家を切る

5月3日のブログでお伝えした高知県産のオリエンタルリリー。
超巨大な百合で、とりあえずお水に浸けとかなきゃということで、バケツに水を入れて、その中に百合をぶっこみました。
背丈が高いのでバランスが悪く、ちょっと目を離した隙にバケツごと転倒。
場所は2階の台所で、そこら中が水浸しになりました。

あ〜あ、と雑巾で拭いていたのですが、しばらく経って1階にいる母から「ちょっとー、天井から水が垂れてんだけど」との声が。
慌てて下に降りてみると、まあ、物凄い量の水がしたたり落ちて水たまりになっています。

これは完全な雨漏り状態です。
息子二人にも今日力を仰ぎ、天井の照明器具の蓋をまず外し、そこで発見した穴から覗くと、うわっ!、1階の天井裏に水が溜まっています。

このまま放置すると木が腐ったり、カビが発生したりと恐ろしいことになるので、なんとか拭き取れないかと考えた挙句、これは天井裏の一部分をとり外して水溜りに辿り着いてタオルで拭き取るしかあるまい、との結論に達しました。

屋根裏照明器具部分の木の枠が16個のネジで固定されていたので、まずそれをはずしてみます。
大仕事でした。
でも、全ネジをはすしても板ははずれません。
ここまでで開始1時間。
意を決し、木の枠をノコギリで切ってとり外すことに。

家を切るのです。
切ること1時間。
激闘でした。
私は戦力外でした。
9割9分は長男と次男が交代で切り続けました。
いつのまにか、こういう身体的能力は私をはるかに凌駕する息子さんの姿がありました。
うれしかったですね。

そうして、板をとりはずし、水溜りを拭きとることが一応できたわけです。
いやー、
楽しかったですね。
これは、二年前、物凄い大雪で家の前が雪で塞がり、息子二人と3人でゆきかきをして以来の充実感でした。

息子らと何かをするのはとても楽しいものです。
そして、自分よりもいい働きをしてくれる息子を発見するのはこの上ない喜びです。
水をこぼして大惨事になりましたが、災い転じてなんとやら。
とても楽しい一時を過ごせました。

お上は後手を踏んでいる

新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が出されたのが4月7日で約1ヶ月経ちました。
感染者数はある程度の減少傾向を見せていますが、終息が見込まれるレベルではなく、政府は当初の5月6日ではなく、5月31日まで延長することを決定しました。

この間、政府、各自治体は様々な救済策や生活支援を打ち出してきました。
一番のメインは一人10万円の現金給付でしょう。

また話題性としてマスク2枚。いわゆる「アベノマスク」が印象的です。
まだウチには届いていませんが。
これはまず、1世帯2枚という非常に半端な数、そして不良品が多く回収騒ぎになったことで非常に評判が悪かったわけですが、反政府派の格好の標的になりました。
いや、決して非難されるものではない、と政府を擁護する意見もたくさんあります。
私は愚作だと思っています。理由は後述。

石川県の谷本知事は、マスク購入券を配布し、1戸あたり100枚(2箱)を確実に手に入れられる処置を発表しました。
これは福井県の踏襲です。
(噂ですが、石川県庁内では当初、福井のマネなんかできるかい!という意見もあったとか。もしそれが本当なら度量の小さいことです)

やらないよりはよほどマシ。
しかし、お上の策はいずれもスピード感がなさすぎです。
昨日覗いた「ドンキホーテ」ではマスク50枚入り箱が無制限で山積みされていました。
税抜き価格2950円でした。
そろそろ民間では出るものは大量に出てきています。
転売業者はすでに投げ売りに走っているという噂も聞こえてきます。
マスクはもう1〜2週間もすれば「何を今さら」になりゃせんか。
もしアベノマスクそのタイミングで届いたら目も当てられません。
そして何よりアベノマスクは、その政策にセンスが感じられない。
政治と行政にセンスは無用かもしれませんが、私はとても気になってしまいます。

青果物の週間情報 【2020-W19】

■週の概況 第19週 5/4(月)~ 5/9(土)

【全体】
 例年、GW直前に全体相場は上がり、明けると下がるのがパターンであり、入荷は一部品目を除いて大きな問題はないことから、一応例年通りの展開を見込みます。しかし、ゴールデンウイーク真っ只中といっても前例のない「ステイホーム週間」ですから、消費がどうなるか、GW明けからどう動くかは未知の世界です。今年は人の密集を避けて特売などの集客策を店舗が控えているので、一般野菜が平均して売れる傾向が淡々と続くかもしれません。
 気温はぐっと高まり、低温で滞っていた後続産地の生育が回復し、GW以降は全体に増量傾向が顕著になると思われます。一方で筍や山菜類などの季節商材は後半戦から終盤に向かっていきます。

【野菜】
 葉茎菜類では依然として高値品目が多いです。特に白菜は茨城産が少なく高値が続く傾向がしばらく続きそう。キャベツは価格の乱高下が日々に激しく、GW後半~明けは反落の番か。ねぎは後続の茨城産が出るまでの間が品薄で高値基調、レタスも数量少なく高値展開です。菜類は気温の上昇とともに生育回復し一時よりも落ち着いてきた感があります。
 反対に果菜類はは概ね順調で、連休中は保合、明けて下げを予想します。中でピーマンは堅調でしっかりした価格ですが、胡瓜、ナス、トマトは潤沢です。山菜類ではわらび、カタハ、山ブキが増量する見込みです。
 根菜類では大根、かぶらは保合、人参は連休明けからやや弱含みとなる見込み。筍は地物の品質が良く値ごろのシーズンとなりましたが、販売のピークはこの週まででしょう。季節のものではらっきょうがスタートし、徐々に増量を見込みます。蓮根・甘藷は残量少なく強保合です。土物類では玉葱が依然として激安です。

【果実】
 国内果実では、気温の高まりから西瓜の需要が増える見込みで数量も潤沢です。メロン類はネット系・ノーネット系など種類豊富に出回り、こちらも引き合いが強まる見込みです。りんごは有袋ふじ中心ですが、単価高のため動きはやや鈍い展開。柑橘では紅甘夏が貯蔵物になり値が上がります。施設物としてはサクランボが順調に増量見込みであり、この週あたりから山梨産ハウス桃も始まるでしょう。
 輸入果実ではバナナ・パインがコロナウイルスの影響で産地の作業効率が低下しており、数量確保が困難な状況。数量減の単価高が続きます。アメリカンチェリーが始まりました。当初心配したほど産地原価は高騰せず、まずは無難なスタートですが、品質面ではまだ不安定感があります。米国産シトラスは安定した入荷です。

高知のオリエンタルリリー

高知のオリエンタルリリー

高知県産の園芸品「オリエンタルリリー」を買いました。
これはズバリ、産地協力です。

JA高知県からの依頼でした。
社内で案内をかけ、購入希望者を募りました。
今、高知県内の花農家が困っています。
ゴールデンウイークに向けて栽培していた百合の花が、ほぼすべてのイベントが自粛・中止になったことで行き場がなくなったのです。
これは全国的な悩みです。

親戚・知人にはお花が好きな人も結構いるし、お分けすればよいかな、と5000円分を買いました。
白リリー3本で500えん、ピンク3ほんで500えんですので、それぞれ5束ずつの私的には大人買いでした。

着いてビックリ‼️
超巨大です。
人の身長ほどあるダンボールに入ってきました。
車の後部座席が一杯になりました。

これで5000円は安い。
産地も本来の販売先がなくなり、方々に協力依頼をかけての販売ですから、儲けなし(もしかしたらかなりの赤字設定?)なのでしょう。

受け取ったときはすべてが蕾でしたが、水につけておいたら見事に咲き始めました。
そして、後日お知らせしますが、この後わが家では大惨事も起こったのでした。

それはともかく、非常に美しく、また匂いがものすご芳しいです。
花農家、立派なものを作ります。
それが行き場がなくなっているなんて、改めて世の中は本当に大変なことになってます。
日本中、世界中がさまざまなことをしながら回っていたんだ、それが止まるとこんなことになるんだ、ということを思い知らされます。

カボチャと里芋を定植しました

世の中はゴールデンウイークでもあり、ステイホーム週間でもあり、いづれにせよ休むっきゃないわけですが、農業はそうはいきません。
お米は田植え、野菜は定植などで大忙しです。
我が社の子会社「ファーム菜四季・河北潟農場」も、今、カボチャと里芋を定植する時季に来ています。

一気にやり遂げるには人手が必要。
そして、先週まで雨続きで、この河北潟の粘土質は雨が上がって数日しないと畑に入れないくらいグッチョグチョになります。
ようやく乾いたのが数日前。
やるなら今しかない!
というわけでこの日、丸果若手社員を引き連れて農場に行ってきました。

カボチャは品種「ほっこり133」で、順調に生育すれば7月中旬から下旬の収穫となります。
里芋は品種「きぬ乙女」で11月下旬の収穫です。

もちろんファーム菜四季から親会社・丸果に出荷されます。

野菜の生育が社員の成長とシンクロします。
若手社員は、栽培から収穫、販売までを一気通貫で体験することで、青果卸売会社の社員としての知識・自覚・愛情が育まれることと思います。

なんて、偉そうに言ってますが、一番勉強になっているのは他ならぬ私です。
里芋の種芋はどの向きに土に埋めるか知っていますか?
何センチの深さにするか知っていますか?
私は知っています。フフフ。(今日習いました。)

昨年はたった一人でお盆時期三日間、加工用玉ねぎの選別と出荷作業をしたことがあります。
猛暑で、体もしんどくて、何より孤独で辛かったんです。
今日は、まぁ一日だけだったこともありますが、人数がいたので苦にはなりませんでした。というより、とても楽しくできました。
やっぱり、みんなでやる、というのが人のモチベーションを高めます。
これは大事なことです。

本社はどうしても個人の世界に篭りがちです。
部分的にチーム戦にしていくことが集団のモチベーションアップには必要だということも感じました。

NOTO高農園の野菜セットを買った

NOTO高農園の野菜セットを買った

高農園(たかのうえん)は石川県の能登島で農業をされている高 利充 博子さんご夫妻が営まれている農園です。
石川県では知る人ぞ知る有名農家。
有機栽培、エコ栽培で作られた野菜は全国のレストランとの契約栽培によって直納され、こだわりの強い一流シェフによって料理されます。
「直納」ですので、残念ながらというべきか、我が社を含め卸売市場はとおらない流通となっています。

そうした生産から販売まですべて自身で手がけ、しかも素晴らしく評判が良い担い手のことを“スーパー農家”と呼ぶことがあります。
これから農業をやってみようかな、と新規就農を考える人たちの言わば憧れの存在です。

そんな高さんが今、新型コロナウイルスの問題で苦境に立たされていることを知りました。取引先のレストランが軒並み休業するので、せっかく作った野菜の行き場がなくなったというわけです。

農産物の契約栽培というのは、とても微妙な世界です。
卸売市場でも(我が社でも)契約的な取り引きはたくさんあります。
契約であるならば、作る数量と価格は事前に決められます。
契約ですから、その後何があろうが、買う側は決められた価格で買う義務があるし、売る側は責任もって量を揃えなければならない・・・と思うでしょ?

ところがギッチョン、そうならないことがままあります。
これはねぇ、私は基本的にはおかしいと思っています。
卸売市場は契約栽培では痛い目に会うことがとても多い・・
あっと、この話をしだすと長いので、これはまた別の機会にします。
話を戻します。

高農園さんは、支援者の助力もあって、オンラインショップによる一般への通信販売を始められました。
私は高さんとは何度かお会いしてますが、実は今まで一度もその野菜を食べたことがなかったので、良い機会と購入手続きをしました。
野菜セット5000円を注文しました。

内容は

赤土人参、ケール、安納芋、金時芋、小松菜、ほうれん草、スナックえんどう、金時草、紅くるり、赤かぶ、ピンクレンジャー蕪、黄かぶ、黒大根(ラディノワール)、プレコーチェ、空豆、こごみ、たらの芽、こしあぶら、うどなど(能登山菜)です。
って、この中から出しますってことで、全部が入っているんじゃないみたいですけど、大変恥ずかしながら、入ってた野菜の全ての名前がわかるわけではないので、紙に書いてあったとおりに書きました。
でも、だいたいは入ってましたよ。
これだけ入っていると高くないです。
高農園なのに高くない(笑)。

でも、食べ方がよくわからない(また笑)。
まあ、妻と相談しながら、茹でたり焼いたりサラダにしてみたりして試していますが、どれもとても美味しくいただきました。

農家さんが作った野菜は何でもほぼすべて、卸売市場に委託で出荷することができます。
高農園さんが困ったのならば、うちの市場に出荷することで全量販売することはノープロブレムです。超簡単です。

でも❗️
自分で言うのも何ですが、
普通にフラッと委託で出され、翌朝にせり販売にかけらると、その農園さんが希望する価格帯で売られることはあまりないのが現実でしょう。

人によっては「二束三文で売られた」と思うこともあるでしょう。
これが市場に出荷されない生産者の一番の「市場に出さない」理由です。

別に市場は常に安いわけではないです。
また、値決めができないわけでもありません。
ただ、そういう安定した価格で売買されるようになるには、お互いのコミュニケーションと信頼関係が必要となります。
それにはある程度の時間とトライアンドエラーの蓄積を要します。

市場も、様々なニーズに対応するために、生産者と末端ユーザーとをつなぐ、安定・定量的な取り組みを増やしていきたいのです。

別にスケベ心で言うのではなく、高農園さんのようなこだわり農家さんとも取り組むモデルを作れないかなぁと思っています。

食品業界は働かねばならないが…

新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言がなされ、石川県はさらに「特定警戒都道府県」にも位置付けられています。
10万人あたりの感染者数は東京に次いで多く、特に金沢、野々市の感染者率が全国トップクラスです。
石川県では石川県緊急事態措置を発令し、遊興施設、学校、運動施設、劇場、集会場、博物館や図書館、生活必需品でない商業施設に対し休業要請をしています。
一方、社会生活を維持する上で必要な施設は、適切な感染予防対策を講じた上で休止を要請しないことになっています。
病院、食料品店、コンビニ、スーパー、ホームセンター、ガソリンスタンド、洋服屋、酒屋、本屋、家電用品店、飲食店、喫茶店、宿泊施設、交通機関、工場、銀行、理髪店、社会福祉施設、そして卸売市場。卸売市場は、はっきり明記されています。

というわけで、当然ではありますが、我が会社は休止しません。
青果物の安定供給のため、あらかじめ定められた市場カレンダーのとおりに開場・販売がなされています。幸いにも全国の生産地、地域の小売店も休まず稼働されているため、今までのところ大きな混乱なく商流と物流が回っています。

ただ、社内的には、もしできるならば、時短であるとか、テレワークであるとか工夫して、社員が普段より2割前後少なくなっても問題なく回ればいいなと思います。
それを社員に投げかけました。
各部署でできることを考えてみてね、と。

でも全く反応がありません。
社内を見渡しても、休みがないことに対する不満の声は聞こえてきません。
これはどうしたことでしょう。
①まあ、食品業界に勤めているのだから仕方ないと思っている
②我々こそが社会を支えているのだという矜恃に燃えている
③本当は休みたいけど、口に出せない

たぶん100人もいれば①②③の全部があるでしょう。
で、③の人も確実に何人かは(あるいはかなりの数が)いる、ということを経営者は頭に置かなくてはなりません。

困ったことに(?)部長クラスは①か②であり、まあ働くことが当たり前だと思っています。当たり前なので部下がどう感じているか無頓着な者がけっこう多い。だから、時短や一部休業を打診しても、何か工夫できるかとはないかを考えようともしない。これはちょっと危ないことです。

スーパーマーケットはたくさんのパートタイマーを雇っています。
やはり、パートさんの中で「休ませてほしい」「しばらく辞めたい」と申し出てくる人は最近とても多いそうです。
不特定多数が出入りするスーパーでは感染する可能性が高い、と思うのは無理なからぬところです。
それでも稼働しなくてはならない。
だから人員を確保しなければならない。
スーパーさんの方が、卸売市場よりも人員確保は大変でしょう。
でも、同様に、卸売市場で働く人々の中にも、休みたいと思っている人は少なからずいるのです。
言い出しにくい環境はなんとか払拭したいところです。

そして私は、休みたい人は有給を使って休んでくれればいいと思っています。
が、社員とその件について相談したところ、このご時世で休んでもらうのに、有給を消化させるのは、休む側の心情としては釈然としない、という意見がありました。
つまり、出勤扱いとするか、特別休暇とするか、休業手当を支払うということですね。
ここらへんは難しいところですね。

書評:貴乃花 我が相撲道

貴乃花 我が相撲道
石垣篤志 文藝春秋

貴乃花の半生は劇的なシーン、エピソードのてんこ盛りだ。
ざっと挙げただけでも下記のとおり。
名横綱として数々の偉業もあれば、スキャンダルも出来事も多々ある。

父・貴ノ花の存在
千代の富士との一番
若貴フィーバー
宮沢りえとの婚約と破局
曙との死闘
若乃花との優勝決定戦
洗脳騒動
武蔵丸との伝説の一番
母、兄との絶縁
相撲協会の理事選
日馬富士暴行事件
相撲協会との対立と角界引退 (2018/9)
河野景子との離婚
などなど

純粋、一徹とした求道者としての人物像はまさに気高い。
本来ならば彼を頂点に抱き、周りを優秀な実務畑で固めれば、大相撲はこの先半世紀は安泰ではなかったか。
そう思わせるほどに高潔な精神を宿している人物だ。貴重な人材。
しかし、時代はその流れを取らなかった。
一途すぎる人格は妥協・馴れ合いを拒んだ。
確かに、組織の中の一人と見れば、これほど融通の効かない、付き合いにくいタイプもいないかもしれない。
本書が明らかにしていないこととして、恐らく、様々な人たちとの人間関係の悪化には彼自身の性格的要因があると推察する。
だから、相撲界の宝として人生を全うしてもらうには、トップオブトップに君臨してもらうしか道はなかったのだと思う。

以下、本書の中で、印象に残った部分の引用
(一部に中略等あり)
内容自体は人生訓として極めて有意義なものばかりである。

父・貴ノ花の言葉「相撲界にスーパースターはいらない。土俵に必要なのは、強いチカラビト、サムライである。 相手がいるからこそ勝負ができる、相手を敬う精神を持て」

相撲は興行である一方、日本の伝統文化であり、神事です。

「ライバルとは自分の中にあるもの」というのが、私の不変の考えです。相手に対抗意識を向けるのはおこがましいというか、誰かをライバルに仕立て上げるのではなく、まず自分に打ち勝たないといけない。常に「対自分」が先にあるんです。」

「毎回挑んでは(横綱に)到達できず、やっぱりダメだったな、というのはあるんですけど、落ち込む気持ちはなかったんですよね。絶対にこれを乗り越えなければ、という思いしかありませんでしたから。自分に何が足りていないのかを考え続けました。突き詰めていくと、自分を限界の向こうに追い込まなければ見えてこないものがあると分かってくる。相撲の技術云々ではなく、境地の領域なんです。」

不惜身命(ふしゃくしんみょう)とは本来、仏道のために身も命も惜しまないことを意味する仏教用語だ。
「年を重ねた今は、不惜身命からも引退して“可惜身命(あたらしんみょう)”を心がけるようになったんです。身や命を大切にして生きるという意味です。」

貴乃花は天賦の才に恵まれていたと受け取られがちである。しかし、少なくとも貴乃花本人にとってをの身体能力とは、“持たざる者”を自認し、地道に磨き上げた精進の結晶であった。

貴乃花「今でも相撲というものを愛しているということが私の誇りです」
イチロー(貫いたものは何だったかとの質問に)「野球のことを愛したことだと思います。これは変わることはなかったですね」

「相撲と野球は、どちらも無差別級ですよね。全く違う競技ではありますが、野球もバッターボックスに立ったら個と個の勝負。海を渡ってからイチロー選手は、体格も言葉も、風土も違う異国の地で、野球界最高峰のレベルの選手と戦ってきたわけで、それはどういう自分を作るか、揺るがない自己を追究していく作業だったと思うんです」

本来は臆病で怖がりだったと明かす貴乃花は、凄烈な競争社会を生き抜くために、内面の研鑽を重要視した。その結果、番付を上げるにつれ、近寄り難い孤高のオーラを纏うようになっていった。「親父からは強くなりたかったら孤独を恐れるなと言われていました」

精神を鍛えるというのは、必ずしも相撲の厳しい稽古を指すのではないんです。挨拶をする、ご飯を用意する、そして、いただきますとごちそうさまがある、玄関で靴を揃える、そういう日常の当たり前の所作を通じて「心を練る」ことなんです。日々の心がけが精神の安定を生む。自分の心の定位置を把握し、保っておく感じです。そうすれば真っ直ぐ相撲に打ち込めるし、精神面の重心がしっかりしていたら、たいてのことには動じなくなります。困難にぶち当たった時に慌てるのでは遅いんですよね。

大関と横綱の間にあるのは、力の差ではなく、境地の違いなんです

力士の鍛錬の本質とは、相手を倒すためでも、地位や名声のためでもなくて、自分自身の弱さと向き合い、打ち勝つためにあります。楽な方に流されず、苦しんで苦しんで自分と向きあった時、光が差してきて、進むべき道を示すんです。宗教的な意味ではなくて、これは理屈抜きで本当に死ぬ思いで打ち込まなければ分からないかもしれません。一人の人間であっても、信念を持ってやれば、どれだけ強くなれることか。生きていく上で、仲間を作ることは必要ですが、単に群れるのではなく、まずは強い個を確立する。その先にできた仲間が本当の仲間だと、私は思います。

私を支えた親父の言葉の一つに「頑張ると口にしてはいけない」というものがあります。頑張っていると自分で語る者は、まだ本当の意味で頑張っていない。頑張っている人間ほど自分からそれを口にしないし、する余裕もない。本当に苦しい時は涙も出ない。だから泣き言を言わず、周囲に評価を求めず、ただ寡黙にやるべきことをやればいいんだと。

メガネスーパー・星崎社長の経営哲学

インターネットに載っていたインタビュー記事がとても参考になったのでブログにて記録します(完全コピペはいかんでしょうから、適宜表現は変えました)。

メガネスーパー代表取締役社長 星﨑尚彦氏
(インタビュアー:中竹竜二氏)

外から請われて社長になった時、会社には負け癖がついていた。社員は危機感がないくせに給料が安い、ボーナスがでないと嘆いていた。前社長の周囲はイエスマンばかりで、社員は何をしても評価されない、上司に意見することもないと諦めの雰囲気。社長にも正確な情報が入っていなかった。

業績が悪い会社はやるべきことをやっていないケースが多い。逆に言えばやるべきことをやれば復活する可能性が高い。一番大事なのは社員が自分で考えて実行することである。成功するかどうかは別に、高速でトライアンドエラーを繰り返す。それが当たり前になる風土を会社につくることが重要だ。「私が責任をとるから、やりたいようにどんどん変えろ」と言った。自身がやりたいか、やりたくないかが大事。そう毎日言い続けた。そのうちに成功例がでてきた。次に、成功例を共有するため毎週定期的に全国の幹部らを集めた。

私自身、現場に入った。いまも社員1600人のうち800人は毎週会っている。会議のあとの飲み会もできる限り個別で話す機会を増やしている。おそらく自分以上に社員の顔を知っている者はいない。

ダメな会社は
(1)会議で何も決めない
(2)誰も責任をとろうとしない
(3)決めたことを実行しない
(4)部署を超えた連携がない
(5)リーダーが現場を知らず適材適所に配置していない
 の5点がある。逆にいえば、これらのことをきちんとやれば組織は機能する。

青果物の週間情報 【2020-W18】

■週の概況 第18週 4/27(月)~ 5/2(土)

【全体】
 前週の冷え込み・雨天日照不足から関東産の葉茎菜類を中心に入荷が伸びず、全体傾向としては数量減で堅調な市況でした。この週は天気も回復し増量が見込まれることから、価格をやや下げ、落ち着く品目が多くなる見込みです。
 コロナウイルスの影響で、スーパーマーケットでは客足が集中することを防ぐため、チラシ販促・特売・ポイント還元の曜日調整などを控える傾向にあります。小売店はその日その日の値ごろ商品を店頭で案内するオーソドックスなスタイルに立ち返ることにもなります。この時季定番のテーマであるバーベキュー関連の食材も今年は場違いの雰囲気であり、例年とはまったく違ったGW商戦になることを念頭におく必要があります。

【野菜】
 葉茎洋菜類は高値基調の品目が多いようです。白菜は箱5000円以上の高騰から大きく反落しましたがそれなりの高値を維持。ネギも関東産が薄く堅調です。レタスは一般売りの需要高まり上げ予想。キャベツは産地不安定で乱高下を繰り返しています。高保合だったほうれん草や小松菜は平年並みに落ち着く見込みです。
 果菜類は弱含みの品目が多いようです。価格下げの傾向が顕著なのは胡瓜、トマトで、出荷増量が顕著で安値感あり。太胡瓜はコロナの影響で業務需要が激減しており例年より大きく安値です。関東産の増量が遅いことから、ナスやピーマンの価格は保たれそう。かぼちゃはNZからメキシコへの切り替えで単価上昇の見通しです。
 根菜類では高騰した大根は数量回復し落ち着く見込み。かぶら、人参も増量で下げ予想。筍は石川県産がこの週までそれなりの入荷量を見込み、品質も上々。蓮根・さつまいもは残量乏しく強含みです。土物類では玉葱が依然として安値で残量多し。逆にジャガイモは高値疲れ感ありの中、離島物終了し長崎産中心となり、中期的にはジリ安を予想します。

【果実】
 国内果実では、熊本のデコポン、高知の小夏など継続的に入荷はあるものの柑橘類全体では徐々にフェードアウトの方向。多種のメロン類が大きく増量を見せそうで、アンデス、クインシー、パパイヤ等種類も豊富となります。コロナウイルスの影響でギフトが振るわず、高級商材が例年より安値です。クラウンメロンの上級品は平年比4割安。宮崎マンゴー、山形サクランボも例年より1~2割安値です。
 輸入フルーツでは依然としてバナナ・パインの数量減と原価高が顕著。シトラスは今のところ順調な入荷です。キウイはゴールドに加えグリーンも入荷がスタートしました。ハネデューが潤沢で値ごろです。アメリカンチェリーの初荷はこの週末、もしくはその翌週からとなります。