がなされる見込みですが、日照不足や雹害などありシーズン通しての量は少なめと思われます。ぶどう類はデラウエアが終盤に向かい、大粒系にシフトしますが、生育中の病気が散見されており、当初計画よりも若干少なくなる可能性があります。ルビーロマンは順調であり、徐々に増量しながら価格もこなれてくるでしょう。すいかは金沢は終わっており、能登産も終盤に入ります。桃は福島県産中心に、品種も川中島へリレーしますが数量は減少傾向です。
 輸入フルーツではアメリカンチェリーがほぼ終了。他の品目の産地構成に変化はありませんが、お盆が終わるとメロン類が増えてきます。

電気製品にも魂が宿るか

愛用していたBluetoothのワイヤレスイヤフォンが一週間ほど前になくなった。
そのうちみつかるだろうと思っていたが出てこない。
ランニングやウエート、長唄、端唄の練習には必需品だったので、仕方なく電気屋で新しいのを買った。

新しく買ったのは左右が別々に独立したタイプである。
小さいのが2個になった分、さらになくなりやすいかもしれないが、一度使ってみたかった。
税込8000円超と結構な価格だった。

翌日早朝4時、出勤時。
会社に着く直前、朝飯を買いにコンビニに寄った。
おにぎりとコーヒーを買って車に戻った。

ふと何かが車の近くに落ちているのが目に入った。
最初、紐かと思った。
何気なくかがんでみて目を疑った。

なくしたイヤフォンである。
拾い上げてよく見てみる。
絶対に間違いない。
これは一週間前に紛失したやつだ。

なくしたと思っていたのが勘違いで、実は車のドア近くに落ちていて、今知らずに蹴り出した、というわけではない。
耳にはめる機械部分が見事にぶっ潰れているからだ。
ゴムでできたコード部分も何日か風雨にさらされた汚れが見える。

こいつは一週間前に私が気付かずにこの場所に落とし、その後何度も何度も車に踏み潰され、ずっと掃除もされずにここに転がされていたのだ。
そして、一週間後、偶然またこの場所に停車した私に発見された。
それ以外考えられない。
不思議なことである。

もし、このイヤフォンに心があるならば、私に対しては恨みがあるか、それとも、見つけてほしい願いが叶って喜んでいるか。
いずれにせよ、こやつにも意思があるのではないか、と思わせる出来ごとだった。

そもそも日本には万物に八百万の神が宿るという信仰がある。
アニミズムだ。
だがそれは基本的には自然のものか、人間の想いが込められたものというイメージがある。
大量生産で機械的に作られた電化製品にまで魂が宿るのか。
ピンとこない。

しかし半年前、日産セレナと急な別れを迎えた時、彼が悲しそうな顔で「さよならご主人さん」と言ったような気がした体験もある。
いや、それは物が言ったのではなく、単なる私の感性であり私の妄想。
そうに違いないのだが、今回の場合は、見つかるはずのないものが見つかったのは不思議なことだ。

友人の松本君、田井さん、吉村さんとの会食

小学校からの友人、松本尚君が帰省したので食事することにした。
高齢のご両親がいるので、その様子を見に1〜2ヶ月に一回のペースで帰ってくる。
その2回に1度は私に連絡があるので、なるべく行ったことのない店を選ぶ。
さらに最近は、毎回違ったメンバーを数人呼ぶ。
彼に毎回、新鮮で楽しい思いをしてもらいたいという気遣いだ。
私は何と優しい男だろう。

今回は私と松本君の一年後輩にあたる、田井さん(男性)と吉村さん(女性)に声をかけた。
ちなみに松本君は知る人ぞ知る“ミスタードクターヘリ”である。
千葉県在住で、東京でも頻繁に仕事をしている。
今はまた感染数が増加して、東京方面からは「来てくれんなよ」という風潮だが、松本君は感染症対策のスペシャリストである。
彼ほどコロナに強く、また、彼ほどコロナに近い人物はいない。
これは安心していいのか警戒すべきなのか、素人は迷うところだ。

彼は今は管理者であって、現場(患者と接するポジション)ではない。
だから、前者=安心な人と判断してよかろう。
私のその自信を90%とするなら、彼自身は200%である。
世間は騒ぎすぎ。
間違ったことを言いふらすバカがたくさんいる。
と一刀両断である。

田井さんは、金沢の名士である。金沢の商業界にはなくてはならない人だ。
吉村さんは、エネルギッシュな才女である。今でも地元新聞社の関連会社でライターをしている。
自分に皆がそうしてくれたように、人と人を繋げることをやっていきたい。
コアな友人と会い続けることも大事だが、新しい広がりも大事。
特に50歳を過ぎてからそう思うようになった。
この日、お勘定で皆からお金を集め、お釣りを渡し忘れた以外はとても楽しい会食だった。
お釣りは忘れないうちに早く返そう。

介護施設に伯母を送る

今日、会社を途中抜けさせてもらい、伯母(私の父の姉)の介護施設への入所に付き添った。
伯母は永年一人暮らし。
息子さん(わたしにとってはいとこ)は都会で医師をしており、本来なら当然彼が付き添うところ、施設側は「都会、ましてや医療従事者は、来ていただくわけにはいかない。コロナ感染で万が一があると取り返しがつかない。大変申し訳ないが引率はご遠慮いただく」と言ってきた。
妥当な処置だとは思う。

そこで、代理としていとこの私、それと伯母とは生け花教室で日頃から仲良くしている私の妻が付き添うことになったのだ。

伯母は当初、施設入所は頑として拒絶していたらしい。
昔から本当に頭の良い人で、何でも一人でこなす。
90歳を優に超えるのに足は達者でスタスタ歩き回る。
だから自分は大丈夫!とのプライドもあったのだろう。
施設に入るくらいならいっそ死んだほうが・・・とまで言って拒んでいたらしい。

しかし、だいぶ前から耳が不自由になった。
左右とも今ではまったく聞こえない。
だから筆談でなければ意思疎通ができない。
電話をかけても気がつかないし、そもそも会話が聞こえない。
直接住まいを訪ねて、ピンポンしてもわからない。

だから、永年、コミュニケーションはファックスか電子メールだった。
ところが、高齢には敵わず、だんだん機械の扱いができなくなった。
ファックスやメールを送っても返事が来ないのが当たり前になってきた。

こうなると、無事でいるのかどうかさえ怪しくなってくる。
週に1、2度ヘルパーさんが通ってくるのが唯一の無事の確認手段だった。
一人暮らしは限界を超えている。施設への入所は、何年もかけて息子さんが説得し続け、ようやく納得した次第だった。

そして今日。
伯母は施設に着くなり「ここで死ぬまでおらんなん」と言った。
もう一人暮らしはできない、という自覚はしっかりされていた。
ただ、今日入ってしまうと、しばらく外へは出られないとは思っていなかったようだ。

「マンションが散らかっているから、戻って掃除しなくては」としきりに気にした。
その都度筆談で「いや、しばらくは戻れないよ」と言うと「あらー」とショックを受けている様子だった。
今日は下見かなにかのつもりだったか。
いきなり連れてこられてもう家には戻れないよと宣告されたら、私だったらどんな気持ちになったろうか。
それを想像すると胸が締め付けられた。

伯母は今日、最初から最後まで私たちには優しかった。
「忙しいのにごめんね」
「ありがとうね」
私たちに何十回この言葉を言ったろうか。

この日、悲哀の感情でいっぱいになったのは事実。
でも、それ以上に、良かったこれでひと安心、という思いが強いのも正直なところだ。

とにかく新しい生活環境に慣れてほしい。
できれば、「ああ、こっちの方がずっと楽チン」と思うようになってくれたら。
そして心寂しくない余生を送ってもらえたら思う。

杉本水産のうなぎを食う

我が家は昨日うなぎを食べた。
金沢市の近江町市場の名店「杉本水産」の蒲焼きである。

いや、実は今年の土用丑の日(7月21日と8月2日)も食うには食った。
スーパーの2,900円のを1パック。家族で分けて一人一切れだ。
しかしこれをもって「うなぎを食った」とは言わないようにしている。
私にとって「うなぎを食った」はあくまでも杉本のうなぎを食うことを指す。

今年の土用丑の日、杉本水産やみやむら(杉本水産から独立した店でやはりうなぎの蒲焼きの評価が高い)はそれはそれは長蛇の列だったらしい。
コロナ禍にあって例年より間隔を空けて並ばせたこともあったが、巣ごもり需要で純粋にお客さんの数が多かったと思われる。

私は、土用丑の日に並ぶ気は、はなからなかった。
そりゃ平賀源内の時代からの伝統かもしらん。
しかしそれは“MUST”ではない。
並ばずスッと買える日に買ったって、ご利益は変わらないのである。
(そもそもうなぎにご利益はない。)

2月15日にチョコレートを渡せば“それ売れ残りちゃうん?”と疑われるが、8月5日にうなぎを食っても“それ丑の日の残りもんちゃうん?”とは言われない。
日をずらしても味と料金は一緒だし、何より杉本社長の目が充血していない。
(土用丑の日は杉本社長らお店の人は徹夜仕事なのである。)
そこまでして、人件費が膨大なので、全く儲けはないそうだ。
ならばなおさら平日に買ってあげなくては。

家に帰って、コンロで軽く焼いてから食べた。
「電子レンジはダメ。ガスレンジかコンロで温めろ」と商品の紙に書いてある。
想定どおりにうまかった。
ふっくらしていて柔らかい。
タレは杉本水産独特の甘さ。
母は「杉本のうなぎさえあれば何もいらない」とまで言い切った。
これをもって今年も無事「うなぎを食った」わけである。

うがい薬がコロナ禍を救う!?

昨日、大阪府の吉村洋文知事が、「イソジン」など、ポピドンヨード入りのうがい薬でコロナ患者の唾液からウイルスが検出される数が激減したと発表しました。
市民は敏感に反応し、ドラッグストアからはまたたく間にうがい薬が消えました。
速攻で売り切れ状態です。
コロナによる売り切れ騒動にまた新たな1ページが加わりました。

吉村府知事はこれまでコロナ対策には積極的であり、政府や東京都知事よりもメリハリのある攻めの姿勢が功を奏してきました。
今回もその流れと思います。
“検証はまだ先だが、効果は期待できる。ならば、すぐに行動しよう”

さすが行政のトップ、しかもコロナで一躍人気が出た府知事の発表です。
影響力はさすがに大きいものがあります。
しかし私はこの発表は安易であり、問題だと思います。
発表によるデメリットを想定していないからです。

そもそも注目されてなかったうがい薬なので、たとえ一時的に欠品騒ぎが起きても大事はない、後に効果が否定されてもダメ元だ、という軽いノリが感じられます。
大阪はびきの医療センターの松山晃文氏が「いけいけどんどんです」という妙なコメントを発したのもそうした背景であるからではないかと感じました。

しかし、これで市民がうがい薬に殺到するとはどういうことでしょう。
うがい薬は予防のためではなく、「感染者から飛沫する唾液にウイルスが含まれないようにするため」のものと説明されています。
ということは、もし効果が真実だったとして、ポピドンヨードが必要なのは、一般市民ではなくコロナ患者ということになります。

そのうがい薬がまたたく間に売り切れだと。
かつてのマスクのように、ポピドンヨードが医療機関に入らない事態にもしかしたらなると。
・・・逆効果じゃん!

むしろ、吉村知事が真にこの効果を信じ、行政の長たる権利を行使するなら、「一般市民へのポピドンヨードの販売を全面禁止、すべてを医療機関向けとし、コロナ感染患者に潤沢に供与することに注力する」こそ正しい政策ではないでしょうか。

それと、ポビドンヨードは強力な殺菌性があるため、口の中にある必要な細菌も殺してしまい、粘膜も痛めてしまうマイナス効果もあります。
例えば、幼児がこれで毎日何回もうがいをし、何ヶ月もそれを続けてしまったら、別の問題が起きたりしないでしょうか。

それ、例の「次亜塩素酸水を教室に噴霧する小学校」の二の舞にならんとも限りません。