映画「シャン・チー」:レビュー

凡庸なルックスの主人公

 マーベル映画『シャン・チー/テン・リングスの伝説』を4DXで観た。
 まあ、なんという凡庸なマスクの主人公だろう。主人公の父親が世界的スターのトニー・レオン、母親役が典型的な美人顔ファラ・チャンで、この両親からこんな凡庸なあんちゃんが生まれるのは解せない。が、主演俳優シム・リウは凡庸ゆえにじわじわと味が出てくるヒーロー像を作った。

個人的には大はまりのB級スペクタクル映画

 マーベル映画の集大成「エンドゲーム」の後、何本か映画やネット配信があったものの、完全に〝新しいヒーロー〟の登場はこの「シャン・チー」が初だ。しかも東洋人。個人的には大はまりといってよいほど面白かった。
 面白いと言ってもA級大作映画という感じではない。製作費はすごいだろうが、雰囲気的には「超B級」の匂いがプンプンで、そこがまたオツなのであった。なんせアクションのテーストがクンフーだ。クンフー映画が持つ独特のうさん臭さ、チープさを醸しつつ、マーベル流の大デコレーションが映画を覆う。トニーレオンが1000年も生きた設定などなんのリアリティーも感じられないが、そんな突っ込みどころはどうでもよろしい。個人的にはクライマックスで白竜が登場したのには鳥肌が立ってしまった。「千と千尋の神隠し」の「ハク」のような白竜。東洋的で神秘的。対するラスボス、暗黒のドラゴンは西洋のモンスターで好対照だ。
 白竜とテン・リングスの二つをゲットしたことで、シャン・チーはただのクンフー兄ちゃんからソーやマーベルに比肩するアベンジャーズの一員に昇格した。キャラ的にも十分に三枚目の才を持っている。やはりマーベルヒーローは、ごく一部を除きお笑いができないとダメらしい。

次作は「エターナルズ」

 次作のマーベル映画は11月に公開予定の「エターナルズ」だ。予告編を観るに、コスチュームが極めてB級っぽい。B級っぽいのをうまく仕立てるのがマーベルなので、大いに期待したい。