8月12日以来の2回目巡回
農業大学とは何か、園地研修とは何かについては8月12日のブログで書いた。その時が1回目の園地研修であり、今日が2回目である。今回はオクラの生産者2名、有機栽培ほうれん草の生産者1名の園地を訪問した。
オクラを作って8年
オクラをメインに作っておられる卒業生お二人は、栽培面でも助け合い、出荷面でも二人分を一緒に車に積んで市場出荷している。同期の卒業生だから構築できた協力関係である。組合等の組織が介在しない個人農家でも、できるだけこうした仲間づくりが大切だ。彼らはオクラを手掛けて早や8年。最初のきっかけは、私の会社の大先輩にあたる方が勧めたことだそうだ。以来、お二人は市場出荷をメインにやってこられた。うちの会社にとってはとてもありがたく、かつ大切にしなければならない生産者である。
オクラ作りの悩み
なぜオクラを作るようになったか。それは石川県内にこれといったオクラ産地がなかったからだ。鮮度の良さがとりわけ求められる野菜ゆえ、地物が増えればそれだけで差別化できる。その発想は今でも正しいと思う。しかしうまい話ばかりではない。オクラはいいゾという情報が出回り、われもわれもと作り手が増え、一気にオーバーフローになって価格が暴落した。そうなるとオクラ作りは生計が成り立たなくなる。今までなんとか辛抱してきたが、今後またそういう事態が起きるのではとお二人は心配している。
やはり計画性と販路の確保が大事
経営の不安定さを克服するには事前の計画性と販路の確保が重要だ。今や市場流通でもせり比率は10%を切る。残り9割は共撰個撰に限らず相対販売である。相対では仲卸から先の販路の確保が求められる。販路を確保するには、生産段階から売り先を見つけておくことだ。そこで数量と価格のすり合わせができるならば、生産者の収益が安定する。この商談が成立するかどうかは、ひとえに生産者の計画性にかかっている。そして、生産者とユーザーの間に入ってその話をまとめるプロが我々市場関係者なのだ。
赤オクラ普及を目指す
今回の生産者は、よくある緑のオクラの他に、赤オクラの栽培を拡大したい意向があった。赤オクラはなんと生で食べる野菜だそうだ。茹でるとどす黒い色に変色してしまい、赤オクラを作った甲斐がなくなってしまうのだそうだ。
赤オクラは緑オクラに比べ生産に手間がかかる。だが今はまだ認知度が低いので、ほとんど値段に差をつけられない。赤については、こちらももっとプロモーションを仕掛けて、市民への認知度を高めなければならない。
このように、農業大学卒業生の園地に赴くのは、流通を考える上でも非常に勉強になる。やはり現場には足を運ばなければならない。