卸売市場で出る野菜果物のゴミについて

卸売市場は生鮮食品を集めてきて売って出す場所です。
つまり右から左へ物が動いて終わりの世界です。
でも全部が全部スッキリいくわけではありません。
着いた時点で腐っていたり、どうしても売れ残ってそのうち悪くなるものも出てきます。
そういうのは市場で廃棄されます。
特に今年のように暑い夏の年は廃棄量が多くなります。

卸売市場ですからその規模も半端ない。
年間でン百トンにも上ります。
廃棄費用もン百万になります。
本来は売って儲けになるはずなのに、0円でしかも捨てるのにお金がかかるのです。
大きな大きな負担ということがおわかりでしょう。

問題はお金だけではありません。
食品ロスが大量に出るのは日本全体の問題です。
どうしたら減らせるのか。
また出てしまったゴミはどう処理すれば環境に負荷をかけずに済むのか。
今年よく叫ばれるようになったSDGsにもつながる話です。

今、金沢市場では業者が連携し合って、青果物ゴミを処理する機械を導入し、ゴミ処理費用の削減を目指す検討が進められています。

A・消滅型機械…量が1/10ぐらいになるが電気代が高くつく。
B・堆肥型機械…堆肥化する。循環型事業となる。ただし青果物のみの堆肥では窒素リン酸カリウムが満たせず、また機械に入れてよい野菜も限定されるという問題点あり。

どちらがよいかは今後の検討次第ですが、これで現在よりは1~2割は費用が削減されると見込まれています。

最後に、もっとわかりやすい感情論を。
何といっても、売るはずの青果物が悪くなって捨てられてしまう光景は、見ていて本当に心が痛みます。
もったいないなんて言葉じゃすまないほどです。

しかし、産地~市場~小売店という一連の物流の中で、鮮度保持が保たれないケースが多々あるのも残念ながら実態です。
だからこそ卸売市場は保冷機能の充実が求められるのです。
「コールドチェーン=保冷の連鎖」というやつですね。
これはこれで電気代が莫大にかかる話になりますが、大切な生鮮食料品を最後まできちんと届けるためには絶対に欠かせない一番重要な機能になります。

金沢市中央卸売市場の再整備はここを絶対にはずしてはいけないのです。

青果物の週間情報 【2020-W12】

■週の概況 第12週 3/16~3/21

【全体】
 新型コロナウイルスの影響で、このままではリーマンショックを凌ぐ不況が世界規模で起こるのではと危惧されています。しかし生鮮食品は昔から不況に強いジャンルと言われます。悲観ばかりせず着実な歩みを踏んでいきたいものです。
 今、大手GMS、料亭、ホテルといった業態は極めて厳しい環境に立たされています。一方で小規模ストア、小規模飲食店は健闘しています。品目では高級食材、珍品、妻物類は逆風。逆に定番野菜はまだ好調な荷動きを見せています。気候的には来週から気温も高まり、物量がグンと増えてくるでしょう。志向としては鍋物より煮物、煮物より炒め物の食材に消費者の目が移っていきます。入荷は概ね順調、相場は全体的には保合でしょう。

【野菜】
 キャベツ、ネギは出荷量が回復し安値感あり。白菜も九州産が順調で弱含みです。ほうれん草・小松菜は概ね順調で保合傾向。ブロッコリー、レタスは堅調です。アスパラは国内産がメインとなって売り出ししたい時期です。鍋需要の減少により、きのこ類は全体に動きは鈍くなっています。
 果菜類はここまでまずまず堅調な相場で来ましたが、この週は気温も高まり流通量が一段増える見通しで、全体的にやや下げ予想。そうなれば茄子・ピーマンなど売りやすい売価帯になるので量販が可能になるます。
 根菜類・土物では、免疫力アップで一躍脚光を浴びた長芋が依然として絶好調の引き合いであり、この時期としては高値を維持。帯広川西産はおがくずを使わない新パッケージでの出荷開始で注目を集めます。大根は安値ながらも動きは向上。筍は料亭等で使われる小サイズが宴会自粛のあおりを受け絶不調ですが、普段使いに適した等階級は好調で、この週から各産地本格化し値もこなれてくる見込みです。一時、過剰出荷にあった甘藷はおさまって入荷減少し、相場はやや持ち直すでしょう。生姜は定番の囲生姜に加え、新生姜も出始めました。

【果実】
 国内果実ではイチゴが好調な動きで、需要に供給がややおいついていない状況。りんごは産地残量少なく高値基調です。メロンは増量傾向で単価も下がり、安定入荷を見込みます。西瓜や雑メロンも徐々に出てきます。柑橘では清見などこれから出るものもあるとはいえ、伊予柑・八朔はほぼ末期を迎え、、全体としては縮小傾向になります。
 輸入フルーツではバナナがマスコミ報道もあって引き合い好調。グレープフルーツはフロリダン産の大玉が好評です。オレンジも例年より若干大粒傾向で順調です。アボカドは今は大丈夫ながら、今後コロナウイルスの影響で輸送船が運休する事態となり、中長期的に品薄・強気配に動く可能性があります。

会社運営の肝心要は陣容の充実なり

年度替わりで4月から会社の人事が若干変わります。
異動や昇格する者が出ます。
4月1日になって一気に発表する企業もあるかもしれませんが、我が社ではまず3月中に「内示」をします。
「内示」とは当事者および所属部長にだけ口頭で先に知らせることです。
その後(普通は翌日)に社内で発表し、4月になるまでの期間で引き継ぎ作業をします。

昨日、該当者一人ずつを呼んで「内示」をしました。
昇格者への内示はハッピーでいいのですが、異動はなかなか微妙です。
ただの社内の部署異動とはいえ、本人にとっては住み慣れた地から見知らぬ地に移り住めと言われたようなものです。
「希望」より先に「不安」が来るのは当然でしょう。
また(ただのイメージの問題ですが)社内には華やかに見える部署と地味に見える部署があって、地味な部への異動となると「今の部署にお前は要らない」と言われたような気になるそうです。
モチベーションが低下してしまっては異動してもらう意味がありません。

なので、異動する者への通達にはかなり言葉に気を使いました。
特に今回は人員が極めてキツキツな中、会社をなんとか回していくための余裕のない人事異動であり、動く人たちの今後の働きぶりはとても重要です。
もっと人材に余裕があれば、それこそ社員の将来を見据え、広く部署間を横断する異動をさせてあげられるのに。
やはり、会社運営の肝心要は陣容の充実なり、です。
排除の理論は絶対にダメです。

JA帯広川西の新パッケージ「長芋」に注目

丸果の長芋販売担当、吉村君

今、世間はコロナウイルスに打ち勝つ食材として「長芋」に熱い視線を送っています。
あのネバネバが人間の免疫力をアップしてくれるというのです。

そしてこの「十勝川西長いも」は、まったく別の意味でも注目です。
長芋は普通、中におが屑をいっぱいに入れた箱に詰めて運びます。それは長芋が空気に触れて黒く変色したり、運ぶ途中に折れたりするのを防ぐためです。
しかし大量のおが屑がゴミになりコストもかかる問題がありました。

帯広川西産は、特殊技術によって、おが屑なしのフィルム包装になりました。
なんでも、フィルムの継ぎ目に特別な加工が施されており、そこから悪いガス…長芋が時間とともに放出する、自身の鮮度を劣化させるガス…を排出する仕組みだそうです。
この技術は特許出願中とのこと。

JA帯広川西は、高品質な青果物を作り上げるのに本当に熱心な農協です。
この長芋は、特殊フィルム包装の他にも「地域団体商標」「HACCP認証」「地理的表示(GI)保護制度」「SQF認証」といった付加価値認証を取りまくっています。
有塚組合長という方のポリシーなのでしょう。
「うちの長芋を宇宙食にする」という壮大な夢に向かって実際に商品開発を手がけられていますし、東京オリンピックの選手食への採用に向けても大変積極的です。

野菜の生産に夢や希望を乗ってていくのはとても素晴らしい発想です。
目標・夢がわかりやすいのがいい。
これは組織を活性化させるのにもとても有効なはずです。
卸売会社も何かをぶち上げたいですね。

能登地方の地震は13年前の余震とな⁉︎

今朝未明(13日午前2時18分)、能登地方を震源とする地震がありました。
輪島市、穴水町は震度5、金沢市は震度3、マグニチュードは5.5でした。
この時私はベッドで寝ていましたが、妻の携帯の緊急地震速報で目が覚め、その数秒後にガタガタッと来ました。
(緊急速報、ありがたいですね。たった数秒前の警報ですが心の準備ができました。)

その後いろいろ聞き回りましたが、幸いにして大きな被害は出ていません。
能登の我が社の直営農場も、ビニールハウスの損壊などまったくなく無事でした。

ビックリしたのはこの地震が13年前の「能登半島地震」の余震と思われる、という専門家の分析記事を読んだ時です。
2007年3月25日、マグニチュード6.9の揺れが襲いました。
今回の地震は輪島沖の海底活断層が動いたもので、それは2007年の震源地のすぐ横。
言わば13年前の滑り残しが滑った結果だというのです。
余震がこれほど長期にわたるものとは。
新聞には「13年は地球規模から考えるとほんの一瞬である」とありました。
ということは、この後何年も大きな余震の可能性は残るのですね。

能登地震よりはるかに規模が大きく、発生後まだ9年の東日本大震災は、もっと大きなリスクを抱えていることになります。
大きいのが以前あったからしばらくは大丈夫だろ、というのはまったくでたらめな考え方ですね。
防災グッズ、改めて備えておかなければいけないと思いました。

国際調理専門学校のGOLDEN EGGに期待だ

学校法人国際ビジネス学院の大聖寺谷理事長が来社されました。
来年からスタートする金沢専門職大学の学生レストラン「ゴールデンエッグ」に食材を提供する件及び、学生たちに食の授業をする件でのご来社です。
当社にその食材提供&授業の一端を担ってほしいとおっしゃるのです。
来年、石川県白山市横江町に完成する新校舎に「ゴールデンエッグ」という学生が営む実践教育型レストランをオープンさせる事業です。
調理師、料理人をめざす学生が、事業で学んだ知識を応用して実践力を磨く場としてこのレストランを運営するそうです。
学生がメニューを考案し、、一般の人も利用できるレストランでランチを数種類提供するとのこと。
そのバックには超一流の料理人、道場六三郎、坂井宏行、落合務、陳健一、ドミニクブシェなどが指導者としてサポートするという壮大なものです。
こんなことができるのか?という疑問に対し、この日に同行された(株)イケウチの池内社長は教えてくれました。
「大聖寺谷理事長は、今まで“やる”と言ったことはすべて実現してきた人として有名です。だから今回も必ずやり遂げられるでしょう」。
私に事業の趣旨を説明される大聖寺谷理事長は、大変物腰穏やかなたたずまいながら、お話の内容は凛としてぶれがなく、72歳というご高齢にもかかわらず大いなる風格を感じました。
この事業は大いに期待します。
そして、我が社にお声をかけていただいたことに感謝します。
なんとか、貢献できますようにがんばりたいです。

キャンセルの嵐は人類の叡智か思考停止か

世界で猛威を奮う新型コロナウイルスに対し、WHOは3月11日、「パンデミック(世界的な大流行)とみなせる」と表明しました。
日本ではもう何もかもが自粛・キャンセルの嵐です。
コンサート、イベント、スポーツ大会、パーティー…、
我が社でも産地が開く会議は軒並み中止になり、社員の出張は9割以上キャンセルとなりました。
おかげで毎月かなりの額に上る出張経費が今月はほとんどかからないという、喜ぶべきか悲しむべきかわからない事態になっています。

しかししかし…、この自粛ムードはいつまで続くのでしょうか。
1ヶ月程度ならリカバーできるかもしれません。
しかし、3ヶ月、半年と続くようなら、本当に経済がヤバい。
新幹線はガラガラ、料亭もガラガラ、ホテルガラガラ、街並みガラガラ。
人もお金もぜんっぜん動いていません。
これだけ社会が停まっている姿を私は生まれてこのかた見たことがありません。
このままだと社会は持たない。
いくら政府が運転資金等の補助政策を打ったところで追いつかないです。

新型コロナはエボラ出血熱やインフルエンザと比べ軽症で治る人が圧倒的に多い、言わば“恐ろしくない”病気です。
感染しても8割が軽症もしくは無症状で治癒します。
なのに世界経済がヤバい。恐ろしくないものによって恐ろしいことになる、それが恐ろしいです。
残り2割は重症化もしく死に至るので、もちろん無策というわけにはいきません。しかし、8割が大したことなく通り過ぎてしまうものに対し、自らの活動停止により経済全体を沈没させてしまう…これは自滅のストーリー以外何ものでもありません。

本当に「活動を停めてしまうこと」しか道はないのでしょうか。
今は止むを得ず自粛の道を選ぶとしても、時限立法のように期限を決め、確たる終息が見られずとも経済活動を再開する決断が必要ではないでしょうか。

キャンセルの嵐は人類の叡智か思考停止か。
世界が今、どうしていいかわからず右往左往しています。

新型コロナでマスクが娑婆から消えました

娑婆からマスクが消えました。
アルコールも消えました。
日本企業が中国人に下請させて大量に作らせていますが、できた分が中国で止められていて日本に入ってこないという噂も聞こえてきます。
なんちゅーこっちゃ。

マスクはこれまで使い捨てが当たり前でしたが、これほど手に入りにくいのであれば、何度も使うしかありません。
私は妻に、布か何かで手作りし、何度も洗って使い回せないか相談しました。
すると妻は「手作りじゃないけどもうやってるよ。そこのバケツに消毒液が入ってるから今日使ったやつを漬けといて」ときました。
さすが我が奥さん、如才ない。

ちなみにマスクは紙で出来てるのかと思ってたら、不織布(ふしょくふ)という化学繊維の布で出来てるそうです。
だから消毒液につけても破れたりはせず、乾かせば普通に使えます。
コロナウイルスのおかげで雑学も増えました。

そもそも、マスクは予防効果においてはそれほど頼りになりません。
ウイルスはマスクの通気穴よりはるかにはるかに小さい粒だそうで、ウイルスがその気になれば(どの気だ?)スカスカに通って来ちゃうんだそうです。
マスクはあくまでも、咳・クシャミをする人が外に巻き散らばさないのが本来の役目。
予防は何と言っても手洗いとアルコール消毒だそうです。
だから先頃、当市場でもマスク着用を義務化しましたけれど、これはある意味パフォーマンスなんですね。
うちの市場はちゃんと一丸となって感染防止に努めてますよ〜!っていう。

パフォーマンスというと嘘の世界みたいでイメージ悪いですが、そうじゃなく、防災意識を持って、できることは何でも取り組むんだという意思の現れですので、私はこの処置は大いに評価しています。

それにしても、一日中マスクをつけるのは気が滅入っていけません。
早く終息することを願うばかりです。

青果物の週間情報 【2020-W11】

■週の概況 第11週 3/9~3/14

【全体】
 新型コロナウイルスはいつ収束するのか先がまったく見えませんが、今が国を挙げての感染防止策の真っ只中であり、ここ1~2週間は大きな山場と思われます。市井では活動自粛が相次ぎ、外食産業・大手GMSは深刻な痛手を被る一方、地域密着の中小小売店は比較的健闘しており、業態によって明暗が大きく分かれています。家庭内で食事をとる傾向が強くなっているため食品全体では冷凍食品・乾物など保存が効くものは好調であり、生鮮青果物の動きも悪くはありません。ただし高級食材や妻物類など、家庭に縁遠い食材は苦戦です。
 入荷に関しては冬系から春系への品目切替、北部から南部への産地切替が進んでおり、品目によっては出荷の谷間が出ています。傾向としては前進出荷だった産地が早めの切り上がりを見せ、後続産地も前倒しで出てきている展開。しかし大きく品薄・欠品になる品目は出ておらず、まずまず順調潤沢な状況が保たれています。

【野菜】
 前週、葉茎菜類は白菜やほうれん草など端境期にあたった品目が多く、全体的に上げ相場となりました。この週の相場はやや反落し、平年並みのレベルに落ち着くと予想します。やや高値感あったほうれん草の動きはにぶり、安値だった小松菜の荷動きが良くなる可能性があります。ブロッコリーは引き合いもそこそこ好調な中、出荷の谷間にあって堅調な市況です。アスパラは品質重視の国産・廉価の外国産と使い分けできます。きのこ類は低調であり、安値感がしばらく続いています。
 果菜類はトマトは小強い展開になりそうですが、全体には保合もしくはやや弱含みでしょう。ただしこの週は気温高で雨続きの予報であり、今後の出方は不透明です。
 根菜・土物類は状況が変わってきました。人参は端境期にあたり相場上昇。特に中小サイズが品薄高値の中、この週は徳島県産が始まるのでまた状況が変化しそう。新型コロナウイルスの影響で家庭内消費が増え、長期低迷中だった道産馬鈴薯の動きが改善しています。玉葱も同様。長芋はTV放映で免疫力アップが報道されて以来、引き合い好調です。タケノコは暖冬の影響でこの週より早くも和歌山県産が登場し各県産が揃います。ただしこの時季は家庭ではなく料亭等がメインユーザーなので、感染症による外食敬遠から動きは鈍い状態です。

【果実】
 イチゴは寒暖差が大きいために数量の不安定感があるもののおおむね順調な入荷です。今季のりんごは棚持ちがやや悪いため、産地が早めに出しきる傾向があり、切り上がりは例年より早くなる見込みです。柑橘類はみかんがほぼ終了。いよかん・せとかが切り上がり、代わりに紅甘夏が始まりサンフルーツもこの週から登場予定と品目の変化があります。新しい顔としては西瓜、各種メロンなど施設栽培物があります。
 輸入フルーツに大きな変化はありません。バナナは産地の不作傾向から長期的に見ればじりじりと上げの方向性。柑橘類ではマンダリン系が増えてきてミネオラ・タンゴに加えオアの入荷も始まりました。

大相撲無観客開催、つまらんけどむべなるかな

大阪で大相撲三月場所が始まりました。
新型コロナウイルスのため無観客での開催です。

中止でなく無観客としたのは、プロ競技なので仕方ないでしょう。
入場券収入は望めませんが、莫大な放送権料まで手放しては組織が持ちません。

もちろん、八角理事長が冒頭の挨拶で述べた「大相撲を応援してくださる多くのファンの皆様に、ご迷惑をかけることは決してできない」「大相撲のもつ力が、日本はもちろん世界中の方々に勇気や感動を与え、世の中に平安を呼び戻す」という思いも綺麗ごとでなく心からの言葉でしょう。

しかし、画面から伝わる無観客大相撲はやはり違和感ありありでした。
身も蓋もない言い方をすれば、つまんない。
これは、大相撲がスポーツというより興行であるからだと思います。

興行は観る客がいなければあり得ない世界です。
炎鵬が「闘争心が出なかった。何のために戦っているのか、見つけられなかった」
とコメントしたのは、
力士の心情の本質をついています。
この観点からすれば、無観客開催などやってはならないことになります。

ただ、大相撲は興行であると同時に神事でもあります。
力士の四股は邪悪なものを土の下に封じ込む力があるとされ、
横綱の土俵入りは五穀豊穣と世の中の平安を祈願する意味があります。
であるならば、世の中が危機に瀕するこの事態に、力士が相撲を取らないこともまた許されないでしょう。

そう考えると無観客開催という着地もむべなるかな、ですね。
他のプロスポーツはどうするでしょうか。
やはり放映権料が大きいですから、中止よりは延期、中止よりは無観客を選ぶ競技の方が多いでしょう。

アマの世界はお金が絡まないぶん中止を選択するケースが増えそうです。
でも、アマこそ無観客でやればいいと思いますけど。
選抜高校野球は可哀想でした。
無観客で開催できなかったでしょうか。
TV中継も、大相撲よりは違和感なく観れたかもしれません。