果実の旬がずれている?

晩柑類が軒並み前進化

 まだ定かではないが、農産物、特に果実で旬のサイクルがずれてきているような気がする。たとえば晩柑類の比較的新しい品種である「せとか」は、2月から3月にかけてが旬だが、今年は1月から出回り例年より早く終わる気配だ。また「麗紅(れいこう。JAからつのブランド名『はまさき』)」は、本来3月が旬のはずだが2月早々に姿を見せ始めた。このままでは3月にあるかどうか心配である。

あるはずのものがない恐怖

 心配、と言うのは〝企画〟が入っているからである。特にカタログで注文を受けて宅配する通販タイプは、1年以上前から準備が始まる。○月の品目は●●、想定数は△個、価格は□円といった具合だ。 こうした企画は、仲卸業者、小売業者、あるいはうちの子会社がそれぞれ手掛けている。ただでさえ青果物は数と価格の調整が難しいのに、旬がずれてしまうと大パニックである。相場を読み間違えて大損コイたという話は枚挙にいとまがないが、大赤字より悪なのが欠品だ。欠品は取引先との信頼が崩れるので損得以上に重大とされ、担当者が最も注意を払う。旬がずれると欠品が現実的になる。

温暖化の影響か?

 イレギュラーな事象は、1回目はあらら!!と慌てて終わるが、2回目はまたか!?と驚くことになり、3回目はもしや??と疑いはじめ。4回目はやはり!!と腹をくくるようになる。はじめは想定外だったものがやがて当たり前になる。果実の出かたの前倒し傾向は今年だけの現象だろうか。昨年も、いやもしかしたら一昨年も同じことを言っていなかったか。もし地球温暖化が原因ならば、イレギュラーではなく常態化した現象と受け止めるべきではないか。

自然のずれを織り込んだ企画提案

 旬がずれれば人々の季節感がずれる。〝四季折々〟の提案がとても難しくなる。だがそれが事実ならば相応に対処せざるを得ない。旬が少しずつ前倒しになっていくことを想定した上での企画提案。青果物ベンダーとしてまた新たな考察要件が増えた感じだ。