ゼスプリのキウイCMが気合入ってる

今年のゼスプリは気合が入っている。

TVCMの出来が半端なくいい。

キウイブラザーズのショートムービーは、トイストーリーを見るかのよう。

これがなんとゴールデンタイムに流れるのだから、気合の入り具合は本物だ。

この点を我が社の輸入フルーツを扱う部署のA部長に言ったところ、次のようなことを教えてくれた。

ゼスプリ現社長の安斉一朗氏の戦略であろう。

マクドナルドやベネッセの代表として辣腕を振るった原田泳幸氏の懐刀のような存在だった。

安斉氏は自身が表に出ることはあまりしない堅実な性格。

しかしその戦略は地道で確か。

ゼスプリは今年、ロゴマークを刷新し、販促資材もすべて作り直した。

昨年までもキウイブラザーズの人形はプレミアがつく人気ぶりだった。

イメージ戦略はとても素晴らしい効果を生んできている。

現在はおそらくコロナ禍のために、一部上場会社が次々にTVCMのスポンサーを降りており、ゴールデンの時間枠が空いていると思われる。

電通など大手代理店はCMの枠を持っており、枠を埋めるために今は大きく割安でゴールデン枠を提供していて、ゼスプリはその流れにうまく乗ったのではないか。

東日本大震災の時のドールもそうだった。

震災前、ドールは木村拓哉を起用したかったが、ジャニーズ事務所が許可したのは香取慎吾。

ドールは香取をうまく使って、破壊的なおふざけキャラに仕立て、それはそれで話題になった。

その後に起こった東日本大震災で、やはりゴールデンタイムのCM枠は大手スポンサーが撤退し、安売り状態になった。

タレント事務所も仕事がなくなった。

そこで、一時的ながら、ドールのCMにSMAPのメンバー全員が登場する機会が実現したのである。

こういう時流の波と戦略性は、青果業界という極めて立場の弱い世界にも時として輝く機会を与えてくれる。

人格が素晴らしいと評判高いゼスプリ・安斉代表に一度お会いしたいものだ。

研修したがダメだった件

さて、ここ数回に渡って、ブログでは改正卸売市場法の要点についてまとめてきた。
一つは自分のため。
もう一つは社員のため。

社員のためというのは、5月15日の午後2時から社内勉強会を開くことになっていて、その講師役を務めたからだ。
対象は入社4年以内の若手を中心に、希望者は誰でも。
全部で25名ぐらいが集まった。

人に何かをレクチャーする時、注意しなければならないのは、「何も知らない受講者の身になって話す」ことだ。
「AはBの理由によって今後Cに改正されます」
Bという背景を理解してもらって、Cを覚えてもらいたい、と自分は意図していても、
聞く者はそもそもAについて全く知らず、スタート地点から「???」だった、というケースがよくある。
この場合は「まずAについて説明します」というところから始めなければならない。

で、今日はそうしたつもりだった。
かなり事前に頭の中だけではあるもののシミュレーションを重ねて臨んだつもりだった。
でも、、、ダメだったようだ。

だいたい、講義中の生徒たちの表情を見ればわかる。
「ふん、ふん、ふん」とうなずくリアクションがない。
「は?は?は?」という感じ。
真面目に受けてくれた子が多いだけにとても残念だった。

制限時間は1時間。
自分がまとめたレジュメをこなすのはかなりきついことはわかっていた。
本当は3時間ぐらいほしかった分量。
だから1時間ずつ3週間にわたってやるのがちょうどいいくらいであった。
でも、とにかく一度ぶっ飛ばして網羅しておくのもよかろう、と思った。

仕方がない。
たぶん、ベテラン社員でも今回の内容をきちんと把握している者は少ないはずである。
時期にあらため、今度はもう少し丁寧に勉強する機会をつくろう。
少なくとも、今まで我が社ではこうした勉強の機会はほとんどなかったのである。

やはり、毎週土曜日午後1時からは全社員集会とし、
30分が業務連絡&倫理教育、30分がテーマ別勉強会という会を定例化するべきと思う。

改正卸売市場法 問題集

改正卸売市場法 問題集

問題)次の①から⑩について、a)旧市場法において、b)6月からの新市場法において、それぞれ合法なら○、違法なら×を書きなさい。

問①
丸果のOさんは、担当商品であるトマトを、売買参加権を持たないスーパーVに仲卸を通さずに直接売ろうとした。 a) ○ ×  b) ○ × 

問②
丸果のY君は、能登島の農家Tさんと七尾のスーパーDとの間に入って話をつけ、Tさんの有機野菜をDの店舗に直接納入する商談を決めた。 a) ○ ×  b) ○ × 

問③
丸果のSさんは、農家Yさんから金時草の委託販売の依頼を受けたが、市況が低迷していたため、販売を断った。 a) ○ ×  b) ○ × 

問④
丸果のY君は、恩義のある農家Mさんの蓮根を品質は同じにも関わらず他の生産者より高く販売し、日頃お世話になっている仲卸Kさんに他の買受人より安値で伝票を上げた。
a) ○ ×  b) ○ × 

問⑤
丸果のK君は、せり販売を終えて後、実際は量目5㎏の商品だったのに10kgと勘違いして販売していたことに気づき、販売原票の単価を二重線で取り消し正しい金額に訂正して入力した。 a) ○ ×  b) ○ × 

問⑥
丸果のS君は、販売品目を広げようと思い立ち、金沢港で採れたカニを販売した。
a) ○ ×  b) ○ × 

問⑦
丸果のO君は、委託で受けた農協の大葉について指定価格の通りに販売できないと判断し、買付処理をして指定価格より安価に仲卸に販売した。
a) ○ ×  b) ○ × 

問⑧
丸果のO君は、委託で受けた農協の大葉について指定価格の通りに販売できないと判断し、丸果に指定価格で売ったことにして、その後、指定価格より安価で仲卸に販売した。
a) ○ ×  b) ○ × 

問⑨
20××年、アマゾンが河北潟にまったく別の巨大卸売市場を建設し、農林水産省の認定を受けて中央市場となって開場し、丸果にとって恐るべき競合相手となった。
a) ○ ×  b) ○ × 

問⑩
丸果のT君は、ブロッコリーを次のように販売した。高値・中値・安値はいくらか。
2L 40箱 @2000、L 100箱 @1800、M 69箱 @1500、S 30箱 @1300、M 1箱 @500(品質不良のため)
高値   中値   安値

改正卸売市場法の勉強④

4)取引の公表

【売買取引の条件の公表】法第4条、省令第5条、条例第46条
・営業日、取扱品目など
・委託手数料、負担費用など
・代金決済方法
◎出荷奨励金、完納奨励金の取り決め
◎以上を内容などをインターネット等を通じて公表しなければならなくった。これにより、旧来の受託契約約款の作成・閲覧義務はなくなった。

【売買取引の予定、結果の公表】法第4条、省令第8条、条例第52条、条例第55条、規則第59条、第60条
◎毎日の販売前の主要品目ごとの予定数量、産地(せり・相対・第三者販売ごとに)
◎毎日の販売後の主要品目の数量、産地、価格(高値、中値、安値)(以上をせり・相対・第三者販売ごとに)
◎毎月の委託手数料額、奨励金額、
◎毎月の第三者販売の開設者への報告義務(条例第41条)
◎以上の内容をインターネット等を通じて公表しなければならなくなった。旧来より大幅に情報内容が増えることになるので、運用方法の変更が急務となる。

【価格の定義】省令第3条2項2号
・高値(最も高い価格)
・中値(最も卸売の数量が多い価格。ただし個々の商品ごとに価格を決定する品目は加重平均価格)
・安値(中値未満の価格のうち、最も卸売の数量が多い価格。ただし個々の商品ごとに価格を決定する品目については最も低い価格)

5)その他

【開設区域の撤廃】
◎新法では開設区域という概念はなくなった。

【業務検査】
◎卸売業者が業務検査を受けるのは、今後は農林水産省ではなく開設者になった。

コロナウイルスによる地方自治時代の幕開け

コロナウイルスによる地方自治時代の幕開け

ちょっと大げさかもしれないが、吉村洋文大阪府知事が5月5日に出した大阪モデル以来、各都道府県の首長がにわかにクローズアップされてきた気がする。
県には県の独自性や地域性があって、その首長の政策や議会の決定次第で住民の生活のあり方が大きく変わる。これはまさに地方自治を実感するということである。

大阪モデルに倣って、岐阜県、愛知県、三重県、福岡県などが続々と独自の「休業要請解除基準」を打ち出した。

大阪モデル
①新規の感染経路不明者数10人未満
②陽性率7%未満
③重症者病床の使用率60%未満
以上3基準を7日連続で満たせば段階的に解除

岐阜県
①新規感染者が週に7人未満
②PCR検査の陽性率が週平均で7%未満
③感染経路不明者が週に5人未満
④入院患者が60人未満
⑤人口心肺装置を着けるなどの重篤患者が3人未満
以上5基準が2週間程度続けば

愛知県
「注意」…下記のいずれかが上回れば外出自粛や休業を呼びかけ
①過去7日間平均で新規感染者数が10人
②過去7日間の平均入院患者数が150人
③過去7日間の陽性率が5%
「危険」…下記いずれかが上回れば休業要請
①過去7日間平均で新規感染者数が20人
②過去7日間の平均入院患者数が250人
③過去7日間の陽性率が10%

新規感染者数、入院患者数、陽性率など共通する項目もある一方で微妙に内容が違うところが若干“見栄っ張り”というか、“各県のプライド”というかがあるものの、違いはあってよいし、今後標準化されていくものもあろう。

これは科学的であるということ、県民に納得感を与えるということ、地方単位での自立を促すということにおいて意義あることと感じる。

翻って我が石川県。
今日は新聞の中に1枚「事業者への支援制度」の折込み広告が入っていた。
何もやってないわけでは決してない。
ただ、わかりやすいメッセージ性が薄い。
また、金沢・野々市とそれ以外があまりにも傾向がかけ離れている。
石川モデルは金沢・野々市を除く能登や加賀南を対象に、金沢野々市モデルは両市長が図って別途作成する方が現実的ではないかと思う。

青果物の週間情報 【2020-W20】

■週の概況 第20週 5/11(月)~ 5/16(土)

【全体】
 外出自粛要請となった異例のGWが明けました。GW中の消費は、スーパー筋からは前半好調、後半失速という声が聞こえてきます。3密防止で特売のない平準販売が中心でしたが、家庭料理疲れもあって消費はやや詰まってきた感があります。この週、石川県はまだ警戒中ながら、他県では活動再開のスピードが上がってくる週であり、石川県内でも今後の企画が練られてくる頃合いでしょう。頭のスイッチを切り替えるタイミングかもしれません。
 この週の青果物は全体的には増量傾向で弱含みです。4月は冷え込んで重量野菜を中心に数量が絞られましたが5月に入って夏日かと思われる陽気で生産量は回復傾向となること、産地切替が次々と進み後続産地の潤沢感が増すことが主な要因です。

【野菜】
 葉茎菜類では今まで高かった白菜・キャベツ・ネギ・アスパラは下げ。白菜は茨城県産中心に増量し、まだ高めとはいえかなり正常なレベルに。キャベツは週の前半は安値が見込まれますが、週の後半に反発があるかも。ほうれん草など菜類は総じて弱含みです。ブロッコリーは潤沢安値の中、この週より石川県産も始まります。
 果菜類は全体に増量傾向で価格を下げる品目が多くなる見通しです。トマトは小松市を皮切りに地物が次々に始まります。胡瓜はより一層の安値展開を見込みます。堅調だったピーマンも落ち着いてくるでしょう。
 根菜土物類では人参が端境期にあたり数量減から上げ予想です。蓮根・甘藷はシーズン末期で少なく高保合。筍は石川県産が末期であり、最後のひと頑張りをしたいところですが、陽気で需要減退し更なる安値です。季節物ではラッキョウが前年より出荷ペースが早く値ごろなようです。玉葱は依然として低迷しており苦しい販売環境です。

【果実】
 国内果実では、5月初頭の暑さを受けて西瓜の動きがまずまず好調です。イチゴは九州産がこの週一杯など徐々に消えていくとはいえ例年よりも出荷が粘って続いています。メロンはアンデス・クインシー中心に多種多彩な品種構成です。りんごは有袋ふじ中心で高単価が継続です。ハウス物は春先は前進傾向でしたが4月下旬の冷え込みでペースが戻り、前年並みペースになりそう。山梨県産ハウス桃は品種日川でこの週からスタート、山形サクランボは品種砂糖錦で段々と増量してきます。
 輸入果実ではアメリカンチェリーが増量します。スタート時はやや品質に難ありでしたが今は立ち直り、価格的にも平年レベル(輸送コストは上昇するも品物原価が下落のため)で手配できそうな見通しです。

■週の概況 第19週 5/4(月)~ 5/9(土)

【全体】
 例年、GW直前に全体相場は上がり、明けると下がるのがパターンであり、入荷は一部品目を除いて大きな問題はないことから、一応例年通りの展開を見込みます。しかし、ゴールデンウイーク真っ只中といっても前例のない「ステイホーム週間」ですから、消費がどうなるか、GW明けからどう動くかは未知の世界です。今年は人の密集を避けて特売などの集客策を店舗が控えているので、一般野菜が平均して売れる傾向が淡々と続くかもしれません。
 気温はぐっと高まり、低温で滞っていた後続産地の生育が回復し、GW以降は全体に増量傾向が顕著になると思われます。一方で筍や山菜類などの季節商材は後半戦から終盤に向かっていきます。

【野菜】
 葉茎菜類では依然として高値品目が多いです。特に白菜は茨城産が少なく高値が続く傾向がしばらく続きそう。キャベツは価格の乱高下が日々に激しく、GW後半~明けは反落の番か。ねぎは後続の茨城産が出るまでの間が品薄で高値基調、レタスも数量少なく高値展開です。菜類は気温の上昇とともに生育回復し一時よりも落ち着いてきた感があります。
 反対に果菜類はは概ね順調で、連休中は保合、明けて下げを予想します。中でピーマンは堅調でしっかりした価格ですが、胡瓜、ナス、トマトは潤沢です。山菜類ではわらび、カタハ、山ブキが増量する見込みです。
 根菜類では大根、かぶらは保合、人参は連休明けからやや弱含みとなる見込み。筍は地物の品質が良く値ごろのシーズンとなりましたが、販売のピークはこの週まででしょう。季節のものではらっきょうがスタートし、徐々に増量を見込みます。蓮根・甘藷は残量少なく強保合です。土物類では玉葱が依然として激安です。

【果実】
 国内果実では、気温の高まりから西瓜の需要が増える見込みで数量も潤沢です。メロン類はネット系・ノーネット系など種類豊富に出回り、こちらも引き合いが強まる見込みです。りんごは有袋ふじ中心ですが、単価高のため動きはやや鈍い展開。柑橘では紅甘夏が貯蔵物になり値が上がります。施設物としてはサクランボが順調に増量見込みであり、この週あたりから山梨産ハウス桃も始まるでしょう。
 輸入果実ではバナナ・パインがコロナウイルスの影響で産地の作業効率が低下しており、数量確保が困難な状況。数量減の単価高が続きます。アメリカンチェリーが始まりました。当初心配したほど産地原価は高騰せず、まずは無難なスタートですが、品質面ではまだ不安定感があります。米国産シトラスは安定した入荷です。

改正卸売市場法の勉強③

3)業務の運用上の決まり

【荷受け時の検品】条例第48条
・卸売業者は委託を受けるときは検品を確実に行うこと。もし異状、数量違いなどを認めた時は、開設者の検査員の確認を受けること。

【せり人の登録、更新】条例第12条、せり人登録取扱要領
・せり人は卸売会社が申請し、開設者の登録が必要(ただし試験は廃止)。
・せり人になるには、2年以上の現場経験が必要。

【せり以外の方法で販売できる販売担当者】条例第17条
・せり売りはしない(できない)が相対販売をさせたい社員も届け出が必要。

【せり売】旧施行規則から削除され、取引協議会青果部取引規約となる予定
・せり売りは、せり人が品種、数量などを呼びあげた後でなければ開始できない。
・せり人が価格を3回呼び上げて販売を決定する。ただし、価格形成上公正を欠くおそれがない場合はこの回数を減じることができる。
・せり人は、せり落とし価格およびせり落とし人の氏名又は番号を呼びあげなければならない。

【卸売代金の変更の禁止】条例第63条、事故品処理要領
・卸売業者は、卸売をした物品の卸売代金の変更をしてはならない。ただし、市長の指定する検査員が正当な理由があると確認したときは、この限りではない。

【販売原票等の保存】規則第18条、販売原票取扱要領
・卸売業者は、販売原票、販売仕切書をその作成の日から2年間保存しなければならない。
◎保存は、電子データの保存をもって代えることができる。

【決済方法】規則第60条
◎受託物品は、卸売した日から5日以内に売買仕切金を支払わなけれならない。
◎買付物品は、引渡しを受けた日から5日以内に代金を支払わなければならない。
◎仲卸、売買参加者、その他の買受人は、卸売業者から買い受けた時は、引き渡しを受けた日から10日以内に代金を支払わなければならない。
・買出人は、仲卸から買い受けたときは、30日以内に支払わなければならない。
・以上の支払期日は、取引参加者間において別に取り決めがある場合は、その取り決めに従うものとする。

【出荷奨励金の承認申請】条例第61条、規則第63条、青果部出荷奨励金取扱要領
・卸売業者は、取扱品目の安定的供給の確保のため、市長の承認を受けて、出荷者に対して出荷奨励金を交付することができる

【完納奨励金の交付申請】条例第64条、規則第65条、青果部完納奨励金取扱要領
・卸売業者は、卸売代金の期限内の完納を奨励するため、市長の承認を受けて、仲卸業者、売買参加者その他の買受人に対して完納奨励金を交付することができる。

3回では終わらなかったので、さらに来週続けます。

改正卸売市場法の勉強②

2)取引ルールについて

【販売の基本理念】条例第35条
・市場における売買取引は、公正かつ効率的でなければならない。
◎卸売業者は、金沢市場の仲卸、売買参加者に販売することを基本とする。
◎卸売業者は、金沢市中央卸売市場内において販売することを基本とする。
◎仲卸業者は、金沢市場の卸売業者から買うことを基本とする。
(つまり、従来からの市場内販売を優先し、第三者販売、直荷引き、商物分離販売はあくまでもその次にしなければならないという牽制の意味が込められている。)

【販売方法】条例第36条
◎卸売業者の販売は、せり売り若しくは入札の方法又は相対取引の方法によらなければならない。(つまり、どんな売り方でもよい。旧法にあった物品制限がなくなり、今後は買受側の了解さえ得れば、何でも自由に売り方を選択できることになった。)
◎卸売業者は、せり売りと入札は、仲卸及び売買参加者以外の者に卸売をしてはならない。(つまり、せりでは第三者販売できない。)

【差別的取扱いの禁止】法第4条5項、条例第40条
・卸売業者は、出荷者又は仲卸業者その他の買受人に対して、不当に差別的な取扱いしてはならない。

【受託拒否の禁止】法第4条5項、条例第40条
・卸売業者は、委託の申込みがあった場合には、正当な理由(省令第6条)がない限り、引き受けを拒んではならない。委託者の販路確保のため。

【第三者販売の自由化】条例第41条
◎旧条例第41条(卸売業者は仲卸及び売買参加者以外の者に卸売をしてはならない)が削除された。=第三者販売が許されるルールとなった。
◎ただし、第三者販売の販売予定、結果を毎日、毎月、報告と公表する義務が生じる。

【仲卸の直荷引の自由化】条例第50条
・仲卸は委託の引受けをしてはならない。
◎仲卸は、市場内において、卸売業者以外の者から買い入れて販売した場合は、毎月、市長に報告しなければならない。
(つまり、直荷引きが許可になった。ただし直荷引きの報告義務がある。また、出荷者から委託販売を引受ける卸売行為は違法。)

【商物分離の自由化】条例第42条5項
◎旧条例第42条(卸売業者は市場内にある物品以外の卸売をしてはならない)が削除された。=つまり、産地直送など、市場に荷物が降りない販売も認められるようになった。
◎卸売業者は、市場内及び指定保管場所以外にある物品を卸売した場合は、毎月、市長に報告しなければならない。

【指定保管場所】条例第42条
◎卸売業者は、物品の保管場所を市場外かつ市内に設ける場合は、市長の指定を受けなければならない。
(つまり、旧法における指定保管場所制度が残ってしまった。丸果流通センター、バナナセンター、缶詰倉庫は指定保管場所であり、この取扱いは市場内と同じ扱いとなり、商物分離に該当しなくなる。つまり、取扱高使用料が発生する。)

【自己買受、買戻し、その他の許可】条例第44条・第45条の削除
◎旧条例第44条、第45条にあった「自己買受の禁止」「買い戻しの禁止」「委託手数料以外の報償の収受の禁止」が削除されたことにより、新条例の下では解禁になったと解釈できる。
◎自己買受…卸売業者が、自社に販売したことにする処理。(今後、社内販売処理として、非常に重要になる可能性あり!)
◎買い戻し…例えば、仲卸に一度売ったものを再び買い戻す処理。(ただし、循環取引が問題視される場合は多く、安易な使用はできないと思われる。)
◎委託手数料以外の報償…具体的な事例はない。取引条件は卸売業者が独自に定め、開設者が承認すれば、その後は出荷者の判断により取引が成立することになるため、手数料以外の収入を禁止する根拠がなくなった。出荷者が了解すれば、手数料以外の収入の設定は理屈上は可能。

改正卸売市場法の勉強①

この6月21日より改正卸売市場法が施行される。
ここにその要点を記録しておく。
(3回に分けて)

序)新・卸売市場法の法令体系について

(法律)卸売市場法(平成30年6月22日公布)
(政令)-卸売市場法施行令
(省令)-卸売市場法施行規則

(条例)金沢市中央卸売市場業務条例
(規則)-金沢市中央卸売市場業務条例施行規則
(要領)-さまざまな要領

・2年の経過措置を経て、令和2年6月21日から施行。

改正の背景
・卸売市場の集荷、分荷、価格形成、代金決済機能は重要であり今後も堅持するべき。
・農林漁業者の所得を向上させ、消費者ニーズに応えるため新たな食品流通構造にする必要あり。
以上の観点から、卸売市場を含めた食品流通の合理化を促進する新しい法律を制定する。

1)市場について

【卸売市場の目的】法第1条、条例第1条
・生鮮食料品等の公正な取引の場として、適正かつ健全な運営を確保し、国民生活の安定に資することを目的とする。

【中央卸売市場】法第4条、省令第1条
・一定規模以上(青果の場合は1万㎡以上)であって、開設者が開設申請をし、農林水産大臣が認定した市場を「中央卸売市場」とする。
・開設者は農林水産大臣が認定する。
◎地方公共団体に限らず、民間業者でも開設者になることが可能になった。
◎卸売業者、仲卸業者は開設者が認定する。

【地方卸売市場】法第13条
・開設者が開設申請をし、都道府県知事が認定した市場を「地方卸売市場」とする。
・開設者は都道府県知事が認定する。
・卸売業者は都道府県知事が認定する。
※仲卸業者は認定を必要としない。
※受託拒否の禁止事項がない

【市場関係者の定義】法第2条、条例第1条2項、条例第6条
・開設者…卸売市場を開設する者。金沢市中央卸売市場の場合は金沢市(金沢市長)。
◎卸売業者…開設者の許可を受け、出荷者からの委託又は買い受けで卸売をする者
・仲卸業者…開設者の許可を受け、卸売を受けた物品を市場内店舗にて販売する者
・売買参加者…開設者の承認を受け、市場で卸売業者から卸売を受ける者
◎その他の買受人…売買参加者の承認を受けずに卸売業者、仲卸業者から買い受ける者

【仲卸業者の許可】条例第19条
◎仲卸業者の上限数に規程はないが、仲卸売場の物理的な収容能力を超える場合は、新規の参入申請があっても許可されない。
・仲卸業者は、申請者(代表者)が卸売業者又は卸売業者若しくは仲卸業者の役員若しくは使用人であってはならない。(つまり、仲卸は卸売業者や他の仲卸の役員や社員を兼任してはならない。)

【開場時間】条例第5条
◎午前0時から午後12時間(すなわり24時間)
・ただし、卸売業者が卸売のための販売時間は、市長が定める。

【取扱物品】条例第3条
◎青果部…野菜、果実及びこれらの加工品並びに市長が定めるその他の食料品
(うずらの卵や調理冷凍食品も含まれる。卸の申請書により随時追加を検討)

人がいないGW

人がいないGW

これは昨日5月6日、夜7時50分の金沢駅の様子です。
ゴールデンウイーク最後の日なので、例年ならば旅行者が戻っていき、帰省者が東京などに帰っていく日で、それなりに人でごった返してしかるべき日です。

北陸新幹線は夢でありしか。

思わずそう詠じてしまった風景でした。
昨日は、大学2年(になったはず)の長男が、東京の下宿に本を取りにいくのに、日帰りで往復したのを駅まで送迎しました。
なんでも、学校はまだしばらく閉鎖で、大学はインターネットを使ったオンライン授業をするのだとか。
そのために授業で使う教材が必要となり、やむなく新幹線で行って帰ることにしたのです。新しく買った方が安くつきますが、注文して届くまでに授業が始まってしまうので仕方ありませんでした。
長男が言うには行きも帰りも新幹線はガラガラ、都内の電車も1車両に10人程度の乗車率だったそうですから、本当に世の中は外出自粛を真面目にやったんですね。
テレビではやれ江ノ島が密だの、パチンコ屋が長蛇の列だの、ごく一部の過密現象をやり玉にあげていますが、それはごくごく一部であり、強制力のない中でもこれだけ自粛できるのはやはり日本人の真面目さの賜物であると思います。

しかし、この風景はあまりにも哀しい。
来年の今日は、以前のように、人で一杯の金沢駅になりますように。