浮世絵の世界に浸ってみた

江戸東京博物館で開催の「大浮世絵展」に行きました。

喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳の5人の浮世絵師の代表作を展示したものです。

喜多川歌麿(1753頃〜1806)
寛政期の代表的な美人画絵師。
遊郭の当時の人気女郎を描いた作品群はなんとも艶があります。
たくさんの美人画が並びますが、ぱっと見どれも同じ顔のようでよくよく見ると結構違います。
つまり個性があります。
歌麿は、当代美人の競演、コンクールを現出したのではないでしょうか。

東洲斎写楽(生没年不詳)
1794年に突如現れ、役者絵を発表し一大センセーションを巻き起こした謎多い絵師。
活動期間が10ヶ月程度だったらしく、それでいて何百年にも渡り作品と名声を残すのですから、芸術の力というのはすごいものです。
役者の特徴を大きくデフォルメして描く技法はまさに至高の才能を感じさせます。

葛飾北斎(1760〜1849)
富嶽三十六景があまりにも有名な風景画の絵師。
その中の「神奈川沖白波裏」は日本で一番有名な絵なんだそうです。
「富嶽〜」も凄いですが、北斎が残したスケッチ画集「北斎漫画」もすごいですね。
彼こそは絵と共にあり、人生=絵 という生を全うした人物ではなかったかと思います。

歌川広重(1797〜1858)
「東海道五拾三次」があまりに有名な風景画の巨人。
花鳥画も多数残し、四季折々の情感溢れる日本の姿を描きました。
それでいて、雪が降らないはずの地の雪に埋もれた風景を描くといった旺盛な創作意欲を感じます。

歌川国芳(1797〜1861)
娯楽性溢れる空想の世界を描いた戯画の絵師。
もうエンターティナーの領域です。
日本の妖怪、魑魅魍魎は彼によってそのスタイルが確立され、水木しげるらに受け継がれていった・・・かどうかは知りませんが、どこかユーモラスな日本のお化けの源流を感じました。

同じ「浮世絵」でもこの4名はまったくテーマもタッチも違います。

浮世絵とは江戸時代に成立したジャンルで、大和絵の流れを汲み、当時の風俗を描いたもの、その題材は美人画、役者絵、名所絵、春画など多岐にわたる(ウィキペディア)・・・とありますが、本当に自由な世界ですし、どれもが明るかったり艶っぽかったり、のどかだったり、滑稽だったりします。

江戸というのは良き時代だったですね。

それから、ちょっと考えればわかりますが、上記4名は1800年の前半に活躍されて、幕末にかかるころまでご存命です。1860年というと、今からたったの150年前です。

たった150年!
この隔絶感はなんなのか、と呆然となってしまった「大浮世絵展」でありました。