ラグビーのワールドカップ日本大会の決勝「イングランド対南アフリカ」が2日に行われ、南アフリカが32-12でイングランドを下し、3大会ぶり3度目の優勝を果たしました。
戦前の予想では圧倒的にイングランドが有利でした。それはそう、南アフリカを予選1回戦で破ったニュージーランドを準決勝で一方的に叩いたのがイングランドでしたから。
にわかファンの私は、予選リーグの時からイングランド一押しでした。
しかしわからんもので、決勝は南アフリカが圧倒しました。
ラグビーはトップレベルになると前半は結構拮抗し、後半になってバババッって差がつくんですね。それまでの我慢の緊張が切れてしまうと一気に雪崩が起きるみたいな感じです。
にわかファンの浅はかな分析としては、イングランドは準決勝の手ごたえがあまりにも良すぎ、もう優勝したような浮かれ状態になってしまったのではないでしょうか。これは、今夏の高校野球の星稜対履正社の星稜ナインと同じです。あまりにも準決勝のイングランドは強すぎました。
一方の南アフリカは、準決勝のウエールズ戦を激戦の末からくも勝ち抜けていますし、決勝の相手はNZに何もさせずに圧勝したイングランドです。気持ちがゆるむはずがありません。
南アフリカは、終始先手を取り続ける見事な優勝でした。
デクラークとコルビの小兵二人は素晴らしいタレントでした。
9月20日に開幕してから1カ月と2週間、本当に日本中がラグビーで盛り上がりました。
決してラグビー強豪国とは言えない日本での開催に、日本人自らが「なんでここでやんの?」「盛り上がる?成功する?」と冷ややかに視線を送っていましたが、始まるやいなや私のようなにわかファンが一気にヒートアップしました。
日本人特有の心配りが各国の選手・スタッフの心にも届き、「この大会では素晴らしいもてなしを受けた」という美談も溢れました。
確かに、敵チームにも惜しみなく拍手を送ったり各国国歌を学んでスタジアムで一緒に斉唱したりという光景は見ていてすがすがしいものでした。
各国の選手たちも日本文化を理解したのか(?)試合後におじぎをするチームが増えました。
闘いが終わればノーサイドというラグビーが持つ紳士性もクローズアップされました。
試合後は敵味方が関係なく抱擁が交わされ、ビクトリーロードを作って相手チームを送り出すというシーンもサッカーや野球には見られないもので新鮮でした。
選手がレフェリーに対しほとんど文句を言わないのもプロスポーツとしては驚きでした。大男がぶつかりあう極めてハードなスポーツ、しかし高貴なスポーツマンシップを同時に内包している競技・・・ラグビーを知らない国にこのスポーツを根付かせる上で最初から最後まで本当にいいイメージを植え付けられたと思います。
大会は間違いなく大成功でした。
私もラグビーというスポーツの面白さに触れることができました。
しかし実際にはそれほどきれいごとばかりの世界ではなかったことでしょう。
最後の最後、敗れたイングランドの選手数名は銀メダルを首にかけらえることを拒否しました。エディージョーンズもすぐにはずしていましたね。アイルランドサポーターはオールブラックスの「ハカ」を自分たちの歌声でかき消してしまい「著しく敬意を欠く行為」と非難されました。
自身の人生をかけ、国家の威信をかけての闘いであり、スポーツよりも戦争に近い心境のプレイヤーやファンも多かったことでしょう。
南アフリカ初の黒人キャプテンのシヤ・コリシは優勝インタビューで次のように言いました。
「私の国にはたくさんの問題がある。しかし違ったバックグラウンド、違った人種が集まっても、一つの目的を持って団結すれば達成できることをこのチームが示せた。コーチ(ラシー・エラスマス)は、自分たちのためにプレーするんじゃない。国のために闘うんだと言った。ホームレスの人たちも応援してくれた。一つになれば何だって成し遂げられる」。そして最後に「アリガトウゴザイマス」と日本語で締めくくりました。
素直に感動的なコメントでした。
さて、このにわかブームはこの後、何もなかったかのように消え失せるのでしょうか、それともなにがしか、今までの日本にはなかったスポーツ文化を礎となるのでしょうか。
さて、このにわかブームはこの後、何もなかったかのように消え失せるのでしょうか、それともなにがしか、今までの日本にはなかったスポーツ文化を礎となるのでしょうか。
マスコミの働きが大事です。
文化を醸成する役目を果たせしてほしいです。
ともあれ、楽しい素晴らしい1カ月が終わりました。
にわかラグビーファン日記の筆を置きます。
(今度筆を取るときは“にわか”が取れて“ラグビーファン日記”かも)