料理“道”

料理“道”

6月28日に開催された学生レストラン「GOLDEN EGG」のオープニングセレモニーでは、ここに野菜・果実を配達・納入するK商店のOさんとずっと一緒でした。

Oさんは、何十(もしかしたら何百)もの外食店と取引しています。
私が食べ物屋の名前を思いつく限り挙げても、たいがい「ああ、そことは取り引きしてる。店主の●●さんは・・・」と、ものすごく詳しい情報を聞けます。

そんな業界の生き字引のOさん。
この日教えてくれた話もとてもためになるものでした。

食材を納めるこちらは、常にその時に用立てられる一番いい食材を提供すること。
一番コスパがいいものを誠意をもって提案すること。
それが料理人との信用を育てる。
つまりは人と人なのだ。

料理人は、結構、ずって歩く(いろいろな店を渡り歩くという意味)。
だから、その人に誠心誠意つくしていれば、その人が次の店に移っても独立しても、必ずまた声をかけてくれる。
贔屓にしてくれる。
だからこちらはずっと商売が続けられる。

永年この業界を見ていると、大成する料理人、挫折する料理人が一目見てわかる。
成功する料理人は道具を大切にする。
使った包丁はちゃんと自分の手で洗う。
失敗する料理人は使ったまな板を流しに放り投げたりする。
日頃の姿に未来が見えるものだ。

やはり“人”なんですね。
イチローにも通じます。
これからは料理“道”と呼びましょう。

論評:正論8月号「医療現場で実感した緊急事態条項の必要性」(寄稿者 松本 尚)

「正論8月号」に友人の松本 尚君が寄稿しています。

3月末から千葉県の新型コロナウイルス対策本部内「医療調整本部」に入り、病床の確保、施策立案等に奔走した経緯と、その間、彼が痛感した危機管理体制の不備や医療再構築の必要性を、素人にもわかる平易な言葉で論じています。

行政の意思決定が遅かったために幻に終わった「幕張メッセ臨時病院」。
フル稼働する姿を見たかった気もします。

彼がよく嘆いているのは、緊急時における危機管理対策の決定・行動が迅速ではなかったこと。
県庁内の縦割り行政と指揮命令系統の曖昧さが諸悪の根源と断じています。

リーダーシップが欠如し、プロセス・手続きばかりにこだわる。
決断をする者がいない、しかしメンツを気にする。
そういった体質の組織ではいざという時には機能しないのです。

一方、いつも辛口の彼にしては珍しく、褒めるところは褒めています。
県庁の職員、保健所の方々はコロナ危機に際して本当に身を粉にしてがんばっていたと称賛しています。

以下、人生訓としても十分通用にする、彼の主張を挙げておきます。

“非常時には誰かが腹を括って責任を取らねばならない”
“大胆な発想と迅速な意思決定が危機管理には大事である”
“憲法を改正して緊急事態条項を設けよ”
“医療資材の中国依存は一刻も早く是正せよ”
“コロナ対応を踏まえて、大きな医療の地図を描け“

論調は医師の域を越え政治家です(笑)。

“このときほど自分が知事になりたいと思った時はない”と堂々と公言していますから、案外彼の第二の人生は政治の道かもしれません。
それもまた良し。
非常に良い内容でした。

東京都知事選挙候補者の築地市場への見解

東京都知事選挙候補者の築地市場への見解

TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』(平日22時~生放送)で、7月5日投開票の東京都知事選挙の候補者に16問の公開質問状を投げかける企画がありました。

質問の中の一つに築地市場の今後をどうするか、というものがあったので引用します。
今はホットな話題ではないので、正直言って築地市場に関心のない候補者が大多数でしょう。
その中で圧倒的な見識を示したのは宇都宮けんじ氏でした。
コメントは数行ながら、他の候補者とは厚みが違います。
また、他の問いも合わせ、すべてに真摯に答えた印象が強かったのは山本太郎氏でした。
小池百合子氏は何と言っても現職ですから、今、都はすでにこう取り組んでいる、という答え方が多かったですが、政治家としてのポリシー、思想はやっぱり語らん人だな、という印象でした。
あくまでも私の個人的印象ですが。
(全質問への回答はWEBで公開されています)

問い:
今後の築地の在り方について伺います。「食のテーマパーク構想」が未実現ですが、築地市場(場外市場や中央仲卸市場)の今後の在り方についてどのように構想していますか?

小池百合子
これまで築地が培ってきたものを守り、発展させていくことに引き続き取り組んでまいります。今後の築地のまちづくりについては、都心のまたとない広大な土地と地域のポテンシャルを生かして、民間の力を最大限に活用するとともに、引き続き地元区とも連携して、周辺への波及効果をもたらしながら、東京全体としての価値の最大化を目指してまいります。

宇都宮けんじ
2018年11月、築地市場は小池都知事により非常に強引なやり方で豊洲に移転することとなりました。しかしながら、立地の悪さ・駐車場の不備による客離れ、また重大事故が多発する設計など、多くの問題が指摘されています。また中央卸売市場会計全体では、経常赤字143億円という状況になっています。これらについては東京都自身に重大な責任があることは明らかであり、消費者・買い出し人・生産者を含む関係者の意見を開かれた形でよく聴き、どのような解決方法がいいのか、あらゆる可能性を排除せず一緒に考えていきたいと思います。
また、本年6月21日に施行の『改正』中央卸売市場条例についても、「公正取引が失われる」という指摘が多く出されています。都民の財産である卸売市場が不当な取引に使われていないか、関係する事業者の方々や都民の不利益になっていないか、十分に監視する必要があると思っています。卸売市場は地方と東京を繋ぎ、東京の中小零細小売店を守り、都民の生活の基盤となる、“ポスト・コロナ”の東京を考える上でも重要な施設です。開設者としての責任を十分に果たしていこうと思います。

山本太郎
解体されてしまった築地市場を従来の形で復活させることは難しいかもしれないが、築地文化の華である「場外市場」は維持・発展させることは重要だと考えています。跡地に何を建設するかについては、都民の住まいの権利を確保する施策など様々な可能性を含め、築地市場周辺の地域住民とのオープンな話し合いを重ねたいと考えますが、都が推進しているMICE施設には反対です

立花孝志
食のテーマパークばりばりやるよ。1食100万円とか1食1,000万円とかの食事作りたいね。世界の大富豪が来るようなね、1杯1万円のラーメンが売れるんだから。食のテーマパークでやる以上は、うわ~これ100万円のディナーとか、そりゃね、敢えて高くすればするほど需要が上がるものがあって、食材だけじゃなくて、その環境とか一緒にね、そういうね、食プラス付加価値をつけて、食のテーマパークをこの築地の跡にやると小池さんがいったんだから、それは僕も徹底的にうわ~日本で1,000万円、1食1,000万円のディナーがあるとかね、こんなん逆にはやるよ。ご飯を食べながら、体中を美人がマッサージしてくれるとか。とにかく1,000万円の食事を提供する、もちろん安いものもあっていいと思います、逆にね。食のテーマパークである以上はね。とにかく食に特化したディズニーランドみたいなもんで、食のディズニーランドみたいなものを徹底的にこだわって作ります。

関口安弘
大きなビジョンがなければ、これは成功しません。築地を世界の食文化の集まる卸、小売の面での集結センターにすること。食イコール世界の文化の交流平和につなげること。距離があっても豊洲と連携してゆくこと。

沢しおん
あらためて課題を整理してから取り組みたいと思います。
海に近いので、震災時避難所として活用できないことを前提とした施設となりますと、私が知事になったら、「ビジネスのインキュベーションセンターを作りたい」と言い出す将来は見えます。

ごとうてるき
豊洲を売却して、築地にコンパクトな築地市場を創ります。

西本誠
巨大な保育所にしたい

さいとう健一郎
行政主導でやるべきでない、民間に任せるべき

石井均
外国では築地は大変有名です。築地のブランドの価値は利用しないといけません。魚を中心とした、食堂や居酒屋を集めたいです。東京オリンピックでは、築地は駐車場にするそうですが、もったいない。東京オリンピックに間に合わせて、外国人観光客を築地に案内しましょう。

ないとうひさお
食料自給率向上や、防災、環境のテーマパークにしてはどうかと考えます。

小野たいすけ
東京にとり、食は一つのエンターティメントである。築地の跡地を都民のためにどのように有効に使っていくか、は緊急課題であり、すぐにでも着手するべき課題である

市川ヒロシ
マスコミを活用して築地を宣伝してゆく。お金をかけずに活性化を目指す。

込山洋
築地を今までのように活性化させてゆく

押越清悦
コロナウィルスの状況を見極めながら進展させて行きたい。

服部修
勉強中です。

その他の候補者は無回答。

リモートダンス教室

コロナウイルスで新しく発展したと言えば、テレワークやリモート会議です。
元数学教師の私の姉が、私の次男の成績の悪さを見るに見かね、家庭教師をかってでてくれました。
しかし時はコロナ旋風真っ只中で、姉の住まいは神奈川県小田原。
そこでチャレンジしたのがスカイプによるリモート家庭教師でした。
なんとかうまく稼働し、今でも続いています。

そして、今度は妻も時流に乗りました。
私の妻は歌うのが好きで、「VOX OF JOY Choir(ボックスオブジョイ クワイア)」というコーラスユニットに入っています。
その活動の一環で、なんとミュージカル(もどき)にも手を広げ、唄だけでなく踊りのレッスンも受けるようになったのです。

私がミュージカルをやめたのが20代後半。今から約30年前。
なんと30年後に全くの素人である妻が始めようとは!

その練習方法がなんとリモートなのです。
妻はZOOMを使っています。
先生が手本を示し、生徒がそれを真似ながら踊ります。
家の居間を整理して、姿見を二つ並べて、簡易的ながらなかなか機能的な稽古場をこしらえました。

リモートはこうした習い事にはとても威力を発揮します。
教育や趣味の幅が大きく変わりそうですね。
引きこもり・巣ごもりがうつ病を進展させるのでは?と心配された時期もありましたが、なんのなんの、コロナ前よりもコミュニティは断然活発になるのかもしれません。

青果部取引協議会総会&やさいくだもの消費促進協議会総会

昨日の6月30日、金沢市中央卸売市場の「青果部取引協議会」の総会と、その下部組織である「やさいくだもの消費促進協議会」の総会が合わせて行われました。

「青果部…」は、金沢市中央卸売市場の卸、仲卸、小売組合で組織し、市場内の取引ルールを定め、それが円滑に運用されるように監視する、言わば自警団のような存在であり、「やさいくだもの…」は、一般市民めがけて料理教室などを開催し、青果物の普及と消費拡大を図る活動をしています。

私は両組織の会長を仰せつかっています。
冠だけの役職なら楽ですが、全くそういうわけではありません。
今回、卸売市場法の改正によって、条例上は先取りや予約相対など卸売市場特有の取引方法が削除されました。
しかし、制度そのものを廃止にすることに仲卸、小売組合が反対したので、今後は条例ではなく、今後はこの「青果部…」の規約として残すことになったのです。
つまり、制度に縛られる側から、制度を制定する側に替わったというわけです。

「やさいくだもの…」も楽ではありません。
今までは料理教室を開催し、中身は先生に任せれば済んだのですが、このコロナ禍では料理教室そのものが開けません。
かといって、何もしないでは来年以降、予算が切られかねません。
というわけで、今季は特に、人が寄らない、食べ合わない、それでいて青果物の普及振興に役立つ活動…をまったく新しく立案、行使しなければならないという難題をつきつけられています。

でも、それをこなすのがアイディアマンの真骨頂です。
(はて誰のことか?)

昨日の総会は、出席者各位の協力のおかげで、全ての議案が滞りなく了承されました。
新しい一年の活動をがんばってまいりましょう。

金城大学短期大学部で授業しました

昨日6月29日、金城大学短期大学部で学生(ビジネス実務学科2年生)の皆さん約30名に向けて授業をしてきました。
一日大学教授です(笑)。

実は金城大学さんとのご縁はこれが初めてではありません。
過去2度授業をやっていますし、青森県の北陸りんごの会のイベントでりんごの食べ比べイベントも行っています。

今回の大学からの依頼としては、
タイトルが「食の商品化と流通」
テーマが「食材の見極め方、保存、流通、販売」等 となっていました。

なんじゃらほい?
広~いような、ぼんやり~のような、ご依頼内容の核心がつかめなかったので電話でお聞きしたところ「なんでも結構です」とのこと(爆)。

ですが生真面目な私は、真面目にこのタイトル、テーマに沿って準備をしました。
そして、90分の授業です。
私が学生の立場だったらまず間違いなく途中数十分は爆睡します。
話す側としてこれはくやしい。
なので、マイ・テーマに設定したのは「学生を寝させないこと」でした
そのためには、
1)小難しい話は一切やめる
2)現物を何かしら使って興味を持続させる
3)クイズやゲームなどを織り交ぜての参加型にする
等々の工夫をこらしました。

青バナナと黄バナナを用意して、青バナナは食べられないよ~、食べても美味しくないよ~、でも食べても死なないから食べてもいいよ~、というネタは前回も好評でしたので、今回もやりました。

今回は30人という大所帯(前回は10人の小所帯)だったので、前回好評だった模擬せりゲームはできず、私が市場側、生徒さんがスーパーマーケット側に分かれ、仕入と販売を体験する「キウイ販売シミュレーションゲーム」を開催しました。

そして、クイズでは次のような問題も出しました。
あなたがキュウリ農家だとします。今日、畑で真っ直ぐなキュウリを100本、曲がったキュウリを100本収穫しました。これを直売所で売ります。どのように売るのが正しいと思いますか。
①真っ直ぐも曲がったのも1本40円で売る。
②真っ直ぐと曲がりをセットで80円で売る。
③真っ直ぐを50円、曲がりを30円で売る。
④真っ直ぐを50円、曲がりは売らない。

これは自作問題ですが割と気に入っていて、日本の青果物流通のいろんな事情をここで学ぶことができます。

今回はコロナ禍ということで、メガネ掛け方式のフェイスシールドを着用し、青果物を持つときもビニール手袋を着用するという完璧ないで立ちで臨みました。
生徒さん30人は、一人だけが男性であとは全て女子学生さん。
なので内心は緊張してました。
そして90分の事業はあっという間に終了しました。

結果、一人の女学生には前半30分爆睡されました(笑)が、後半は起きだしてくれたし、他の皆さんは終始真面目に受講してくれたと思います。

こういうのは、講義する私自身が一番勉強になるんですね。
今回もとても有意義な経験をさせていただきました。
ありがとうございました。

青果物の週間情報 【2020-W27】

■週の概況 第27週 6/29(月)~ 7/4(土)

【全体】
 ジメジメしたすっきりしない天気が続く週になりそう。西日本を中心に大雨の恐れもあり、中期的な産地情勢は予測しにくい状況です。一方、当地のコロナ感染は幸い終息傾向が維持され、商業施設は土日などかなりの賑わいを取り戻してきました。販売環境が再び大きく変わることを想定すべきでしょう。
 春先の曇雨天、直近では6月中旬の大雨の影響もあって、青果物の生育・出荷に不安定感が生じています。特に端境期を迎えている果菜類で値を上げた品目が多く、根菜類も大根を除いて強含みです。反対に高冷地の葉物類はこの時季としては異例の出荷調整が起こるほどの供給過多に陥っています。また雨の影響で品傷みなど品質面で不安を生じている品目見受けられ、管理面には注意が必要です。入荷量・価格の上下は品目によって温度差があるので、日々安定し値ごろ感のあるものを中心とした品揃えにご留意ください。

【野菜】
 白菜、レタスは主産地長野県が出荷調整に入っており、数量の減少により市況低迷からやや価格を底上げする見通し。キャベツは群馬・嬬恋村が始まります。ネギは降雨の影響あってひっ迫感あり高値。加賀野菜の金時草は花園地区中心に露地物の時季となり増量します。地物の赤じそが増量となりおそらくこの週がピーク。
 成り物では枝豆ととうもろこしが需要期で引き合い強し。コロナ禍で長期低迷の大葉など香辛妻物類は、少しずつ回復傾向。また不振を極めた太胡瓜も金沢市の助成などあって大きく動き、相場を持ち直しそう。胡瓜は地物が終盤で減り、強含みの展開です。天候不安定で家庭菜園の成りはやや鈍く、果菜類は全般に堅調。トマトも価格を底上げしています。カボチャは石川県産こふきが登場しました。
 根菜類では大根が不振。一層の価格低迷が予想されます。逆に人参と馬鈴薯は極端な端境となってひっ迫し、高騰といってよい状況です。玉ねぎもここにきて入荷量・相場ともに不安定です。梅は凶作で高値。早くも終盤戦であり、この週で切り上がりもあります。以上、土物類は不安定な品目が多い中、ごぼう・長芋は安定した流通を見込みます。

【果実】
 天候の乱れにより、果実も入荷の不安定感が出てきています。さくらんぼは今が拡販期ながら、ここまで着色不良で当初の予定よりも大きく数量減。この週の回復が期待されます。地物の西瓜は食味の良さもあって今シーズンは動きは好調。数量的にはやや不足感があります。高松のデラウエアもまずまず順調に増量傾向で、週末には金沢産・羽咋産も始まります。桃は品種は日川中心に増量傾向、スモモは押水産も始まります。メロン各種は茨城県産が終盤となり山形県産が登場します。お中元の時季となりアールスメロン、マンゴーなどギフト商材は動きが活発化し、価格も強含みます。
 国産さくらんぼにブレーキがかかったのでアメリカンチェリーに引き合いが出来てきています。本場ワシントン州より主力品種ビングが品質も良く入荷。価格は例年よりやや高値です。

GOLDEN EGG オープン!

本日6月28日、石川県白山市横江町の学校法人国際ビジネス学院の新校舎「国際調理専門学校」の学生レストラン「GOLDEN EGG」のお披露目会が開催されました。

コロナ禍で5月末まで休校措置となり、オープンイベントが延び延びになっていたものが、ついに日の目を見た格好です。
この日は協力企業を招いてのお披露目会でした。
正式には7月29日のオープンです。
こういう実戦形式の調理学校は全国的にも数は多くありません。北陸では唯一とのことです。

当社は「産学共同協力企業」として、青果物の食材提供、学生への講義などで支援する立場です。
他に魚、食肉、加工食品の分野でも、石川県の名だたる食品企業が協力会社となっています。

この日は料理の鉄人、坂井宏行氏の料理が振る舞われました。
坂井氏がメニュー考案し、学生が指導を受けながら調理したものです。

学生レストランは、学生がメニューを考案し、ワンコイン(500円)程度の安いランチを6~10種類提供する実践型調理実習を月に6日間程度開催します。
それとは別に、月に1度程度、有名料理人(道場六三郎、陳健一、坂井宏行など)が来校して、「グランドシェフレストラン」として3~4品で2500円のコース料理を完全予約制で提供します。
また、辻口博啓氏のスイーツは1500円で提供するとのことです。
ともに一般の方も利用できるようです。

キャンパスのすぐ近くに建設中で来年7月に完成予定のイオンモールが完成すれば、その中のレストラン街とも全面協力体制を敷いて食イベントを打っていくとのことです。

考察 自己買受

卸売市場法が改正になって、可能となったことの一つに「自己買受」があります。

可能と言っても、法律で「自己買受ができる」という文言が挿入されたわけではなく、旧法第40条「卸売業者は(中略)卸売の相手方として(中略)買い受けてはならない」という条文が削除されただけであり、禁止が取れたから解釈上許されるということです。

この法律改正の何が重要かというと、委託販売(=販売価格はその卸売会社の努力によって決められる)でありながら、実際は産地からの指値(=この値段以上で売れという産地の価格条件)の縛りを受けてきた卸売会社が、事故損形式であれ買付形式であれ、後々、お役所から追徴課税を受けたり、違法の指摘を受けたりしたその苦しい歴史に終止符を打ち、公明正大な経理処理をできるようになることを意味します。

これは当事者としては大きなことです。
産地再生産価格を支えられるのは実需者ではなく、卸売市場の需給調整機能あってのものという矜持はあるものの、世間一般に認められたものではなく、むしろ市場流通あるがゆえに物の値段は高くなるという誤った認識がまかり通ってきました。

自己買受が正当化されることで物の値段が変わるわけではありませんが、卸売会社は今までよりも産地にも実需者にもきちんとモノが言えるようになると思います。

ただし、クリアすべきことはまだ残っています。
税務署がOKかどうか、誰も保証してくれていません。
農林水産省は問題ないので自己買受方法に変更したが、あとから税務署にそれは不適切ですと言われた、では元も子もありません。
本来は農林水産省と国税庁で調整をしていただきたいところですが、そういう動きは今のところないようです。

今想定されている処理は以下の通りです。
産地から、委託での出荷ながら指値の条件があり、卸売会社としては今後の取引継続の必要性から、これを了承しての販売に努力しましたが、実勢価格との乖離があって指値通りには売れず、卸売会社は自己買受によって自社に指値での販売をします。
つまり、荷受け会社たる卸売会社(A)が、買受転売業者たる卸売会社(B)に販売します。
その後、Bは、実需者たる仲卸・売買参加者・その他買受人に対して実勢価格で販売をします。
その際、①「A⇒B」と②「B⇒実需者」という2つの販売が発生しますが、AとBは同一会社なので、普通に計上してしまっては売上が二重になってしまいます。
なので、①と②は相殺しなければいけません。
通常は①>②なので、販売実績としては①が残るということでしょうか。

細かい点はまだ詰め切れません。
具体的なことは誰も指南してくれないので、実際の運営はまだ先になりそうです。
これは全国の卸売会社共通の問題ですので、業界で取り組むべきことと思います。

自分の思いどおりにならないからこそ前を向く

「商興特報」にはいい話がちょくちょく掲載されるのであなどれない。
「商興特報」は、どこどこの会社が潰れた、債券はこんなんだ、といった生々しい情報の冊子だから、人生訓だの感性の妙だのとは無縁なようだが、とんでもない。
そんな世界に身を置く者こそ、人の情や生きる意味に精通していなければならないという哲学があるのだろう。
ここの編集者にお会いしたいものだ。

さて、今回は2020年6月23日号。
童話作家アンデルセンのお話である。
アンデルセンは貧しい靴職人の家に生まれ、父の死を受けてコペンハーゲンへ。
歌が得意で、オペラ歌手を目指すが、声をつぶしてしまう。
その身を嘆き一時絶望するが、ある詩人と出会い、文学への道を志す。
後に彼をこう言った。
「一見この上なく大きく思われた不幸の中に、実は向上の一段落が横たわっていたのである」(大畑末吉訳『アンデルセン自伝』岩波文庫)
自分の夢を追い、それに向かって努力することは人間が持つ最も尊い美徳であるが、すべて自分の思い通りに事が運ぶとは限らない。
いやむしろ、夢破れ、挫折することの方が多いのが人生というものである。
その時、新しい道を見出し、やがて人生に光を照らすことができるかどうか。
長い道のりの後に自分の人生を全うすることができたと実感できるかどうか。
壁にぶつかったとき、どう前向きに捉えていくか。
悩みや困難に振り回されるのではなく、積極的に意味づけし、前進と向上のチャンスに変えていくことができるかどうか。
大変な状況であるほど、それを乗り越えることによって、多くの人を勇気づける人間になることができる。
今いる時分の場所を正面から受け止めて、未来に向かってドラマを綴っていく。

大変、勇気づけられるコラムであった。
(ほぼ引用ながら、ところどころ自分の言葉に書き換えました。)